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【彼女はキレイだった】第1話 ハラスメントが目立つ演出


テンポよく話は進んで上々の滑り出しだが、ハラスメント行為が所々に織り込まれているのは、無意識ではなく意図的演出ではあろうが、これが続くようなら見ていて辛い。コメディなのだからハラスメントで笑いを取ることはできない。

分かりやすい容姿差別

「人は他人を容姿で判断する」ことをテーマにしているのだろうか。今どき、このテーマでドラマとして成り立たせるのは難しい気がする。愛は、思春期前は母親似の顔で容姿が優れ、自信に満ち溢れた行動をとり、人生においても成果の多い人生を歩んでいたが、思春期後は、容姿の優れない父親に似てくるとともに、自信も成果も少ない人生になったと。一方の宗介はその逆の人生を歩んできた。この2人は、容姿と人生における成果獲得が、思春期を境にして逆転している。このドラマ、容姿が性格や人生の成果に大きな影響を及ぼすと言っている。今後これをどう扱うかが鍵となる。

バタバタした印象

第1話の製作側の目的が、とにかくバタバタした印象を与えることであるならば、この第1話は成功である。このバタバタが意図的でないならば、このドラマはドタバタするだけの薄いもので終わるし、意図的であれば、テンポの良いドラマということになる。

テンポの良さは格別

速いテンポで物語は進む。第1話で、過去何があって現在どんな状況なのかと、幼なじみとの変則的な再会と、謎キャラ男子との出会いと、次回以降につながるネタもいくつか仕込んでる。全体的に見れば、バタバタではなくテンポ良く進んでいるように見える。

カノン

心を落ち着かせるための選曲として『カノン』が選ばれている。二人の過去のエピソードに繋がる思い出の曲であるが、選曲自体に意味はなさそう。

ドジっ子

配線に引っ掛かるとか、典型的すぎてちょっと受け付けない。靴下に穴は、普通は隠しているところを不意に見られて恥ずかしいと思う感情が湧くという感じが、個人的には良いとこ突いているという印象。また、この穴の空いた白い靴下が拓也にとっては"安定のジャクソン"を形成するパーツとして愛の個性として認知されているところもまた良い。

マンガ的というか表層的

テンポは速いが、その代償なのかエピソードがマンガ的になっている。というとマンガに失礼なくらいマンガ的。とにかく使い古されたエピソードがこれでもかと詰め込まれている感じで、昔からのネタだよねと感じるくらいの既視感と、各エピソードの薄っぺらさで見ているほうが恥ずかしくなるレベル。多くの人物も、厚みというか深みがない。愛と梨沙以外は、記号化して割り切ったキャラになっている。これは宗介にさえ当てはまる。映されているのは愛から見える世界なのだろうな。愛からは各人の内面は見えないから、各キャラは表層的だと理解すると意外にしっくりくる。宗介とは、もっと打ち解けるとキャラに厚みが出てくるのだろう。まあ、強烈なツンデレとなることは予想できるので、そこはどうなるのか期待だけれど、この後の展開は、期待半分、諦め半分かな。

キスはできる宗介少年

少年時代の宗介は、ほっぺにキスすることはできるのか。そこは勇気があるな。これが成人後の自信に満ち溢れた行動の原点かもしれない。ただこのキス、宗介の愛に対する甘えのような気もする。三つ子の魂百までと言うから、この中途半端なキスと、成人後の中途半端なツンなキャラは関係するのであろうか。

令和版シンデレラ

王子様には少々難ありだが、これはシンデレラの物語。身なりを整えれば、愛は美しくなる素質があるし、王子様の能力判断基準である、仕事ができるか否かについては、実は潜在能力として愛は持っていることは既に第1話で描かれている。撮影現場で色々しでかしたのは、ただ経験値が足りないだけ。良いルックスも仕事の能力もあるのに、自己プロデュース能力がないということか。シンデレラにおける魔法使いの妖精が現れれば解決か。ただ、この魔法使いの妖精役が梨沙だけでなく、拓也も担うのだろうな。そうなると拓也が少々可哀想な役回りにならざるを得ない。

もしくは、このドラマの世界線は、外見が良いか良くないかで人生が完全に決まる世界のようなので、単に髪型変えれば全て解決ではないか?後々そうなりそうであるが、髪型変えれば実は美人みたいな単純さは、なんというか欲しい展開ではない。

宗介のツンの度合い

仕事には厳しいが、エレベーターでの一件からしても、基本的にツンではないと言える。人間違いだとはいえ、愛との再会の待ち合わせには、満面の笑みであったし。ただ、仕事に対する厳しさを勘違いしている気はする。採用時に聞いていた部署とは異なる部署で働かされ、日が浅いときに色々ミスをしている事情を踏まえるべき。そのようなミスをしないことを求めるのであれば、恐らく雇用条件が異なるはず。宗介は、ニューヨーク帰りにしては、雇用契約内容に無頓着なのではないかと思う。そもそも愛は、できる人間だと思われたから、引き抜かれたのだから。とはいえ、エレベーターの件からは、落ち着かせるためにイヤホンで『カノン』を聴かせる等、基本的に優しい人間であると第1話にして描いており、これはステレオタイプなツンデレではないなと考えておいた方が良い。

ロンドンにいるはずの人が東京に

うーん、ロンドンにいると嘘をついて東京にいたとしても、梨沙と宗介が偶然出会うことなど、確率的にほとんどないと思うのだが、ドラマだと簡単に劇的再会が起きる。東京ってそんなに狭い都市だったっけ?こういうの、仕方がないけれど、リアル感がない。たまたま歩いていたら出会ったと言う今回のケースはまだマシな方か。酷いと、どこに行ったか分からないはずなのに、追いかけて見つけるとか普通にあるから。

採用面接で結婚の予定を聞く人事の人

人事の人の中で意思疎通できていないし、それ以前に、採用面接でこれを聞いている時点で…。このドラマは、容姿差別だけでなくプライバシーに土足で踏み込むことまで出してくるのか、このドラマ。コンプライアンスに挑戦してくるタイプのドラマなのだろうか?

原作有りだが、既視感

このドラマは韓国のドラマの原作有りだが、最近の日本のドラマで言うと、2021年冬ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』と、2020年秋ドラマ『この恋あたためますか』を混ぜた感じかな。前者は、同じ海外ファッション雑誌の日本版編集部で、廃刊の危機にあるところにトップが降臨するという設定まで同じ。原作は『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』より前の作品だが、これから観る側には既視感は否めない。あと、まだ確信できないが、『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』の方がハラスメント要素が低い気がする。コメディであるはずなので、行き過ぎたハラスメントは要らない。

サブタイトル

第1話のサブタイトルが『毒舌男子と残念女子!真逆の成長を遂げた二人の初恋の行方』というものだが、1つ分からないことが。宗介は、なぜ毒舌男子になったのだろう。小学校の時に愛がしてくれたことを全く心に残さず、毒舌男子などとまでカテゴライズされる大人になった宗介は、もはやダメ人間なのではないだろうか。ただ、所々優しさというか、普通の感情もあるようで、単に毒舌なだけの普通の男子なのかもしれない。