Golden Time

時はお金で買えませんが、時間はお金で買えちゃいます。

【カムカムエヴリバディ】コーヒーの結ぶ縁いろいろ


『カムカム』では、英語と並び重要なキーアイテムとなっているのがコーヒー。このコーヒーについて現時点で気づいたことをまとめてみた。

「ディッパーマウスブルース」は定一が戦中戦後守った喫茶店

ここは安子が初めてコーヒーを飲んだ店であり、るいが初めて行った店でもある。それだけではなく米国との関係においても、最初は敵性の飲み物として店名まで和風に変えられ、戦争直後はレコードをかける喫茶店としてよりもジャズバンドの供給元として勝者アメリカ側に寄り添い、店名も元に戻して営業していた。

『カムカム』におけるコーヒーの位置付け

安子時代には喫茶店で飲む飲み物であったが、るい時代にはインスタントコーヒーとして街中に出回り、自宅で飲むことができる。この調子でいけば、ひなた時代には缶コーヒー、その次の世代にはスタバが出てくるのかな。

定一の二人の息子

定一には息子健一がいる。その健一が出征し、帰還しないまま月日が流れていく間に、定一の営む「ディッパーマウスブルース」に出入りする少年がいた。この少年は店に入り浸る描写の前に、進駐軍のオフィスに不法侵入するシーンで初登場している。それは、定一がジャズバンドを率いて進駐軍オフィスに来たシーンであり、ここで少年と定一は出会っている様に描かれている。その出会いと店に入り浸る様子から、定一は少年を健一に重ね、自分の息子の様に見ていたと思える。これは明示的に描かれてはいないがそう思える描写になっていた。しかし、安子編の終わりに出征していた息子健一が戻ってきた。これにより定一の側にいた少年と定一の関係がどうなったのか気になるところだが、それは描かれなかった。

ジョーがコーヒーを淹れるのを眺めながら祖父千吉のことを思い出するい

新し物好きの千吉がインスタントコーヒーを飲んでいたことを思い出すシーンを入れることで、るいの中で千吉の存在が大きいことを窺わせる。このエピソードを入れたことは、千吉の存在が後のるいの行動に何か影響を及ぼすということの暗示なのだろうか。

ベリーはコーヒーを飲まない

ベリーはコーヒーを飲まず、レスカ、メロンソーダといった甘い飲み物を飲んでいる。これ、コーヒーを飲めないのか、飲まないのか。飲めないのであれば、口は悪いがベリー可愛いな、実は性格も甘いんじゃないかなとか思ったり。一方、あえて飲まないのであれば、どういう意味があるだろうか。これ、実はコーヒーより高い価格のメニューということはないかな。その理由は、お金を持っていることを誇示するとか、『ナイト&デイ』から贔屓にされたいと思うとか。マスターには微妙な対応されているが。もしくはこの時代女性はコーヒーを飲まないとか。この辺り時代背景が分からないと、ベリーがコーヒーを飲まない理由がわからない。

ジュース自販機

ダブルデートの際、海岸でトミーがるいに自販機でオレンジジュースを買っている。外で冷たい飲み物が飲めると言うのも画期的なものだったのだろう。オレンジジュースを2本買い、持って行くときに一口飲んでしまうトミーのカッコ良さ。

ジュースの商品名は『REN・G(レンヂー)』。オレンジジュースだからだろうが、レンジーではなくレンヂーなのが良い。また、この自販機は「市営バス 朝日海岸のりば」にある。これが重要で、ベリーが車に乗って一人で帰っても、残された3人はバスで帰ることができたということを仄かしてくれている。