第1話を見る限りでは、医師としての使命感に燃えすぎる美月と、他人と自分に対し敏感すぎる深澤の対比で始まり、それらが融合していく物語かな。極端な2人の間に他のキャラがいるタイプの群像劇。まあ、ありがちだが安定の型。そして、波瑠氏と岸優太氏がこれを上手く演じてる。第1話からこれは良い感じのスタートを切っていると思う。
ドラマの要約
番組ホームページのイントロダクションによると、このドラマは次のように要約される。
“月9”ドラマ初出演にして初主演を務める波瑠さんが、夜間救急専門の「ナイト・ドクター」結成のために集められた、年齢も性格も価値観も全く異なる医師たちと共に、夜は命に、昼はそれぞれの人生に向き合いながら唯一無二の絆を紡いでいく“青春群像医療ドラマ”をお届けします。本作は完全オリジナルです。
「集められた、年齢も性格も価値観も全く異なる医師たちと共に」というのが、ありがちな、最初は反目し合う寄せ集め部隊が、エピソードを重ねるごとに1つのチームとしてまとまっていくというタイプのドラマだと言っているようだ。典型的だが悪くない。ちょっと目を引くのが、「青春群像医療ドラマ」の「青春」という言葉。年齢も異なるのに「青春」を入れてくるところ、良い。青春に年齢制限はないというスタンスだから。そもそもナイトドクターチームの最低年齢が26歳と、一般的には既に青春というには高い年齢になっているので、それでも敢えて「青春群像医療ドラマ」とつけたのは良い。
「ナイトドクター」結成経緯
いや、これ論理的におかしくないか?
日本の救急医療は、これまでにない深刻な人手不足に悩まされています。(略)医者の善意や熱意を頼りに過重労働を強いるのは当たり前、こんな環境では、患者の命を奪う医療ミスにつながりかねません
というのは分かる。で、結論が、ナイトドクター。いや、希望者だから良いと言うのかもしれないが、今度はナイトドクターの負荷が相当なものだろ。勤務体系の改革を行うとして、当直を廃止する。その代わりに夜間勤務だけを専門に行う救急医を募集し、育成するというのは、やはり変。ナイトドクターの善意や熱意を頼りに過重労働を強いる環境を新たに作っているだけのような。この矛盾が最終回あたりに問題となってくるのではないかな。
オンの変化によるオフへの影響
これを主人公美月は、最初理解していないが、深澤は最初から分かっている。自ら手を挙げたと思われる美月と、院長に頼まれて仕方なく参加している深澤との違いが出ている。美月と深澤の対比を意識した演出良い。
夜に働くことの難しさ
医療モノというただでさえ様々なテーマのある舞台設定を用いて、わざわざ夜に働くことの難しさを取り上げるのか。これはチャレンジングなドラマだ。
恋人は最初に言っている
デートでレストランディナーの際に美月の恋人佐野は、次のように言っている。
晩飯だって一緒に食えなくなるし、夜の営みだってさ…どうすんだよ
美月は、外の騒動が気になって、あまり聞いていないようだが、これはちゃんと宣言している。だからラストで佐野が別な女とベッドにいても、まあ、そうかという感じ。
美月と成瀬
脳外科で腕を磨くと救急を出て行ったと美月がセリフで説明してくれた成瀬。この二人にも、成瀬の過去にも何かあるな…と思わせて、何があったか説明しない。まあ、これは今後明かされる謎だな。
明日彼女とデートでプロポーズするというフラグ
1話限りの患者のこういうフラグは個人的には嫌いなので要らない。何十年も前のドラマならともかく、今のドラマでこれやっても、なんか違う感じ。もはや死亡フラグという名前さえ古い印象なので、それを敢えて入れられてもという感じ。
電話帳から恋人の名前を探し当てる深澤
家族に電話しろと言われて、深澤はスマホの電話帳から恋人を探し出し架ける。繋がらなかったが、そのセンスは良い。しかし、それだけ。いや、センスは良いのに、繋がらなかったらその次、両親を探して電話を架けろよ。一方、美月は王道を行き、母親の留守番電話にメッセージを入れる。二人の性格の違いをこのように表すのかという感じ。昼間の救急医と美月が揉めた際に、深澤が「まま、朝から喧嘩やめましょう」と言って話を打ち切ろうとするのも勘の良さが見える。
あさが来た
朝が来た、交代の時間だ
と成瀬に言わせている。『あさが来た』は、2015年度下期のNHK「連続テレビ小説」タイトルで、主役は、『ナイトドクター』の主役と同じ波瑠氏。シリアスな医療ものだけれど、こういうのぶっ込んでくるスタイルか。
コロナの無い世界
2021年夏ドラマで病院舞台でこれはなかなか厳しい設定かもしれない。
院長と理事長
この二人のバトルがオープニングにあったということは、最終回のメインに再浮上すると言うことね。この2人が対立するのか、この2人とナイトドクターが対立するのか。まあ、とにかくこれがメインね。
演技力
SNSでは深澤を演じる岸優太氏を絶賛する声が多いのだが、それは否定しないけれど、わかりやすい演技が求められた上での熱演とも言える。その意味で、役としては主人公美月と同等の格である成瀬を演じる田中圭氏が、第1話でほぼ気配を消しつつ所々存在感は出してたのは、素晴らしかった。年上ポジは、指導医の本郷のものだし、だからといってモブでもないしかなりポジションの定めにくい役でかつ第1話では、美月と深澤の邪魔はしてはならない微妙な役だった。