桂大悟コーチによるトレーニングが始まる。
桂大吾のコーチング
僧だからなのか、一々小難しそうなことを言っている。というか、基本的に訳のわからない比喩ばかり。そんな表現必要なのか?と思える…まあ、マンガですからね。そういうキャラ付けだと思うしかないのかと。宗方コーチと対照的なのは事実で、宗方コーチは、練習法と欠点を指摘するくらいであまり説明的な指導をしていなかったが、桂大吾は一々説明してくるので、その意味で対比が効いてはいる。
宗方コーチを夢に見る
100ページから102ページにかけて、ひろみは宗方コーチと桂大悟が打ち合う夢を見る。これに対しひろみは、一瞬悲しい顔をするが、次のコマでは少し落ち着いて、
いい夢……
と言う。宗方コーチの死が、悲しみから思い出に変わってきていることを表す描写である。その前のあたりから、ひろみは、西校で先輩から渡されたものを後輩につないでいないことを気にしている描写があり、ひろみの中で宗方コーチの死の占める割合が減ってきたことを表していた。
一難去ってまた一難
いやあ、ようやくひろみが宗方コーチの死を克服し始めたと思ったら、次の試練が来る。それも2つも。
藤堂の妹分的幼馴染
1つは、藤堂の幼馴染である年下の女子が現れたこと。鉄腕アトムのような前髪でアメリカから戻ってきた子である。幼馴染枠と妹枠を目一杯活かして藤堂にべったりである。これは、宗方コーチのダメージなくてもキツイやつ…なんだが、余りエピソードを膨らませられなかったらしく、後々ストーリーに絡むこともなくフェードアウトして行く。帰国子女枠は宝力さんいるしね。
宗方コーチレプリカモデル
もう1つの難事は宗方コーチのそっくりさんが西校の後輩として現れたこと。こちらは、宗方コーチのダメージがあるからこそキツイやつ。このレプリカモデルである神谷君は、物語の最後まで絡んでくる重要人物になる。
最低限の立ち直りは完了
そんな状況で、世界トップクラスの女子プロと試合をすることになるひろみは、どうなってしまうのだろうかというところで、この巻は終わる。新たな悩みが生まれたことを描くことで、逆にひろみが、宗方コーチの死から、かなりの程度、立ち直ってきていることを表現している。ひろみの頭の中、心の中に宗方コーチ以外のことが占め始めたということだから。
第12巻から2巻分のページを割いて描いてきた、スポ根というには繊細すぎるひろみのメンタルがようやく回復し、次巻から、本格的にスポ根マンガとして復活するが、火種もちゃんと仕込んでいるのが王道を行く感じ。