Golden Time

時はお金で買えません

【エースをねらえ!】第16巻


いやあ、濃い、本当に濃い第16巻である。

f:id:cure_researcher:20190618044853j:image

良いこと言ってるつもりが…

f:id:cure_researcher:20190626194857j:image

8ページ。これ、多分ひろみとしては良いこと言ってるつもり、もしくは単に特別な事態だというだけの認識で独り言いっているのだが、これ、完全にお蝶夫人をディスってるわ!お蝶夫人の傲慢さを意図せず暴露しているというのがひろみらしくて良い。

妄想好きな藤堂さん

f:id:cure_researcher:20190626195640j:image

74ページ。「行ったそうだ」「さがし歩いたそうだ」「あったんじゃじゃないだろか」×2。これ、全て伝聞と推測の文。宗方コーチの絵が添えられているが、推測に基づく再現ビデオみたいなものだからね。実際のところ宗方コーチは苦悶の顔をしなかったかもしれないし、北海道へも行かなかったかもしれない。絶望もしなかったかもしれない(これも推測であり、藤堂の推測と同じだから成り立ちうるはず)。

日ペンの美子ちゃんじゃないよ

f:id:cure_researcher:20190626200521j:image

77ページに美子ちゃん?美子ちゃん、尾崎さんの妹だったのか。愛って呼んでるけど。

結果的ダブルスパイのエディ

f:id:cure_researcher:20190626201659j:image

112ページ。オーストラリアからエディが突然来る。国際トーナメント用のデータを持って。しかし、エディはひろみのデータを持ち帰るというダブルスパイの役を負っている…ということを、この段階のエディ自身が認識していないところが良い。

謎解き開始

112ページ。エディが、

ひとつ気になるんだ
パパがどうもまだひろみの様子に満足じゃないらしくてねぇ
お蝶さまからは完全に復調したって連絡がはいってるんだけど

と言う。藤堂も、

桂コーチもまだ今の岡さんに満足していない
しかしその理由がわれわれにはどうしてもわからない

と言う。エディのセリフにさりげなく、この場にいないお蝶夫人も入れられているところがミソ。これがひろみが更に越えなければならない壁。それが何なのか。読者にも提示された謎解きということ。

謎解き完了

エディは、142ページでそれにようやく自分がダブルスパイの役を負わされていることに気づく。149ページで藤堂もお蝶夫人も気づく。蘭子も尾崎も。これはひろみが、ダークホースではなく、ちゃんと戦う相手として他の選手に認められたということ。こういう環境の変化のエピソードでひろみの能力が上がっていることを表すのほんと良い。
そしてこれが桂コーチが断酒を解かないわけだ…とお蝶夫人がおっしゃっていました。
165ページでひろみも自分がエディに試されたと気づく。しかし、自分もデータをもらっていることを直ぐに思い出し、

これで五分と五分だ!!

と語る。

遂に桂コーチの断酒の理由と、それを解くための条件が明かされた。しかしこれ、次の第17巻であることに対するネタバレがあるが、それはとんでもない内容である。そうきたかぁと思わざるを得ない。エディご苦労様!

具志堅用高選手の偉大さを記録する歴史的資料である第16巻

130ページ。精神力の強いアスリートとして、具志堅用高選手が挙がられている。「試合中は完全なポーカーフェイス」「氷のような精神力」とベタ褒めである。後の天然お笑い系キャラクターを知ると、ちょっと信じられないほどの褒めようであるが、この記述に対し、当時は誰も異を唱えなかった。具志堅選手の勝負時の真剣さはこうして、当時の記録として残されている。「エースをねらえ!」第16巻はその意味で具志堅選手の偉大さを伝える資料的価値があるのである。

ひろみの暴走と覚悟

128ページから始まる、ひろみが教える神谷くんが質問するシーン。プレイの精神面について語る神谷くんを見て、

よかった!精神面がのびてきてる!

なんて喜んで、とにかくベラベラと3ページ使ってメンタルについて語るが、まどろっこしい神谷くんの質問のポイントはそこにはなくて、

恋愛は邪魔にならないんですか

とひろみを遮る。ベラベラ語っていたひろみは、少し驚くが、

ああ それが聞きたかったのか

と納得する。神谷くんが切り出すための枕に食いつきすぎたと気づく。まあ、恋愛もメンタルのジャンルだけれどね。しかしここからがひろみの凄いところで、それまでの興奮してメンタルについて語っていた表情が変わり、キリッとした顔で理路整然と語る。これは鬼気迫るものがある。

いろんなことを神谷君はじめ多くの後輩に完全に伝えるのがわたしのギムだと思うから

とも語る。ひろみは、もはや誰かから学ぶ段階を越えたということを表すエピソードとなっている。しかし、よく考えて見ると、ひろみはテニスについて、体系的に理解しているのだろうか。宗方コーチにしろ桂コーチにしろ、あまり目的を伝えずに、どこが悪いだ、何回やれだそんな感じで教えていた。これをひろみは言語化できるのだろうか。もしくは、ひろみの言う後輩に完全に伝えるというのは、自分も一子相伝的に教えるということなのだろうか。結構、この辺り興味がわく。