Golden Time

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「MIU404」と「未解決の女」「未満警察」にみる、最終回直前回の同僚の生命の危機について


まあ、最終回を少しでも盛り上げようということで、ドラマの準主役級を生命の危機に陥らせること。多くの刑事ドラマで取られた手法。似たパターンに、主人公自ら、致命傷を負うというのもあるが、こらとは違う。

準主役級を生命の危機に陥らせることのドラマ上の意味

制作者の意図としては、命が助かるか否かをチラつかせることでハラハラドキドキさせるということなのだろう。しかしねぇ、あってもなくても関係なくストーリーが成立するなら、いらないエピソード。そんなにハラハラドキドキやりたければ、初回から最終回まで毎回誰かを生命の危機に陥らせれば良いのに。メインストーリーは、その生死に関わらないなら、可能なはず。でもそれはしない。なぜなら誰もがそれは邪道だと知っているから。でも最終回ではやってしまう。なぜなら、邪道と分かっていても、それでも視聴者をハラハラドキドキさせると考えているから。ま、そんな感じで見られているのね、視聴者。

2020年夏ドラマにおける3つの警察もの

「MIU404」「未満警察」「未解決の女」(最終回放送順)の3つを俎上にあげて考えてみる。

MIU404

「MIU404」は、ストーリーの伏線等が巧みで、設定や展開も意外性があり、考察にはもってこいのドラマだったが、最終回に、陣馬刑事という、主人公2人とよく絡む役が、最終回直前回で、突進するトラックを手を広げて止めようとするシーンで終わった。で、最終回予告には、重体と思われる陣馬刑事の姿が映される。「MIU404」をしても身近な誰かを命の危機に陥らせる手法をとるかという感じ。陣馬刑事が、重体になったことがメインストーリーに影響が全くないかと言ったらそんなことはないのだけれど…主人公の2人、伊吹刑事と志摩刑事が薬で倒れているという、前提があって、その上で、陣馬刑事が入院先の病院で昏睡状態から目を覚ます→それを見つけた同僚の九重刑事が、伊吹刑事の携帯に電話する→伊吹刑事が目覚めて、志摩刑事を蹴っ飛ばす→志摩刑事が目を覚ます。という人間ピタゴラスイッチが行われる。ここで、意識不明の重体から、目を覚ましたという事実を消費して、ピタゴラスイッチの最初のトリガーとしている。しかし、これ、ちょっと酷くないか。ピタゴラスイッチ入れるために、1人の人間を意識不明の重体にしている。命の扱い方が軽すぎる。
しかも、重体にした人を、皆から慕われ、チームのムードメーカーで、かつ個人回では、家族の仲の良さを前面に出した陣馬だから、もう酷い。慕われ、ムードメーカーで家族仲が良いという点全てを、最終回で渋滞にすることで悲しさを増幅されるネタとして使っていることになる。狙い方があざとすぎる。

未満警察

最終回直前回では国枝警視正が監禁されていた。また、鍵を握る橘冬美の消息は不明となっていた。「MIU404」とは反対に、これまでストーリーに無茶な展開を多々入れていた「未満警察」であるが、この国枝警視正と橘が生命・身体の危機にあるか否かは、ストーリー上の大きなポイントであったし、監禁と橘の行方不明には一応の合理性はあったので、この件については問題はないと言える。、というか、他のストーリー展開が本当にありえないくらい無茶苦茶なので、これが素晴らしいことのように見えるが、いたって普通な展開なだけである。

未解決の女

うーん、このラストに控える「未解決の女」の最終回直前回の重体要員が、これまでずっと、主人公の所属する場所に対し、嫌味を言ったり高圧的態度を取ってきた古賀室長であり、思い入れが無いので、MIU404の陣馬刑事のようにはいかない。例えそのまま死んでも、次シリーズでは別な人が後任の役をやるだけだろうと考える程度で、「相棒」における、杉下右京の相棒が変わるほどのインパクトはない。これで死んだら、今のままなら死に損である。これは、きっと何か合理的理由があるでしょう。そうでなければ、かなりまずい脚本になってしまうと思う。
何れにせよ、少なくとも今のままでは、古賀室長が撃たれる必然性も、これが物語上の重要ポイントになることはない。