Golden Time

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【コントが始まる】第7話 無人島のように時代から取り残された3人の部屋


マクベスの周りが少しずつ変わっていく。これを描くことで、解散が現実のものになっていく感じが伝わってくる。前向きなものも幾つかあるのに、エピソードが積み重なることで、マクベス解散を寂しく感じるような仕掛けになっている。

里穂子襲来対応

余計なことを話す潤平と瞬太。ここで里穂子が怒り出さないのがよい。潤平と瞬太が本人に深酒話を言うことより、春斗が潤平と瞬太に昨夜の里穂子の発言をベラベラ話したことの方が悪いのだから。しかし、里穂子の言う通り、春斗は2人に細かく話しすぎている。酒に酔った失敗談ではあるが、里穂子の酔いに任せた発言を春斗は潤平と瞬太に面白く話したようだが、面白がる話ではない。あれを面白がるのは大人の感覚が未発達な高校生的である。言われた側の気持ちを考えることなく、里穂子本人に得意がって話せてしまうのもやはり大人の感覚の欠如と思える。高校生のままというより、この手のことは思春期の初めから学んでいくはずのもの。マクベスの10年によって、3人の精神年齢が高校生のままなのではなく、逆進しているのではないだろうか。会話の内容を見ると、潤平は幾つか里穂子を気にかける発言もしているが、瞬太は終始面白がっているだけである。奇しくも、駿太は実年齢とは異なり、つむぎより精神年齢が低いというエピソードも後に描かれている。やはりそういうことか?描かれている瞬太の人間関係と言えるのは、バイト先と客として通うスナック、マクベスのみであるが、潤平には、同世代の中でも色々考えていそうな恋人奈津美がいる。この違いが、酔って絡んだことを詫びに来た里穂子に対する、潤平と瞬太の微妙な差になって現れているようだ。これは細かい…

つむぎのキレ方と仲直り方法

察しろということなのだが、普段のつむぎの印象とは違ったため、瞬太がつむぎの個々の質問によっては戸惑うということを繰り返し、ついにつむぎの沸点に達しキレたと言う感じ。しかも沸点異常に低かったし。これにうまく対応するのは難しい。つむぎは妹分として単に部屋で瞬太と座るソファだから瞬太の意見を聞こうとしていただけと言うがそんな単純なものではない。そこには妹分という考えはなく、恋人として瞬太を見ており、かつソファの質問も、"部屋によく来てくれる恋人"としての答えを欲しがっていた。一方、駿太は愛され慣れていないため、明確に恋人と言われていない立場上、つむぎの部屋のソファ決定にまでは口を出せないと考えているのだろう。そもそもこのエピソードは、普段は他人の話の聞き役で、何かあったらその人のために尽くす性格のつむぎが、他者に何かを頼むというエピソードであり、この瞬太との衝突は、これからのつむぎの行動の変化を暗示しているのだろう

そんな衝突の仲直りのきっかけは、逆に瞬太から察しろと言わんばかりの独特な方法でメッセージを送っているのが良い。また、それにちゃんとつむぎは気づいたことがさらに良い。とはいえ、こんな方法でメッセージを伝えることができるほど、駿太は暇を持て余しているということである。

部屋を出ること、車を売ること

別れというのは、喧嘩別れではなく友好的なものであっても、思い出を一つ一つ片付け、心の中に仕舞い込む作業なのだろう。とくに、借りた部屋、車といった形を伴う思い出は、手放すか否かの選択が迫られる。それでも前に進むためにマクベスは車を捨てて、部屋も出ようとしている。

瞬太の収支

駿太は今回、赤い車を手放し、黒いソファを手に入れた形になる。これ、何か意味があるのだろうか。例えば車とソファ。どちらも座る機能が主であるが、ベッドにもなりうる。車は、宿泊費を浮かせるため何度もそこで寝ている描写があったし、今後、つむぎの家に泊まる場合、ソファて寝ることもあろう。座ると言うより、寝る機能としての共通性があるように思える。10年共に過ごしたマクベス4号と今後一緒に過ごすであろうつむぎという対比の中での仮のベッドとしての役割は、象徴的。赤と黒は…ルーレットの回転盤の色かな?要はギャンブルで今まで赤に賭けてきたが負け続けたので、今度は黒に賭けると。

転職エージェント 浦添

奈津美は、里穂子の前で、浦添のことを「浦添君」と呼ぶが、浦添は「奈津美」と呼んでいる。これ、ひょっとして、ひょっとするの?ここで潤平と奈津美の間で何か起こるの?それはちょっとやめてほしい。杞憂に終わることを祈る。

瞬太の住む家

マクベス解散で、普通に今のマンションを出ること前提な潤平。春斗も肯定的。瞬太だけがこれからも住む気でいた。それはそうだ。潤平には継ぐ家がある。春斗も実家がある。潤平には…家族がいないため、住む家を探さないといけなくなる。これ、瞬太にとって大変な事実を知ったことになる。マクベスを解散しても共同生活は変わらないと思っていたのに、瞬太にとっては寝耳に水な話。これ、どう考えてもつむぎのところに転がり込む展開しかない。

コント『無人島』

これまでのようなキレがなかったというか、そのままの話すぎて、コントになっていないような気がする。笹かまネタに自然さはなくて、"無理矢理"入れている感じがしてしまう。そういうのが不自然なコントに見える。辞書ネタも、作り込むネタというより…一発芸という感じに見えてしまう。

…と、最初は思っていた。しかしこれは時系列が逆だったのか。勘違いしていた。コント『無人島』が先にあって、里穂子は、そのサーフボードが謝るオチを踏まえて、深酒を謝るために形の似た笹かまを選んだのか。いやそうなのかぁ。見過ごしてた。やっぱ凄いなこのドラマ。

無人島というテーマはしかし、今回のテーマにぴったりである。マクベスの三人が解散し、共同生活する部屋を出て行こうとする姿が、無人島脱出に重なる。ただし、コントのオチは、無人島脱出が失敗に終わることを暗示している。これは解散しようとしているマクベス三人の結末の暗示なのだろうか。