負け戦において、情報伝達の時差が招いた周りの人間のドタバタが1話を通じて描かれた。
頼朝の生死も知られていないところからのスタート
清盛も、政子も、頼朝が生きていることを、知らない。第7話開始前に得た戦の情報から、死んだ前提で動いていた。清盛は頼朝の死を幽閉中の後白河法皇に伝え、法皇が平家打倒を言わぬ様に釘を刺し、政子らは尼になる準備をしていた。その矢先に、頼朝生存を聞くことになる。清盛は怒り追討を命令し、政子はりく、実衣と共に喜ぶ。後白河法皇は未だ頼朝の生存を知らないというか、描かれていない。また、八重も頼朝生存を知るが、これは政子が知る前のシーンで描かれている。こういう描き方が憎い。頼朝生存情報がもたらされる順番をドラマの中で描かれるシーンの順番として描いている様に見える。いずれにせよ、後白河法皇は未だ頼朝生存を知らず、死んだと思っているので、次回辺りで生存を聞くのではないかな。後白河法皇はあくまで情報を得るのが遅い。しかもよりによって清盛経由。これが外部との情報が閉ざされた幽閉ということ。また、死んだと思っているから、今回も頼朝の就寝シーンがあったにも関わらず、夢枕に立たなかったのだろう。結構、芸が細かい。
情報伝達スピードの現代との違い
lineが無い時代の情報伝達。戦闘に負けるとは、基本的には大将の首を取られたと思うべしということなのか。しかし少なくない確率で逃げおおせるケースがあったと。しかも伝達に何日もの時間を要するので、時間概念が今と全く違う世界に義時は生きている。
時政の行き当たりばったりがバレていた
時政が舟で逃げようとしたことが頼朝にバレていて、その流れで時政が甲斐の武田に行かされる形になったように見える。武田は一度協力を依頼して断られた相手。そんな相手に何故、頼朝を置いて逃げようとした時政が使わされたのかというところに意味があるのだろうか。
頼朝は天に守られている
今回の天に守られているエピソードは、エンタメとして上手くできている。亀という女を平家側のスパイにも取れる様に置いて、しかも頼朝が亀を寝所に呼び出すということまでして、視聴者をハラハラさせる。これにより、亀が直接手を下すパターンや、亀が手引きする等の平家による襲撃の視聴者の想像を掻き立てながら、結果は、全く別の切り口の襲撃を出してくる。なまじ色々な想像をした上でのこの展開は想定外。シナリオにやられた感ある。
上総広常
第7話は、前半で頼朝生存ニュースの伝達の時間差のドタバタを描き、後半は上総介が頼朝側に付くに至る心の流れを丁寧に描いている。戦の支度が整っている2万の兵を率いて頼朝のところに来るというのは、頼朝にとってもプレッシャーになる。対面時の頼朝の強気の態度が、とりあえずの頼朝と上総介との神経戦を制したが、どちらも腹の中は何を考えているかわからない感じで終わった。会談後、頼朝が言った「顔が怖いのよ…」の意味は、よく分からない。よく分からないが、こういうことを側近に漏らすのが、頼朝の怖さであると共に危うさなのではないだろうか。適当に言っみただけだけれど。
「顔が怖いのよ…」は、やはり意味が分からない。