家族旅行も終わり、日常がまた始まる…少し強引な感じもするが。しかも日常は同じように続いていくように見えて、少しずつ変わっていく。寿三郎の認知症も進むし、秀生の親権問題も進む。
スマホを少し遠ざける寿一
さくらに出されたスマホを少し離して見る寿一。老眼始まっているのか…芸が細かい。これ、この年なりの責任感を意味するのかもしれない。いい年なのだから、付き合うならば結婚が前提で、まず付き合ってみてとかいうのではない年齢だろと。さくらの方も、踊介からのプロポーズは、寿一の答え次第というのは、結婚を考えれば、寿一がダメなら踊介という選択肢はありうるということだろう。まあ、老眼からここまで推測するのは無理があるかもしれない。
寿限無がもう元に戻ってるような…
寿限無の感情の問題。もう一件落着してるのか、それとも、あの騒動があったから、今のように振る舞うことができるのか。この辺りは本人しかわからないというところか。
寿一は逃げている
なんかユカのイメージが変わった。寿一に対して元妻らしい見方をしている。家族と向き合うのが嫌で逃げているというより、観山家と呼ぶ何かに囚われているんだなぁと。だからユカだけを見ることはなかったと。ユカが言う"逃げている"と"殺気を家に持ち込む"と言うのは両立しなさそうでありながら、妻だからこその見方なのだろう。まあ、それを言われたからこそ、おそらく寿一は、サクラに、ちゃんと思いを伝えることができたのだろう。
結婚していないのに離婚を担当する弁護士踊介
1回くらいは結婚したいと言う踊介…さくらと結婚する気満々なのだが、当のさくらが好きなのは、話した相手の寿一というところがコメディ。しかし踊介は、甥の親権を兄に帰属させることを争っているわけで、これがドラマでなく現実ならば、かなりヘビィな内容である。よく考えれば、1回くらいは結婚したいという踊介のセリフ、複数回の結婚も最初から全体なのか?離婚案件扱いすぎで感覚おかしくなってないか?踊介!
オヤジに孫を合わせたい
寿一が、認知症の進む寿三郎に秀生を合わせたいとユカに土下座する。言い方。秀生が寿三郎から能を学ぶことができる時間はもう限られていると言わない、言えない。主体はあくまで寿三郎。これが、まさに家というか寿三郎に囚われた寿一の姿。これをユカは嫌うかと思いきや、許す。ユカは、寿一はやはり秀生第一には考えていないことを察したかもしれない。しかし、現時点での秀生の状況を考えるに、学校を上がって行った先にある将来より、明らかに才能があると言われている能楽師の道に進む方が秀生の人生にとって良いと判断した可能性が高い。この辺り、寿一は父親として厳しい。
秀生も寿三郎に会い、稽古をつけてもらうことに喜びを感じているから良いものの、寿一の目は寿三郎を第一に見ている。親権問題にしても、ユカの方が秀生のことを考えていると言える。ユカが再婚したことについても、確かに再婚相手は軟弱に見えるが、これは家に殺気を持ち込まないという意味で、秀生のことを考えているのである。
秀生の親権
ユカの新しい夫の腰が引けてしまっている。自分の子供に害が及ぶのではという被害妄想から、いっときの威勢の良い気概は消え去って、まあ、秀生と暮らすことを拒否する展開が見える。まあ、仕方がないけれど。ユカはそれを悔やむのか、肯定的に受け入れるのかは分からない。現に新しい命を宿しているのなから。
さくらと寿一の絡み
寿一の部屋で一人寝転ぶ寿一
そして、長男の俺はやることがない
と自室で一人寝ころんでいたところに、桜が覗き込んで話しかける。さくらと寿一2人のシーンはこうして始まる。
能面のように表情を変えず迫るさくら
踊介からプロポーズの事前アナウンスを受けていることを寿一に話すさくら。寿一は、プロポーズ結果を聞こうとするが、時間的にまだプロポーズを受けていないだろうことに気づく、それに対してさくらは、踊介からプロポーズを受けた場合どう答えるかは、さくらが桜が寿一に既にしたプロポーズの答え次第だと逆に問う。この時のくるくる変わる寿一の表情。あくまで能面のように表現を変えない介護士さくらと、表情豊かすぎる能楽師寿一。このねじれた対比。
あと、このシーンで気になったのは寿一の左膝。座っている時に、右足はあぐらのようになっていたが、左足は延ばしていた。これ、恐らく過去左膝をやってしまったために曲げられないのではないかと。そんな設定あったっけ?あったかもしれないが、わさわざ描いていることから、これがラストに向けて何かあるのかも。
ラーメンを作る2人
袋麺のラーメンなのに作り方に差があり、そのまま書いてある通りに作る寿一に対し、ひと手間かけるさくらが描かれる。細やかさというか生き方の厚みというか、寿一はさくらの魅力を再認識する。二人が作っているのは、凝った料理ではなく袋麺というところが良い。
ラーメンを食べる2人
ここで、寿一の殺気の話から、さくらが寿一の"存在の大きさ"を、2段階のステップで褒める。
まず、大きすぎて大阪城ホールのリングと客席くらい離れて見るくらいがちょうど良いと例える。現にこの第7話でユカと寿一の馴れ初めの話が語られている。ユカとの出会いはまさにリングと客席の距離て始まったわけで、ドラマ内の論理的一貫性もある。ただし、さくらの言う"存在の大きさ"が何だかは、具体的には分からない。寿一の言動からは、いわゆる器が大きいというわけではないと思う。
次に、スカイツリーに例えて褒める。近くで見ていては全体はわからない。しかし登れば分かると。ここで山賊だっこが生きてくる。物理的にさくらは寿一に登っているから分かると。さっきは感じたが怖くなかったと。
この大阪城ホールとスカイツリーの比喩。大阪城の2次元的距離とスカイツリーの3次元的距離の違いを使うことで、2次元的に見るユカは寿一から離れてしか寿一を見ることができないが、3次元的に見るさくらは寿一に触れたまま全体を眺めることができるという論理。こんなん言われたら最高でしょ?
寿一の部屋で一人寝転ぶさくら
寿一はラーメンを食べた後、さくらを山賊だっこし、寿一の部屋に連れ込む。さくらを畳に寝かせて、さくらにも視聴者にもこれからの展開を予想させる。これはラブシーンだと。なぜかハーフフィンガーレザーグローブを装着する寿一。そんな趣味なのか…と思いきや部屋を出る。一人で寝転んでいた時と異なり、寿一にはやること(泥棒の逮捕)があるからだ。一人寿一の部屋に残されるさくら。さくらと寿一の絡みは、寿一の部屋に寿一が一人寝転んでいるシーンに始まり、ラーメンを作り、ラーメンを食べ、さくらが一人寝転ぶシーンで終わる。綺麗。
このさくらを部屋に連れていくシーン、そのまえのラーメン食べた後に既に寿一は泥棒に入られていることに気づいており、安全な場所にさくらを連れて行ったというのか正解なのだろう。つまり、寿一はさくらのプロポーズに応えそうな雰囲気は出したが、明確な意思表示は未だしていないと。