キャンディが初対面のアンソニーに惹かれた理由は、実際はともかく読者にとっては明白である。丘の上の王子様に瓜二つだったからだ。では、アンソニーはなぜキャンディに惹かれたのだろう。
不意をついて現れた少女
バラの門にいたアンソニーのところに急にキャンディが現れた。アードレー家関係者しかいないはずの場所に何故か自分と年齢の近い少女がいるという場違いさ。このシチュエーションにまずアンソニーは興味を持ったのではないだろうか。しかも泣いている。
緑の瞳
よく見ると少女の瞳は緑である。アンソニーにとって緑の瞳は母親を思い出させるものである。これでアンソニーはキャンディにかなりの興味を持ったであろう。
アードレー家の紋章入りバッジ
そして、アードレー家の男子が持つはずのバッジを持っていたこと。これにより、アンソニーはキャンディに対し何か運命のようなものを感じたであろう。
笑顔
極め付けはキャンディの笑顔である。今泣き顔を見せていたキャンディが微笑んだその可愛らしさ。それまでに既に興味を惹きつけられたキャンディ自身の持つ可愛らしさ。これにアンソニーはやられたと思われる。
意外なアンソニーの冷静さ
しかしアンソニーは年に似合わず冷静である。キャンディとは初対面であり、かつ急に現れたにも関わらず、最初から落ち着いて対応しているし、キャンディが注意を晒したらすぐにいなくなるという芸当も見せている。これは何故そうしたのか不明だが、とにかく自らの判断でキャンディから離れた。実はアンソニーはテリィ並みに世慣れた人物だったのかもしれない。
ステアやアーチーに対する優越感
キャンディにステアもアーチーも会っていたということを聞かされる。しかも泣き顔を見たのはアンソニーだけという優越感。こういうことも少しずつ効いてくるのである。
会えば会うほど惹かれる魅力
このようにいくつもの小さなパーツが組み合わさってアンソニーはキャンディに惹かれていったと考えられる。キャンディは会えば会うほど次から次へと魅力的な面が見えてくるので、アンソニーとしてはもうキャンディの沼に引き込まれるしかないのである。これはアンソニーに限らず、テリィもそうであるし、そもそもアルバートさんがいい大人なのに惹かれまくっている。
つまりキャンディ・キャンディとは
魅力溢れる少女に関わった男全てが引きこまれ、抜けられずにもがく物語なのである。