好き勝手なことを言うが思慮が足りないことが多く、それでもスズ子は怒ることはせず、せいぜい諌めることしかしない。このため、基本的に同じような小さな舌禍を繰り返す…ように見える小夜。現代の感覚からすると、かなりマズい生き方と思える。ただ『ブギウギ』には既に『はな湯』の客にアホのおっちゃんがいた。生き方は違うが、小夜とアホのおっちゃんには共通するものがあるのではないか。
基本は他責思考
何か問題起きた時、自分の責任逃れに終始する。証拠があろうがなかろうが、自分が原因である可能性があろうがなかろうが、とにかく他人のせいにする。客観的に見てどうかという視点で考えることはない。これでは信頼関係は築けない。
ただし本人的にはこれで全く問題がないと思っている
何かあったら逃げれば全てチャラと考えているのだろう。そういう意味で怖いもの無し。ターゲットにされたらなかなか逃げられないだろうから小夜に絡まれたら諦めるしかない。ただ、最初のうちは相手に真に尽くすと思うので、その時は良い娘だなと思ってしまうのは仕方ない。しかしスズ子は風呂屋の娘でいろな人を見てきたからか、小夜を"受け止めて"いるように見える。
何故小夜は他責思考なのか
今後描かれるか否か分からないから想像でしかないが…
誰かから愛情を向けられる経験や、叱られることはあっても教えられる経験が圧倒的に少ない、もしくは歪で、雇い主の機嫌を損なってはいけない人生だったであろう小夜。
そんな小夜がこれまで生きてきて学んだ結果、雇い主に少しでも気に入られようとする一方で、自分のポジションを脅かす人間は除外する生き方がベストだと考えているということではないか。で、どうしても行き詰まれば逃げ出せば良いと。
小夜に誰も生きるために必要なことを教えてあげなかった
小夜に対して周囲が無関心で、生きるための道理をちゃんと教えてもらえなかったということではないだろうか。
ただし、今の感覚で考えると小夜が特殊に思えるが、当時は小夜みたいな生き方の人は多数いた可能性はある。
ただスズ子は、無意識にであろうが、小夜の言動でおかしいと考えたことは、何度か諌めたり、道理を説明したりしている。これは小夜の生き方が変わっていく原因になるかもしれない。
思ったことを口にしてしまう若者…という点を見れば
上京直後あたりまでのスズ子も小夜も変わらないと言えば変わらない。しかしスズ子には親身にスズ子のことを考えてくれるツヤが上京するときまでそばにいてくれた。しかし恐らく小夜にはツヤのような存在はいなかった。その違いが言動の違いに出ているのではないか。
愛助とは違う
愛助も今でこそぶっ飛んだ行動をとっているけれど、どちらかと言うと親の指導に従って育ってきたように見える。屋台の食事の話からみても、父親は経験させることはしていた。愛知巡業での特別扱いを嫌う最初の控えめな態度からはちゃんと育てられていることが分かる。
ただ戦争や体が弱いということから愛助自身が意図的に、自分のやりたいことをやると切り替えたように見える。だから小夜とは違うし、上京の頃までのスズ子とも違う。
小夜の怪しい行動
愛知巡業の宿でのお金紛失騒動
愛助が犯人だと散々騒いだ挙句、翌日、汽車内で小夜の足袋内から見つかる。
これ、小夜の過失ではなく、自作自演の可能性を疑っている。
愛助とスズ子が会ったごく初期に起きている。徹底的に愛助が盗んだという方向で責める。客観的にはこの事態は愛助より小夜を疑うべき状況だが、スズ子も含め楽団の誰も小夜を責めない。それを良いことになのか、小夜はしつこく愛助を責める。しかし結果は小夜が自分が足袋の中に入れておいたと翌日判明。
これ、小夜が故意にやってたら怖い。
今後の展開の興味
スズ子は、小夜か愛助のどちらかを選ぶことをするのかな。これから戦争が激しくなると、選ばなければならなくなる可能性出てきそうな気はする。