第1話だけでストーリーがかなり進んだ。最初のプロレスシーンから、ラストの家族が集まった朝食シーンは想像できない。このままスピード感保って最終回まで行ってほしい。
能とプロレスと介護
別に介護の話ならば、寿三郎が弁護士で、寿一が塾講師でも成り立つ話。様々な中から能楽師とプロレスラーを選んだところが面白い。能楽師もプロレスラーも、体を動かして表現する仕事。その内の1人が要介護になったという設定。一方は、体を動かすことが仕事であったのに、介護ではなかなかうまく体を動かせない。介護する者、介護される者に能楽師とプロレスラーという身体を使う職業を選んだことにより、ストーリーに、もどかしさを伴わせることに成功している。
能とプロレスと介護。どれも身体を使う仕事という点で共通している。
長瀬氏のプロレスラーっぽい外観
背も高いし、面構えもプロレスラーとして良い感じ。身体もプロレスラーっぽく作っている。回し蹴り姿も決まっている。ブルーザー・ブロディと外見が似てきているが…ブロディは、知性派レスラー。しかしブリザード寿は、今のところ、ちょっと違う気がする。ただし、妹は塾講師、弟は弁護士と、遺伝的には頭は良い可能性がある。あと、寿一の姿を見てプロレスラーっぽいと言う時、イメージされるプロレスラーは、昭和のプロレスラー像。オカダ・カズチカのイメージではないのもなんというか…狙ってる?
置いてきぼりの主人公
2年前に妹弟が経験したことを、初めて周回遅れで経験した寿一が、妹弟との意識のズレを思い知らされる。家を出て25年間というが、直近2年だけでも置いてきぼり。25年間と言う年月の長さが、寿一と家族に及ぼした影響は大きいはずなのだが、ラストの朝食シーンでは、それほどでもなさそう。このまま、25年間のブランクについては、描かれないのだろうか。もう少し、25年間のズレを見てみたい気がする。
置いていく寿三郎
遺産は相続させないと言うが、寿一を束縛しようとする寿三郎。皆を置いてけぼりにする寿三郎。
寿一を責めない妹弟
長男寿一が、自分が勝手に出て行って25年後ひょっこり帰ってきても、余りにこれまでのことを無視して綺麗事を言わない限り、寿一を責めない妹弟。これは長男の重圧を知っているからだろう。その意味で仲の良い兄姉弟。
攻めるストーリー
寿一は、家のローンもあり、子供のこともあり、そして父親のこともある。かなり深刻な環境にいることが分かる。
さくら
詐欺師疑惑が最後に出てくるが、実は良い人だったパターンを行くには、寿三郎と組んで、寿一を家族の輪に戻し、跡を継がせるために芝居をしていたというパターンしか残っていないような気がする。しかし、寿一が戻ってきたというきっかけが、寿三郎が倒れるという偶発的なものなので、その路線にするには、かなりアクロバティックなストーリーにしないと無理であろう。
寿一の衣装
ラスベガス・レイダース 、デンバー・ブロンコス、サンフランシスコ・フォーティナイナーズとアメフトチームの服を多く着ている。あまり意味はないだろうが、こういう衣装を好むということが、寿一の好み、性格を表しているのだろう。カーハートや"THE GYM"と書いた服も着ている。寿一の衣装について見ていくと、こだわりがわかって面白いかもしれない。
NFLのチーム選択
レイダース、ブロンコス、フォーティナイナーズ。これは、日本で有名なチームという基準で選ばれたということかな。通好みの選択というわけではないな。
能とプロレスと塾講師と弁護士とラッパー
家族の職業を見ると、全員パフォーマーであることがわかる。能とプロレスはもちろんのこと、塾講師は、生徒にいかに授業内容を教えるか、弁護士は、交渉相手や裁判官にいかに主張を通すかという点でパフォーマーである。姻族である長女の夫もラッパーと表現者。この家族に事務職等普通のサラリーマンと呼べる者はいない。父親に能楽師を持つことから、これは理解できる。しかし、能楽師とプロレスラーは、身体で表現する仕事で、他は言葉で表現する仕事。ここに、寿三郎と寿一の共通性が見出せる。この2人は似た者同士なのだ。というより、寿三郎が寿一をそのように育てたのだ。
マスク環境
リング内ではマスクの着用はないが、リング外は皆マスクをしている。やすらぎの森のさくらも、週5で寿三郎の世話をしている現在は家族に準じてマスクをしていないが、施設で働いていた時はマスクをしていた。同じくやすらぎの森の末広が介護の説明に寿一の家に来た時は、末広は家の中でもマスクをし続けている。本来は、寿一側もマスクを着用すべきだとは思うが…しかし、このドラマはその辺り、他のドラマよりはちゃんとしてる印象。
寿一の髪型
自らハサミで何回かに分けて切って、ころころ髪型を変えているのだが、ここに何か意味があるのだろうか。わからなかったが、おそらく何か意味があるのだろう。