Golden Time

時はお金で買えません

【レンアイ漫画家】第9話 ラブコメの許容範囲を攻めてる感じが好印象


刈部とあいこのキスのその後…を余り描かなかったのもったいない。ラブコメの王道を歩んでいける美味しいシチュエーションなのに。それをパスして、刈部まりあの正体発覚話に行くのは、第8話のキスが無駄に消費されたように見えて残念。ストーリーの重大な転換タイミングを、利用せず捨てるなんてもったいないが、最終回を睨み先を急いでいるからだろうか。しかし全体としては、テンポ良くエピソードが積み重なった回だった。

刈部まりあの正体がバレた

刈部とあいこがキスをしていたという話から、取り敢えず感いっぱいに「エゴでもするか」と『銀天』を検索する向後さん。絶品だこういうの。その検索で、刈部まりあが男とバラされ、自宅も晒され…これまで女性名を付けて活動してきたことが全て無に帰するってなるのもうまくできてる。というか、「エゴサでもするか」の爆発力は万能であり反則。ゴツイ風体の刈部が、なんか少女漫画家だという設定が、時限爆弾的にようやく生かされたのは良い。しかしタイミング。刈部からのキスの余韻が台無し。

謝る相手が違う

由奈と二階堂が、あいこに謝っているのは変。案の定、あいこに説教されている。ただ、あいこが刈部に合わせないようにしたからなのでこれは仕方がない。由奈が、自らのしたことを、大ごとになるなんて思ってなくて…などと言うの、想像力なさ過ぎと言いたいところだが、自分の恋がうまくいかない精神状態の時はこんなものかもしれない。しかし、謝る相手が違う。

刈部さんを苦しめてたのは、私だった

あいこのモノローグ。なんでそうなるの?あいこは刈部の家を出てしまうのか?と思わせておきながら、一本の電話が来てそれは回避。コンパクトにあいこの感情が表現されてて良い。

よく考えなくても分かるが、刈部は最初のうち、あいこにめちゃくちゃな扱いをしていた。模擬恋愛をさせられていたことを忘れてはならない。最終回に向かってドラマティックな展開にするには仕方がないとはいえ、初期のトンデモ設定を無かったことにはできない。あと、レンの実母を追い出すとかのトンデモ行為も行なっているからな。刈部がレンアイで苦しむのはドラマ的には自業自得とも言える。逆に苦しまずにすんなり恋愛を楽しんでたら怖いくらいに、これ迄の言行は悪虐。

日本漫画大賞辞退

商業的側面のある公募方式の賞で、大賞受賞の通知を受けながら、授与式の場で辞退という発想、これはホント迷惑な話。結局、刈部は受賞を受ける。しかしその理由が『銀天』は自分だけのものではないことに気づいたからと言うのは分からない。ただし、ネットで正体が明かされたため、自分の周辺が大変なことになっているという置かれた状況を考えれば、これは仕方がない。

何故『銀河天使』は売れたのか

これ、自分の恋愛には臆病で繊細なのに、他人の恋愛には大胆で残酷な視線を向けられる刈部が描いているからだろう。そしてこの本質を見抜いたのが担当の向後なのだろう。だからこそ向後は、刈部があいこに疑似恋愛を強制した時は一緒になってけしかけていたし、刈部自身があいことの恋愛に踏み出そうとした時にはブレーキをかけようとした。恋愛における他人に対する冷徹な目と自己愛をいかに保つかが向後の関心であり、努力であった。恋愛における冷徹さと繊細さが感じられるマンガ…売れる設定としては理解できる。

突拍子もないドタバタでありながら、行動に矛盾はない

この第9話は、ラブコメとして安定した回だった。しかしやはり前回の刈部からの突然のキスという大イベントの消化不良は残念かつ非常にもったいないと言える。ドラマが始まった当初の無理な設定の歪みはあえて隠して、刈部まりあの正体というこれも当初からある設定をうまく使って話を盛り上げており楽しめた。