Golden Time

時はお金で買えませんが、時間はお金で買えちゃいます。

【ちむどんどん 】第64回 七夕の放送回に夢を追いかけたいと主張する歌子


和彦と暢子が物理的に大接近したところで前回は終わったのだが、今回からシチュエーションをそのまま引き継ぎながら、全く別の物語が始まった予感。ここから急上昇の予感がする。

何か、これまでと全然違う。

片岡鶴太郎氏の面目躍如

最初に『あまゆ』の店内に入って来たのは三郎さんかぁ。この肩透かしはコント的であり、流れのトーンを変えた点で良かった。しかし、そもそも暢子と和彦は一つ屋根に住んでいるのだから、もう後には戻れない。

全てお見通しの愛

和彦も暢子も2人きりだと思っていたら、愛が奥で寝てましたという展開…ものすごいな、ぐっと面白みが出てきた。これは天才。これまでの意味不明な展開とは明白に違う。才能が正しい方向に使われたか?

突然、比嘉家に来る智

なんと!訪問の予告なしに来て、暢子と結婚すると優子に言うのか。なんというか、相変わらず智は何もわかってない。というより、やはり常識を教えてもらっていないことの悲しさなのだろう。暢子は大城オーナーにより、上京間も無くの頃に、新聞社にボーヤとして働くことで身につけさせてもらった。しかし智にはその機会がなかったということ。大城オーナーが、親族である暢子を"育てる"つもりだったということがこんなところに表れてくる。

おおしまさんの芋

紅芋なのかな。しかし、文字表示で「大島」でも「大嶋」でもなく「おおしま」なの何でなのだろ。

娘のことは意外に?正しく把握している優子

だけど暢子はちょっと鈍感なところがあるから。本当にちゃんと伝わっているかね

暢子の鈍感さを的確に把握し、智の結婚の意思がちゃんと伝わっているか疑問視している。しかし、暢子は気づいている。気づいているが、ひたすら逃げている。その点、優子は暢子と離れて長いから、暢子の変化に気づいていないということかな。

優子は、鈍感なふりして実は人を見る眼が優れていている。だからこそ、危険な人はちゃんと避けて迷惑かけることで、これまで何も無く来たのだと。

とはいえ、今の暢子については、"全部まるっとお見通しだ"というわけにはいかなかったか。

智が優子に挨拶してしまったことに信子の責任はないのか

智は明確に沖縄に何をしに一時帰省するのか暢子に語っており、その内容が結婚することの事前報告であると暢子は知っていたわけなので、確かに智の暴走ではあるが、止めるべきであった。ただ、もはや止められないと判断したのであれば、その場合は、それこそ一時期しつこく描いていた電話で先回りしてやんばるの比嘉家に架けて、適当にあしらってもらうことをお願いしておけば良かった。一義的には暴走する者が悪いのだが、被害を最小限にするための行動は、残念ながら必要だった。

突然現れた謎の老人

賢三が民謡歌手になろうとしていただと?何という明後日の方向感がある展開!こういう意外性が欲しかったのよ。これは期待できる!これまでのよく分からない展開を一掃する可能性を秘めてる…で、案の定、歌子が動き始めるきっかけの1つになっている。

上原照賢

民謡の先生の名前、上原照賢は、上原という沖縄の苗字と、照屋林賢氏から取った?

とんでもない歌を歌い出す上原照賢先生

月の美しいのは十三夜

乙女の美しいのは十七歳頃

東から上がられる大きな御月さま

沖縄も八重山も照らしてください

つまり、これは、時の流れるのは早い、時間がないぞ→だから夢があるなら今すぐ追いかけろ!という歌子の背中を押す意味と、東京に進出してキラキラに輝くことができるという歌子の未来を予言している…のではないかな。

十三夜というのがポイントかな。ピークの十五夜に至らない前段階。しかし歌子はそれはもう過ぎている。まさに自分が今、ピークにいるのだよ、何かするなら今が最後だよと自覚したのではないかな。ま、人生そんなことはないけど。

取ってつけたように共同売店の店先で遊ぶ晴海

これね、これまで晴海の世話は歌子が見ていた感じの進め方だったが、実は違う、優子の働く売店の店先で、優子も見てたんだよというのを取ってつけたように表現しているというわけ。なぜならこれから歌子は出ていくわけだから。思いついて慌てて表現したようにも見えるし、視聴者をミスリードした演出だったとも言えるし、真実はわからない。

歌手になりたいと自らの希望を涙ながらに訴える歌子

これに対し優子は、

歌子は、歌子がやりたいように思いっきりやればいい

と言う。そう、こいつはこう言うに決まっている。しかし、体の心配はないのかと、他人である視聴者の方が心配してしまうという謎。歌子の発作は、もう無かったことになってるのかな?

敗者2人(愛と智)と勝者2人(暢子と和彦)

なんでそんな組み合わせになっちゃうのよ。店内の暢子と和彦、店の外の路地の愛と智。ものすごい対比で描くな。しかも2組を隔てるのは、『あまゆ』の格子。この格子は内外を絶対に通さない頑健さを表してそう。

沖縄の食品を東京で販売

この智の先見の明。これはハンバーガーショップでバイトしていた時のポテト付け合わせの時から描かれていた。ビジネスマンとしては智は地道で優秀。これは東京で成功するな。ビッグチャンスを掴むと言って全然の賢秀との対比が効いてる。ただし、紅芋はね…多分無理。紅芋から作った健康食品が、沖縄から持ち出し禁止と言っているからその意味を調べると持ち出し禁止の理由がわかる。ひょっとして、これが原因でスナガワフーズは倒産するか?

始まりと終わりの対比による愛の感情変化

この第64回は、暢子と和彦が『あまゆ』店内で2人きりになっていてアクシデントから2人が物理的に接近したが、実は店内の奥に愛が居ましたというシーンから始まる。ラストは、愛は智と『あまゆ』の店外から格子戸越しに店内の暢子と和彦を眺めるシーンで終わる。なんという対比。どちらも暢子と和彦は近くにいるが、愛は最初は『あまゆ』の中にいたが、最後には外に出されてしまっている。店内に居たのも出たのも愛の意思なのだ、これは暢子と和彦はともかく、愛にとって2人との心の壁ができたことを表してそう。

『フォンターナ』でタマネギをむきながら、愛が暢子に「すごいね、暢子ちゃんは」と言ったのは、初めて男を好きになったと言いながら、結婚話も出ている恋人のいる男に全く隙のない攻撃を仕掛けて落とそうとしていることに対する言葉なのではないかな。イヤミかと思ったが、そうではなく、暢子には敵わないと思って出た発言かもしれない。

一皿の料理を互いに遠慮する和彦と暢子の無意識の怖さ

愛と智が店外の格子窓から見守る中、残り少ない大皿料理を同時に取ろうとして、互いに遠慮し合う和彦と暢子。2人にとっては良い感じのシーンなのだが…その大皿料理、智と愛の分でもある。そこにいないのが悪いということで2人で食べ尽くすという感じなのは、何か暗示の臭いがする。和彦はこの6年、金持ちの娘愛から様々な金銭的利益を得ていたはず。また、暢子も、食べ歩き名目で、外から見たらデートにしか見えない行動を取ってきた。その象徴として、愛と智を明確に建物の外に出して2人で仲良く大皿を食べ尽くすという描写があるのではないか。つまり、この2人はもう引き返さないということ。ん?何か少し辻褄合わない気がするけど、大体そんな感じじゃないのか、今回の描写は。

和彦の愛に対する気持ちの程度

考えてみれば、何かと和彦は愛を『あまゆ』に呼ぶが、愛は基本的に泊まらず帰っているように見える。会社の人と何度か『フォンターナ』に来ていることから、東洋新聞社は銀座の近くにあるはず。つまり『あまゆ』までは片道1時間程度かかる。愛が都内に住んでいるとすれば、帰るのにまた1時間程度はかかる。『あまゆ』を出る時に送ろうかとか言ってるが、最寄りの駅までだろう。とんでもないことさせている。送らない時は、自分は『あまゆ』の階段を上がるだけで帰宅完了。何ということさせているのだろう。仕事後にデートしても良いけれど、都内でやれ。まあ、描かれていないだけで、愛の自宅周辺でのデートもしているのかもしれないが。何となれば愛の自宅で両親に飲まされている可能性もありそうではあるが。しかし描かれている限り、和彦は愛を自宅階下の居酒屋に呼びつけて飲食し、さよならしてることが多い。何という男。

もう一つ考えられるのは、『あまゆ』まで来た時は、そのまま普通はお泊まりだったのかな。何かトラブルがあった時だけ、「帰る」「送ろうか?」「要らない」のやりとりをしていただけで、たまたまそういう描写だけ視聴者は観ていたとも考えられる。

和彦寄生虫説

和彦は、何やかやと高尚なテーマを見つけて誰かに寄生して楽な生活をしたいと考えるとんでもない人物なのではないか。愛と付き合うのも好きだからではなく愛の親の資産が狙いであるし、暢子を狙うのも一流レストラン『フォンターナ』オーナーの身内でかつ従業員という次期オーナー候補であるからという理由だったりしそう。

そもそも何で和彦は鶴見に引っ越してきたんだ?

あれ?鶴見に住むことで何か記者として成果を出したか?沖縄に行くんだとか言ってるけど、この調子では沖縄に行っても何も成し遂げられないんじゃないか?

賢三の職歴

農業、大工、料理人のみでなく、民謡歌手も目指していたのか。なんというかチャレンジ精神旺盛だな。料理人は鶴見時代であり優子に会う前だと思うが、民謡歌手は沖縄に来てからの話っぽい。大城オーナーは、賢三が沖縄から戻ってこなかったみたいなことを言っていたが、これ、優子お得意の、やりたいことをやれが賢三に対しても発動されたのではないかな。それで賢三は料理人に戻るより面白いと思った歌手の道を選んだと。