キャンディが思い続けた丘の上の王子さまがアルバートさんだったと知るのはラスト直前。では逆にアルバートさんはいつからキャンディが丘の上で出会った少女だと知っていたのだろう。これにつき考えてみる。
最初から
アルバートさんがポニーの丘のキャンディに会ってからずっとキャンディの動向を追っていた説。これはちょっと怖いのだが考えて見る。ラガン家にイライザとの話し相手として来てしばらくしてから、記憶喪失の期間を除きずっと見守っていたのは事実なので、それ以前も見ていた可能性はある。しかし、ならば何故もっと早く手を回さなかったのか。たとえば、キャンディがラガン家以外に行くことになったらどうするつもりだったのだろうか。養女としてアードレー家以外に行ってしまったらもう手も足も出せなくなる。この意味で最初からというのは考えにくい。あるとすれば、ポニーの家と事前に合意しているということになる。しかしキャンディがラガン家に行く際のライン先生の慌て方から見てそれはなさそう。合意があれば、アードレー一族のラガン家に行くということをアードレー家の総長であるアルバートさんが何かしらポニーの家に通告しているはずである。加えて、丘の上で会った時は、後のアンソニーと同程度の背格好であったことからアルバートさんは未成年のはずでジョルジュを介した可能性はあるが、未だキャンディの人生を変えることを裏でするような力も頭もなかったのではないだろうか。ただ、最初会った時から気になっていた可能性はある。その当時はまだ少年なのでキャンディを養女にする等は無理だったので見守るというか、手も足も出せなかったということはありうる。
養女にした時から
ラガン家を追い出されることを、アンソニー、ステア、アーチーからキャンディを救ってくれとの手紙をもらった際に知り、それで色々なものが繋がってキャンディがポニーの丘であった少女だと気づいたというのはありそう。それ以前、廃墟で会ったあたりで気づいている可能性はある。
養女にした後
可能性はあるけれど、確証は何もないので分からない。
最後まで気づいていない
これはないだろうと思いたいが、キャンディ・キャンディが基本的にキャンディ目線なので、アルバートさんの考えていることはほとんど分からない。ひょっとしたら、物語のラストに最初出会ったシーンと同じセリフを言ってキャンディをはっとさせた時にさえ、アルバートさん自身は何も意識しておらず、単に思ったままを言っていた可能性はある。
それらしい描写
アルバートさんがキャンディと丘の上で会ったことを覚えているもしくは思い出すシーンはあるかというと、ラガン家から逃げ出した成長したキャンディとの初対面の場面にそれらしいセリフはある。
この子の目のかがやき どこか…どこかで見たことが…
とアルバートさんは言っているのだ。しかし、これには次のセリフが続いてしまう。
みどり色のひとみの貴婦人…
アンソニーの母親でありアルバートさんの姉を思い出してしまうのだ。このシーンの解釈は3つ可能で、1つ目は「どこかで見たような」は最初から姉のことで、キャンディの瞳に姉を思い出したというだけの解釈。2つ目は、キャンディとポニーの丘で会ったことを思い出しそうになったが、みどり色の瞳から自分の姉を連想してしまい、思い出さことができなかったという解釈。3つめ目は2つ目と似ているが、明確にポニーの丘でのキャンディとの出会いを思い出した上で、姉のことも思い出したというもの。
アードレー家で一番早くキャンディに惹かれた男
その後のアルバートさんのキャンディへの執着ぶりから考えて、3つ目であるとするのが素直だと考える。つまり、アルバートさんは、成長したキャンディとの初対面のシーンでポニーの丘で出会った少女がキャンディであると分かったのだ。そしてアルバートさんがポニーの丘でキャンディと会ったことを覚えているということは、アードレー家の男子でキャンディに惹かれたのは、アンソニー、アーチー、ステアのうちで、バラの門で最初に会ったアンソニーなのではなく、ポニーの丘で会ったアルバートさんであったということを示すことになるのである。