Golden Time

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【麒麟がくる】遂に将軍と対立し、次は天皇と?


信長は実際に武力を持っている。反発すればどちらかが倒れるまでの戦いになるが、持てる武力が強大であること、これが信長の強さの全てである。そして、信長は、上位者を、最初は立てるのであるが、いつしか立てるのに飽き、横に並んでいると思い、そして上に行こうとする。

第37回「信長公と蘭奢待(らんじゃたい)」は、信長が、足利義昭の上を行き、正親町天皇と自分が並んだと認識した話であった。

足利義昭

援軍無し

武田信玄だけは本気だったっぽいが、諸大名が賛同したはずの義昭による信長打倒の戦は、諸大名からの援軍が来ないことにより不発に終わる。これが全て。ついこの前、信長の支援により僧から還俗して将軍になった義昭は、信長の後ろ盾なくしては、権威を保てないにもかかわらず、将軍という、立場上は信長より上であることを利用して、信長打倒を企て、権威ではなく現実の力で勝る信長に追い込まれるという愚を犯すのが、第37回。

正親町天皇

褒められて喜ぶ信長

第34回で、比叡山焼き討ちに対し、天皇に褒められたと喜んでいた信長。しかしこれについて、正親町天皇は、信長が褒めてほしそうだったから褒めてやったと言い捨てる。この恐ろしさ。当たり前であるが、正親町天皇は、上から目線である。天皇であるから。しかし、信長は無邪気な子供のように褒められたと喜んでいた。しかし、第37回ではどうだ。信長は、天皇ではなく、日本の歴史を遡った上でも指折りの権力者しか得られない栄誉、蘭奢待を欲しがる。これを正親町天皇は、信長の望む通りに許可する。つまり、現実の力関係は、信長の方が上ということ。しかし、天皇という権威を持つ正親町天皇の格は、依然、信長より上。

信長の意識が天皇の権威と並ぶ瞬間

蘭奢待を同じサイズに2つに分割し、一方を天皇に贈るという行為。これは、非常に微妙な行為である。これは、一面として、蘭奢待を正親町天皇にも所有してほしい、贈ることによって喜んでほしいという感情があることは間違いないだろう。しかし、もう1つの側面として、ちょうど半分に分けた蘭奢待を弄ぶシーンがあったように、日本を支配するのは天皇1人の力ではなく、天皇と自分が対等の力で支配するという意識が見て取れる。もし、正親町天皇を上に置くなら、同じサイズに2分割などあり得ないし、そもそも切り取らせろなどと言うことさえはばかられる。このような経緯の蘭奢待を信長から贈られた正親町天皇が取りうるのは、喜んで受け取るのではなく、毛利輝元に贈ること。これの意味することは、蘭奢待は、織田信長と毛利輝元、2人の大名に贈ったと言う形式が残ると言うこと。信長は、輝元と同列であり、天皇と同列ではないと言う序列付け。つまり、信長は、天皇と蘭奢待を分け合うことで、天皇と同列に並んだと言う認識を正親町天皇に示すが、天皇の方は、それを輝元に渡すことで、信長は輝元と同じ、天皇に仕える一大名であるという認識を取るのである。蘭奢待を誰が持つかでマウントを取り合っているのである。三好らを滅ぼして巻き上げ、信長所有となった茶器の価値評価をするシーンもこの第37回に描かれるが、結局、蘭奢待の所有は、この茶器同様、支配の象徴なのである。そして蘭奢待の場合、2つあるので、その所有者は対等の地位にあることを表す。ことになるのである。

光秀の苦虫

光秀は比較的、権威、秩序を重視するので、将軍義昭に対しても服従の意を示し続けていた。しかし、信長と義昭の関係が破綻する。その際、義昭から、信長側ではなく幕府側につけと望まれるほどになる。光秀はこれを断り信長側に戻るが、このやり取りの際、光秀は泣いて場を後にする。泣いているのである。そして今度は、信長は朝廷と対立しそうな雰囲気である。正親町天皇は、前の第36回で、光秀に興味を示し、三条西実澄の付き人という形で、光秀と少しだけ言葉を交わす。こうして、将軍義昭と光秀で見た関係と、全く同じような光景が、正親町天皇と光秀の関係に見られることとなった。つまり、光秀は、また泣かなければならない状況に追い込まれるのである。そして今度は…。今度は天皇を選んだのなら、それは本能寺の変、正親町天皇黒幕説になるのである。

もうあと7話しかない。