Golden Time

時はお金で買えませんが、時間はお金で買えちゃいます。

【相棒19】第3話 話に絡む登場人物が多くゴチャゴチャしてる回


ネタは非常に面白いのに、ストーリーのポイントとなる登場人物が多く、話がゴチャゴチャしていて、何が進んでいるのか分かり辛いのではないのかな、今回の話。

一網打尽にすべくと言っていた捜査二課係長 尾崎が、死体となって発見される

頚動脈を損傷した失血死…これ、自殺の手段として特殊すぎる。部屋のクリーニングをしなければならないような自殺を選んだ理由が分からない…いや、酒井しか片付けることができないからこそ、ドラマ的にこの自殺方法を選んだということ。わざわざショッピングセンターに行ってアメイジングウォッシュのみを買うような人だから、わざわざこんな自殺方法を選んだということなのだろうか。

遺留品の中にアメイジングウォッシュのレシート

これ、これが無かったら酒井にはたどり着けなかった。酒井に会うためだけなら、アメイジングウォッシュを買う必要なかった。少しでも酒井を応援したいという気持ちが出たのであろう。それでレシートを受け取った。これが杉下へのメッセージとなった。単なる偶然であった。

尾崎の遺書

結局、何が書かれていたのか説明されていない。このあたり、省略というか、杉下と冠城の短い会話で済ますのは、抽象的すぎて分からない。

尾崎の切り口

刑事ドラマの定番的進め方としては、刃物による傷の場合、切り口の向き等からどうやって切ったかが、突き止められることが多い。今回の尾崎の場合も、尾崎本人は自殺をしようとして自殺したのだから、敢えて他殺に見せかける切り口にはしていないはず。ということは、刑事ドラマの常識として、早い段階で、「この切り口は、他殺ではあり得ない」と分かったのではないかな。自殺に見せかけた他殺の場合は、この方法で断定されることが多いと思うから、逆も適用すべきと思う。その意味でちょっと御都合主義に見える。

伊丹・芹沢の特命係への当たりが軟化している?

この辺りは、見る側の感じ方の側面もあるので、言い切れないが、第1〜2話対比で従来の嫌味に近づいている印象。そうであれば、第1〜第2話は、脚本上の実験だったのかと。伊丹が出雲がピンチの時に助けに入ったり、まあ、これは当然といえば当然だけれど、嫌な奴感は若干薄れた。しかし、やはり伊丹と芹沢の違和感は残り、出てくるたびに、当たりが強くないか言動を気にしてしまう。

角田課長は引き続き杉下と微妙な関係に

「暇か?」もないし。杉下の方をちらと見ただけで話しかけずに退出していっちゃうし、杉下の方も、前を向いたまま角田課長の方を向きもしないし。ただし、冠城とは比較的普通ぽく話しているので、特命係というより、杉下と角田課長に溝ができているのだろう。まあ、第1話で角田課長の顔を潰したからね。あれは今までの特命係の勝手な行為と違い相当こたえたのだろう。

出雲麗音は流石の存在感

第1〜2話とは異なり扱いは青木級になったが、捜査一課の他の面々が全く気づかない捜査二課の刑事たちが隠す事実を中園の前で問いただす等、存在感を見せている。泥臭いようで詰め方が上手い。流石、捜査一課の追加メンバー…ということで、青木の存在感が薄れている気もする。まあ、怖いもの無しに特命係に絡んでくる若手という点で、重なるから仕方ないけれど。出雲の方が、新登場、女性ということで、目新しさもあるし。青木はお笑い、出雲は暴走担当なのだろうね。これまで青木1人で担っていた役割を分割する感じかな。

尚、出雲も青木も、捜査一課の面々に臆することなく対峙し、無頼漢のように振る舞っているように見えるが、出雲は、社の女子会メンバーであり、青木は衣笠副総監との関係を持っていることから、2人の振る舞いは、虎の威を借る狐的なものがある可能性がある。つまり、それを失うと、途端にアイデンティティを崩壊させる可能性があるということ。相棒の中では若い2人なので、このようなアイデンティティ崩壊のエピソードが入ってきても面白いと思うが…そらをやると、以後、元のやうな役に戻れないとは思う。あるとしたら、相棒卒業の時ですかね。

出雲の違和感の正体

彼女だけ、平成刑事ドラマではなく、昭和の刑事ドラマのキャラであることが原因な気がする。昭和の刑事ドラマには、あんなのいっぱいいたでしょう。顔つきも、言動も。それが、平成どころか、令和の時代には異質感を生むということではないか。そして、制作側はそれを狙っているのかもしれない…が、さすがに彼女1人で誰もサポートしないと、さすがに浮く。どうも青木年男がケア役のようだが。まあ、分かる。元々青木が持っていた、怖いもの無しに特命係に絡んでくる若手キャラ属性を半分奪ったのが出雲なのだから。

事件に関与する登場人物が多すぎる

この第3話、単純に、事件を解決のヒントを持つ関与者の数が多すぎて、事件の推理とか種明かしとかそういう類のカタルシスはない。1つ欠けても犯人にたどり着けないような、パズルのピースが多すぎる。そういうストーリーの複雑さと、推理の難しさとは別なものだから、刑事ものとしてはちょっと辛い。せっかく結末は意外性に富んでいたのに、登場人物が出たり入ったりゴチャゴチャした印象でストーリーが見づらくなっていた。

結論は自殺…

真相は自殺でしたというのは、まあ、やっちゃダメな奴だよね。相棒では好きみたいだけど。まあ、相棒だから許される面もある。しかし一般的に言って、刑事ドラマで真実は自殺とすると、証拠やら事件後の周りの人間の挙動やらを注意して観ていた視聴者の努力・楽しみを無にするわけで、使うのはやはりダメだ。今回は、自殺した尾崎係長の自室があまりに何も残っていない点が、違和感となったので、その点で状況証拠は提示されていたけれど、やはり犯人は誰かという点で反則感は残る。

また自殺…

第3話で、犯人役を演じた山本浩司氏。この人、相棒のなかでは名作回と言われる、シーズン9第8話「ボーダーライン」で派遣切りにあい殺人と見せかけて自殺した人。今回は、自殺した人を殺人と見せかけて細工する人を演じている。こうなると、山本氏には、自殺絡みでもう一度、出演してほしい。山本氏が出ると、twitter界隈で、「これは自殺」というつぶやきで溢れるとか見てみたい。

飛び散った血の処理時間の関係で壁は免除

尾崎係長は、自室の壁を紙で覆っていたのは、自らの自殺の結果、血が飛び散ることを想定したからだろう。決して血液反応が出ないようにという配慮ではない。しかし、テーブルや床は何も気にしていなかったようす。自殺する直前なので、気が回らないのは仕方ないにしても、刑事ドラマとしては、血を防ぐことをするかしないかどちらかに徹底しておくべきで、配慮が足らない気もする。絨毯ぽいところは拭いていたので、アメイジングウォッシュは、相当強力なのだろうが、壁まで至らなかったのは、いくらなんでも壁までクリーニングする時間は、無いからだろう。翌日が勤務日ならば、警視庁内で、無断欠勤、連絡取れずと騒がれ、家に来るだろうから。

アメイジングウォッシュ

絨毯ぽいものに飛び散った血液も拭き取り、鑑識に見つからない…アメイジングウォッシュは、どんだけアメイジングなんだ!

まあ、他にもおかしな点はあるけれど、相棒19 第3話。