Golden Time

時はお金で買えませんが、時間はお金で買えちゃいます。

【ナイト・ドクター】第3話 桜庭回!


深澤回の次は間に美月の父親回を挟んで桜庭回。1クールの連続ドラマの個人回としては、非常に濃い。美月が主人公であることは変わりないが、深澤にしろ、桜庭にしろ、個人回ではそれぞれが、各回の中でクライマックスもあり、ダブル主演の様に描かれている。群像劇として理想形の1つと言える。

こういうの慣れている

桜庭の母親が登場…というか、すでに出ていたけれど、柏桜会本院の会長。サラブレッド中のサラブレッド。これを今まで誰も知らないあさひ海浜病院の面々。救命救急センター長まで知らなかった様で、なんというか牧歌的な組織だなぁと思う。

美月の格好

成瀬に呆れられるほどの在宅時の格好であるが、綺麗な色目のパーカーではあるし、なによりパーカーの紐が通っているだけでも、ちゃんとしていると言って良い。髪の毛はひどいけど。

君の体は君だけのものじゃない

闘病中支えてくれた母親とドナーのことを忘れるなと、桜庭の主治医は言う。このセリフは重い。これを言われると桜庭は何も言えなくなる。なぜなら、母親とドナーがいなければ、確かに今、生きていられなかった可能性が高いのだから。しかし、この桜庭回では、ちゃんとこれに対する答えを用意している。本郷が患者の息子の少年に対して次のように言っている。

これから先も君に好き勝手を言う大人は多いだろう。(略)でも一つだけ言えるのは、誰も君の人生の責任までは取ってくれない。(略)だから君がどうしたいのかは、君自身で決めろ

これを桜庭は、横で聞いている。主治医の言うことと、本郷の言うこと。両方を聞いた上で桜庭は決心し、母親のいる会長室のドアを叩いたのだろう。

本郷と桜庭

実の父子…なのか?もしくは、桜庭の母親と本郷の年齢設定が同じ52歳なので同級生、学生時代の恋人辺りか。

2021年冬ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』で、本郷を演じる沢村一樹氏が、同じような状況のゴンちゃんを演じた際は、幼馴染の相手の娘が実の子供かもしれないニュアンスを残していたが、結局、実の父親が現れると言う話だった。今回はどうだろう?

桜庭のメモ

現場で起きたことを記録したメモのはずなのに、筆跡が揺れていない、書き間違いが無い。これ、まあ、ドラマだけれど、ここまで綺麗に書かれたメモは、現場感がない。図の綺麗さは、まあ、絵が上手いからということで理解できるが。

他人の秘密をことごとく察知する成瀬

桜庭の心臓移植のことを知り、美月の身内が桜庭のドナーであることを知る。成瀬の他人の秘密への遭遇率の高さは異常。公式の相関図の大きさでは美月と同格なのにストーリーを裏から支える役に徹しているの面白い。それを言えば、美月も表側で、深澤、桜庭の個人回を支えているので、群像劇の描き方として、美月と成瀬は、表裏両面からのストーリー進行のサポーターになっている。これが各個人回に安定感を感じる理由か。

コメディリリーフとしての美月

今回は完全に桜庭を表に出す回だったので、美月については、朝のゴミ出し時の身だしなみに対する気を使わなさと、ゴキブリ騒動での部屋の汚さという、プライベートの過ごし方のガサツさが描かれるだけであった。このガサツ表現は、深刻なストーリーに対するコメディリリーフとなることを意図したものであろう。しかし、今後もこの様に美月が消費されていくのであれば、最終回を迎える頃には美月は最高の残念美人になっていることだろう。物語全体を通じての主役であるのに、各回ではコメディリリーフ役を担う美月という役のは、このドラマの軽重、その他のバランスを取るのに最高の発明である。

成瀬さん、是非美月を究極の残念美人に育て上げてください。

TOKYO MER

この第3話放映の前日、『TOKYO MER』が始まった。同じクールで、緊急救命モノドラマが日曜、月曜と並んで放送されることとなった。『TOKYO MER』では、死者ゼロを公約とする話だが、『ナイト・ドクター』ではこの第3話でも亡くなる方が描かれている。前者が1人の超人的ヒーローを描くドラマに対し、後者は悩める者たちの群像劇であることが、救えなかった者がいない世界かいる世界かを分けているのだろう。『TOKYO MER』は現実感なさすぎと思うが。