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【キャンディ・キャンディ】ステアはキャンディとテリィの犠牲者


アリステア・コーンウェル。愛称ステア。顔の描写も地味で発明をこよなく愛する男子。キャンディに対しても抑制的。思慮深さと優しさが彼を表すにはぴったりの言葉。しかし、ステアは義憤に燃えて志願兵となった。なぜステアは踏み切ったのか。

ステアの発明の動機

ステアは発明をしては失敗を繰り返す。しかしそれでも発明を諦めない。どこに達成感を見出しているのか。ステアは考えを形にすること自体が好きなようにも思えるが、自分ではなく誰かを楽しませるというのも発明の動機にあると思われる。キャンディがしあわせになり器はその最たるものだ。

2人の女性のための2つの行動の2つの意味

ステアが誰にも相談せずに決断し行ったのは2つの行動。パティの母国を守ること。そしてキャンディがしあわせになり器を作ること。これには、表の意味と裏の意味がある。
パティの母国を守ることについては、ステア本人がパティへの置き手紙に「飛行機にのりたいだけじゃない」と書いた通り、飛行機に乗ることも目的である。キャンディがしあわせになり器を作ることについては、キャンディの幸せを願うこと以外にステアの発明欲を満たすことにもなる。それぞれに2つの意味のある行為を2つ行った。愛する2人の女性ために。何故か2という数字が重なるがそこに意味があるのか不明。

生み出すステアと消費するアーチー

ではなぜステアと行動を共にしていたはずなアーチーはステアが取ったような行為に及ばなかったのか。恋人が同じアメリカ人のアニーだったということはある。しかし、恋人が逆だったとしてもステアは志願兵となった可能性はある。これはステアとアーチーの考え方の違いからくるもの。ステアは、発明で何かを生み出し誰かの笑顔を得ようとする。一方のアーチーは、誰かが作った衣装やアクセサリーを身につけてお洒落である自分を表現することに喜びを感じている。発明好きのステア、おしゃれなアーチーとは、ステアは誰かを楽しませるためには自分が黒子であっても抵抗はないが、アーチーは何より自分が大好きということの象徴と考えられるのである。ただアーチーは、自分を犠牲にしてまで他人のために何かをすることは発想できないはずだ。恋人の国が戦争になっていても悲しむだけで義勇兵になるという行動には移さないであろう。そこにステアとアーチーの違いがある。

ステアに影響を与えた人々

ステアはキャンディに会うまでは、発明の楽しさ自体に没頭していたはずだ。しかしそれは自己の発明欲を満たす以外には、アンソニーとアーチーを喜ばせるため程度の閉じた世界での楽しみだったはずだ。しかしキャンディはステアに、別な世界を提示した。世界は広いことを示した。そしてテリィはステアに愛する相手のためならば全てを捨てることができると行動で示した。さらにキャンディとテリィは自分のやりたいことをする実行力を示した。これだけ提示されて、ステアはやりたいことをするという行動に踏み切ったのだ。