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【秒速5センチメートル】桜の花びらとロケットが象徴するもの


「秒速5センチメートル」において、象徴的に描かれるものとして、桜の花びらとロケットがある。この2つは何を意味するのだろうか。

登場シーン

桜の花びら

「第一話 桜花抄」にて、桜舞い散る中、小学生の貴樹と明里が毎年桜を見ようと約束する。また、中学になり互いが離れた後、貴樹が明里の住む町を訪れ、雪を桜の花に見立てる。

「第三話 秒速5センチメートル」の開始時と終了時に桜の花が舞っている。

ロケット

基本的には「第二話 コスモナウト」に登場。第三話は、第二話のその後的に、コンビニにある雑誌で描かれる等している。

両者の共通点相違点

桜の花びらは、重力に引かれ花を咲かせた上空の枝からひらひらと地上に落ち停止する。ロケットは重力に逆らい地上からまっすぐに上空に向かい、飛び続ける。どちらも重量が掛かって運動していることは共通するが、桜の花びらが重力に従い上から下へ向かうことに対し、ロケットは逆に重力に抗い下から上へ向かう。また、桜の花びらは、空気の抵抗を受け、ひらひらとあてどなく舞うのに対し、ロケットは一直線に飛ぶ。これは明らかな対比である。

それぞれの意味

桜の花びら

「第一話 桜花抄」で、桜にこだわっているのは明里である。そしてこれは明里の生き方の象徴となっている。桜の花びらは、時の流れに従い、その時その時でフラフラしながらも最終的に着地して落ち着く。明里についても、貴樹とともに過ごし、離れて悲しみながらも、引越し先で居場所を見つけ、最終的には、結婚という一旦のゴールに至る。そこには、過去は思い出として現在との切り離しが行われている。流れに逆らわないので、明里の生き方は、穏やかである。

ロケット

「第二話 コスモナウト」で、ロケットの発射を見て花苗は、貴樹とロケットを重ね合わせている。ゆえにこれは貴樹の生き方の象徴である。ロケットは何か目的を持って上昇するが、宇宙空間は広大で、その目的とするものに至ることができる保証はない。何かを探し、時間だけが過ぎていくこともありえる。というよりも、出会えたらラッキーと考えた方が良いくらいである。それでも、どれだけ掛かっても、ロケットは、当初探していたものを探し続ける。そこには臨機応変、流れに任せてという言葉はない。
また、「第二話 コスモナウト」にて、ロケットを運搬するシーンがあるが、これは、ロケットが、発射されるまでは自ら動くことはできず、誘導に従わなければ動けないことを暗示している。これは「第一話 桜花抄」では、基本的に明里主導で物語は進んでいたことと符合する。重力に抵抗しないと進めないので、推進には非常に大きな力が必要である。よって貴樹の生き方は、ハードモードにならざるを得ないのである。

結論

結局、桜の花びらは明里の象徴であり、ロケットは貴樹の象徴である。そしてこれらは、重力に対し反対の動きをする。これらが最も象徴するのは、「第一話 桜花抄」での出来事をその後の人生でどう消化するかについての、明里と貴樹の生き方である。