Golden Time

時はお金で買えません

【秒速5センチメートル】"桜"が登場するシーン


「秒速5センチメートル」は、短編三部作である。その第一話タイトルである「桜花抄」にある、桜花とは何を指すのだろうか。

桜の現れる箇所について、以下に整理する。

第一話 桜花抄

冒頭

桜は冒頭から描かれる。タイトルが桜の花びらの落ちる速度についてなのだから、驚くことでは無い。そして、桜の映像と共に明里の声が重なっている。
「ねえ、なんだかまるで雪みたいじゃない?」と明里が言うが、貴樹は「そうかな」と返すのみである。

図書室に舞い込む桜の花びら

図書室に風が入り、カーテンが揺れ、その際、桜の花びらも一緒に入ってくる。これは、明里の転校直後ということを表していると考えられる。

岩舟駅校内ポスター

ようやく岩舟駅に着いた貴樹が、明里を発見した駅待合室に貼ってあった「足利探訪」と書かれたポスターに満開の桜の木が描かれている。

雪の中訪れた桜の木

岩舟駅待合室から出た2人が雪の中の桜を見て「ねえ、まるで雪みたいじゃない」と明里が言った際、一瞬その木が桜の花を咲かせたイメージが挿入される。ここでは貴樹は「そうだね」と返す。これは、冒頭のやり取りと対となっている。しかしこれは雪の中での会話であるのに「まるで雪みたいじゃない」という明里の発言は難解である。この後に続くキスシーンを含め、何が実際に起きたことで、何が貴樹の思い出補正なのかを考える必要があるかもしれない。

第二話 コスモナウト

「第二話 コスモナウト」には、桜は出てこない。
花苗の高三の夏から秋の短い期間しか描かれていないこともあるが、「第一話 桜花抄」「第三話 秒速5センチメートル」とタイトルに桜関連を入れた2つに挟まれたこの「第二話 コスモナウト」のタイトル中に桜関連の言葉及びストーリー中に桜の描写が入っていないのは、意図的なのであろう。

第三話 秒速5センチメートル

冒頭

冒頭の東京上空からの描写において桜の花びらが舞い、地上には桜の樹々が描かれている。

貴樹のパソコンのマウスパッドに舞い散る1枚の桜の花びら

これを目にして、貴樹はパソコンの手を止める。その後、何枚かの桜の花びらが部屋に舞い込むが、すでに貴樹は部屋にいない。1枚目の花びらに何か意味があるのかもしれない。

満開の桜の中、外出する貴樹

貴樹が歩くのは、小学校時代に明里と歩いた道であり、「第三話 秒速5センチメートル」の冒頭で描かれた踏切のシーンへ繋がっていく。

例の踏切を渡る2人

ついに貴樹は小学校時代のエピソードがあった踏切に到達する。そこに明里らしき女性が逆方向から渡って来る。

回想シーン

BGMに山崎まさよし氏の「One more time,One more chance」が流れる回想シーンにおいて、いくつか桜のシーンが描かれる。
中学入学時と思われるセーラー服を着た明里が桜並木を通学する描写
鹿児島転校後、中学時代(?カブに乗らず徒歩通学であり免許取得前ということから推測。しかし、制服は高校のものと思われるので高校時代かもしれない)の貴樹(らしき男子生徒)に花苗(らしき女子生徒)が追いつこうと後ろから駆けているシーンにも桜は描かれている。「第二話 コスモナウト」では描かれなかった桜は、ここでは描かれている。
教室の窓側の席に1人座る明里のシーンで、風にカーテンが舞う際、桜の花びらが何枚か教室に入ってくる。このシーンは、次に挿入される貴樹が同じように桜の咲く季節の教室の窓側の席に1人座る貴樹のシーンが続き、対照的な描写となっている。しばらく後に挿入される教室シーンでは、今度は桜散る中、アップで明里と貴樹が描かれる。
以降、「第三話 秒速5センチメートル」冒頭の少し前に戻って、踏切に向かって2人が歩いていく描写が、舞い散る桜とともに描かれる。

まとめ

まあ、「第二話 コスモナウト」以外は、桜があちこちに出て来るのに対し、コスモナウトでは全く桜を描かないのは、意図的なのだなということはわかる。