Golden Time

時はお金で買えませんが、時間はお金で買えちゃいます。

【らんまん】(56)自分で決めることにこだわる寿恵子


寿恵子が、万太郎の下宿に飛び込んできたことが既に釣書を受け入れるということだったのだが、簡単にその結論に行かなかったのは、寿恵子の"自分のことは自分が決める"ということを徹底したかったからではないのかな。

今まで何していたと責める寿恵子

まあもっともだ。ただ、自分からアプローチしろよとも思わなくも無いが。

ユウガオのお姫様が来てる

…と部屋の中を長屋の人々に見られた。そして長屋の子供の感想が、寿恵子の綺麗さではなくて、部屋の汚さを評価されてしまう。

寿恵子は釣書を見ていた!

それで高藤に対して、あれほどの行動に出ることができたのか。

寿恵子にもいつものように植物学を語る万太郎

誰に対しても変わらないというのは、万太郎の長所ではあるが、竹雄が止めようとしたように、この場の話の流れでは言わない方が良い言葉ではあるな。

しかし畳み込むように、寿恵子に対し、苦労をかけるが、あなたが必要だ、わしと生きてくださいと言う万太郎。どんなプロポーズだ。まあ勢いという点では盛り上がるのは分かるので、寿恵子はウルウルする。しかしそこで、丈之助から、

それって万ちゃんの都合だよね

というひろゆき的な言葉が飛んでくる。セリフのテンポ良いな。

万ちゃん、自分の都合のためについてきてくれって言ってるよ

丈之助、文学専攻だけある。言葉の流れを論理的に理解して寿恵子に説明している。勢いに流されそうだった寿恵子も我に帰る。

だから私も自分で決めます

これを言えたのは良い。寿恵子はこれまで、ダンスを習うことも、高藤の愛人になるか否かも、じっくり考えて自分で決めてきた。万太郎との縁談も、じっくり考えると言えたのは正しい。釣書を持ってきたのは万太郎の側であるし…と思ったら、ラストには受け入れちゃってる。あらら。

私、冒険に出たかったんです

え?寿恵子、急に話を変えてくるなと思うのだが、しかし、これと、

あなたと生きるのは、とてつもなく大変ってことだけ

を繋ぐと、受け入れる可能性はあるよというメッセージになる。万太郎と生きるのは大冒険だから性根を据えなきゃという理屈。

「私、冒険に出たかったんです」は、プロポーズの時に言うセリフかぁ?と思うが、結構、こう言う感じでプロポーズ受ける人はいそうな気もする。

そのかわり、約束して!図鑑、必ず完成させてください

ああ、言っちゃったか。後方支援はどう見ても茨の道だよ。

馬琴先生の「八犬伝」は、全98巻106冊です

ここで、万太郎、竹雄、丈之助の表情が変わる。何言い出すんだコイツ…みたいな空気。

馬琴を葬り去る

寿恵子:100年たっても消えやしない

丈之助:まさか!ありえない!

これは丈之助が正しかった。明治の文豪の作品は今も国語の教科書で取り上げられる程、残っているが、馬琴は日本史に出てくるだけに葬り去られた。

寿恵子の"完結しないとダメ理論"

この理論、丈之助には通じなかったようだが、竹雄には響いたようだ。これ、文学研究者の視点と、商人の視点の違いと思える。商いは完結させないと意味がないからね。

「八犬伝」をこのように使うのかぁと驚かされた。

寿恵子が自分で決めるということ

寿恵子は、華やかなダンスの世界に足を踏み入れると決めた時も、高藤に見切りをつけた時も、自分で決めて進んでいるから、それはそれで良いこと。本人としてはじっくり時間をかけて進めているのだろうが、周りは急に決めているように見えて、あたふたさせられる感じかな。そして今回、万太郎のプロポーズを受けたのは、表面上は唐突な返答に見えるが、これまでじっくり考えた上での結論とも言えるので、寿恵子の言動は一貫している。

寿恵子が周りに流されずに決めたこと

・ダンスを習得すること

・高藤のプロポーズを断ること

・万太郎のプロポーズを受けること

『らんまん』では、寿恵子の"自分が決めたこと"に対するこだわりの強さを、徹底して描いているが、冒険は自己責任という考えが寿恵子のベースになっているからなのだろう。理知的な人だ。

万太郎の他者との関わり方

結婚したいと思う相手に対しても同じように振る舞っていたが、万太郎は駆け引きをしない。正面突破のみ。何だこれ、これで生きていけるのは、佐川にいたからだけのはずで、何で東京に来てもこれが通じ続けるのだろうと思うが、佐川の時と違う理由で、皆が万太郎を特別扱いしているのだろうなぁ。ただ、田邊教授と高藤は別に見えるが…高藤のリベンジはあるのかな。

人生最大の賭け

寿恵子は今回、人生最大の賭けをした。一方の万太郎は、人生最大級の賭けの1つをした。そして今後は、万太郎の人生最大級の賭けに寿恵子は付き合わされることになる。