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【俺の家の話】第9話 寿三郎はそれでも父


本当に大切な人…は、一人なのか?寿三郎が危篤に陥った際なのに何故か、寿三郎と兄姉弟の恋愛観の違いが微妙に表現されていた回。

2ギガ

寿一の頭の中の総ギガ数はいくらなんだろと、そっちが気になる。ギガ数が少ないか否かは、分母ありきだと思う。ま、そんなことは気にせず観るべきなのはわかるが。

寿一は寿三郎と一緒に飯を食うことにしたと言うが…

グループホームにいる寿三郎と、家にいる寿一、寿限無が食事の際、タブレットで繋いで会話しようという試み。家族愛に溢れて良い気がするが、ここにも相変わらずの家長主義が出てくる。一緒に飯を食うのは、当主寿三郎と長男寿一。寿限無は、カメラの裏側で食事…これよこれ、これが観山家の怖さ。

話の進み方が…なんかグダグダに仲を戻している

ラストに向け、前回不仲で家から飛び出した登場人物たちを、また呼び戻している。しかし、その過程はお粗末。タイトルが『俺の家の話』というのだから、家と家族全体、家族個人のドラマをもっと描いて欲しかった。一度飛び出したら、どの様に家に戻るかは、なかなか難しい事である。その点、恋愛感情がもとになっている踊介は、戻りやすいはずだったが、残念ながら、寿一に変わる寿三郎の跡継ぎに担ぎ出され、面倒な騒動を起こすことになる。寿限無の戻り方は更におかしい。半年飛び出して、戻った時に、ああもあっさり寿一と抱き合えるものなのだろうか。寿限無には能しかないのはそうかもしれない。しかし、そうしたのは観山家という組織である。そして、寿三郎はもちろん、寿一も嫡男としてその片棒を担いでいる。そんな寿一に寿限無は無条件で「ただいま」と言って抱き合えるものなのか。もしできるのであれば、それはやはり寿限無の悲劇でしかない。

本人含め、だれも寿限無の扱いの異常性に気づかないし、自分への差別的待遇については厳しく言及する舞さえ寿限無はさほど気にしない。寿一が両手で舞と踊介の肩を抱き、寿限無と正対したシーンは驚愕した。兄弟だけど俺たち3人とお前は違うぞと言っている様で。本当に巧みな構成。

結婚前にして、さくらと別居

結婚前にもう別居しているのはどうか。結局、さくらはユカに相談というか、愚痴を聞いてもらいに行っている。そしてさくらはユカと寿一のことで意気投合。こうなると、ユカとの離婚は、二人にとっては、寿一に問題があることが確定する。

長男寿一の恋愛観

今回のさくらとのやりとりを見ていると、寿一は、恋愛について頭で考えすぎているのではないか。本能の赴くまま行動する恋愛にだらしない寿三郎を見てきているので、男女の付き合いというか恋愛観が歪められている可能性がある。特に、寿一は真面目な性格になると言われる第一子であるので、なかなか深い仲になれないということかもしれない。ユカは、これを"殺気"と呼んでいる可能性はある。そうであれば、"殺気"を家にまで持ち込んでいたというユカの感想は間違いである可能性がある。ただし、寿三郎の男女関係のだらしなさを度々口にする舞とともに、この男女の仲をうまく出来ない寿一は、共に結婚し、子供もいるのに対し、そのようなことを言わない踊介と寿限無は、結婚もしていない。踊介はさくらに恋心を抱くも相手にされず、寿限無はそのような気配さえない。

つまり、寿限無も入れた観山家の兄姉弟4人の内、舞は寿三郎を公然と否定するが、他の3人は、その辺り舞ほどではない。そして、そこに恋愛観の歪みが出ている気がする。そんな中、長男の寿一が結婚して子供もいるのは、恋愛観の歪みがあっても、長男の特性である優等生であろうとしたため、結婚はすべきものという固定観念に囚われことによるものと考えることもできる。そんな結婚なら、相手に愛想をつかされることも想定できる。

大州のラーメン

孫の大州がラーメンを作りにきてくれているというのに、大州に背を向けてラーメンを食べる寿三郎。この感情…認知症で孫のことを忘れてしまっているのか、それとも秀生は認めるが、大州は認めていないということなのか分からない。後者であれば、食堂に来ることさえない様にも思う。

二度目の引退試合前の食事

ちゃんと縁起を担いでカツが食卓に並んでいた。魚の形の器に盛られたカツの卵とじ…何か変だが、カツはカツだ。

タクシーCMの小ネタ

直接的には大州が出ている点が小ネタ。もう1つは、「契約キレてないですよ!」「肩書き変えるぞ!」は、このドラマ中で何度も繰り返されるネタであるが、長州力氏の過去の発言とされる「キレてないですよ!」「形変えてしまうぞ!」を踏まえてのもの。更に、BGMは、まあ、著作権に配慮?したというより著作権料を払わないための策と言えるが、長州氏の入場テーマ『パワーホール』をアレンジ?した曲まで流れる。で、その踊りは、長州小力氏の芸風であるパラパラダンスを模している。「キレてないですよ!」も小力氏がネタにしたものだし。このCMにネタが4つブチ込まれている…あ、気づいたのが4つであり、まだあるのかもしれない。無理に考えれば、長州小力氏は知っているが本家の長州力氏は知らない世代があって、こういうの、本家となるであろう寿一が家を出ていた時期、観山家を支えた寿限無と長州小力氏が重なる。そして、このCMでは小力氏を本家が真似てCMの仕事を得たということであり、これは、能について知り尽くした寿限無を本家を継ぐであろう寿一が真似るということを暗示している。そう考えれば、このCMは、最低でも5つのネタが仕込まれている。まだありそう。

寿限無を迎える寿一と秀生の人間の差

寿限無は、半年ぶりに観山家に戻ってきた際、門の外に出てきた寿一は、寿限無を見て言葉が出ない。まあ、これは仕方がない。飛び出て行った寿限無が半年ぶりに戻ってきたのだから。最初に寿限無は、「誰だと思った?」と言う。それに対し寿一は「いや…なに?」と言う。「なに?」と言う言葉。お前出て行った人間だろ?と言う語感がある。寿限無に対しては、あくまで上から目線。遺産でも取られると思ったのか?それを受けて寿限無は「ごめんくださいか、ただいまか迷っちゃって」と言っている。一方、秀生は寿限無を見るや否や「おじさん、おかえりなさい」と言える。この差。しかも、寿限無が半年に何やってきたかを寿一は問うていながら、寿限無が話す間の合いの手は全て「で?」であり、その間に寿一はスーパー世阿弥マシンに着替えてしまう。これを面白おかしい感じで描いているが、寿一が寿限無のことなど、大して考えてはいないことが分かる。

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