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【マルチェロ物語】ストレートに愛を知る物語


「マルチェロ物語」です。ストーリーは単純です。愛を知らないマルチェロが、愛とは何かを見つけて行く話です。

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マルチェロの受けた愛情

父親はおらず、母親からも愛情を注がれなかった。マルチェロは、親の愛を知らない。代わりにと言えるか微妙であるが、12歳でデモルネに見出され庇護というレベルを越えた溺愛を受ける。これが親の愛の代わりになるが、愛情の偏りが酷い。というか、デモルネの愛は、未成年の少年に対する愛ではないので、マルチェロにとって、これはまだ正しい愛を受けたということにはならない。しかし、未成年には絶対に必要な安定した衣食住は得られた。

友情は、イアン・シェーデにより初めて知る。これがマルチェロにとって年齢相応の初めての愛情になる。それまでデモルネも含め利害関係を伴う人間関係しか構築できなかったマルチェロは、イアンから無私の心からなる友情の存在を知る。最初はそれを理解できずにイラつき、次にとまどい、最後に心を許す。この過程は丁寧に描かれており、納得できるものになっている。

恋愛感情は、相思相愛になるマリクを軸に、片思いを寄せられるヴァレリイ、そしてマリクの幼馴染みジュールも絡んで知って行く。こちらも丁寧に描かれている。ジュールのマリクへの感情が恋愛なのか兄妹的なものなのか微妙なところがまた良い。兄弟愛の要素は、マルチェロには無いので…あ、デモルネの弟愛があるか。

マルチェロの顔

これ、連載の時に…絵が上手いなぁ…と惚れ惚れしていたのだけれど。いや、なんというか、マルチェロ以外は当時の「LaLa」の中では上手い方であると思う(当時の「LaLa」はそこが好きだった)。けれど、肝心のマルチェロの顔の出来が余りにバラバラすぎるし、マルチェロはどれもあまり上手いという感じがしない。女性よりも美しい顔という設定に、作者が自縄自縛となったのではないだろうか。

思ったより若いデモルネ

デザイナーのこの人は終始一貫ダンディに描かれている。画のバラツキも無くはないが小さい。驚きなのは、「マルチェロⅢ」にて明かされた、37歳という年齢。思ったより若い。もっと枯れたおじいさんなキャラクターと思っていた。そりゃ、こんなギラギラしたオヤジに寄ってこられたらマルチェロが拒否するはずだ。

当時の感覚

未成年の飲酒、マリファナといった現在では描くことがほぼ無理なものが何度も登場している。12歳のマルチェロに、「その茶ってなァ…ブランデー入りかい?」と言わせたり、パーティシーンで普通に16歳少女にカクテル勧めていたりはさすがにあかんやろ。因みに「茶」のルビが「ちゃー」となっていたのは小技として楽しめる。