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【北斗の拳】第14巻 最後の将とは誰か


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第1話 ただ愛のために! の巻

ジュウザの元にフドウの軍の者がやって来てケンシロウが単身ユリアの待つ城に向かっていることを報告する。
それに答えてジュウザは「ならば行って ケンシロウを城まで案内するがいい おれについている必要はない!」と格好良いことをいう。

しかし、である。
これはどういうことなのだろう。
「ケンシロウが単身城に向かっている」
という事実に対し、
「ならば行って ケンシロウを城まで案内するがいい おれについている必要はない」
というフドウの軍の者への指示はちょっと難しい内容だと思う。

これは、次のことを背景にしているはずだ。
①報告に来たフドウの軍の者はケンシロウが城につくまでにケンシロウに追いつくことができる=>そうでなければ案内できない
②フドウの軍の連絡網がある=>連絡網などなくて、ケンシロウが城に向かうのを見届けた者がジュウザに報告に来たのであれば、①に矛盾する。なぜなら回り道してジュウザのところに来てさらにケンシロウのところに戻ることができるとしたら、ケンシロウの足がよほど遅いことになる。

①は確実に守らなければならないから問題は②をどう解決するかだが、この時代携帯があるようには見えない。のろしの可能性もあるにはあるが…。

謎である。
そもそも無理やりにでも、ケンシロウを車かバイクに乗せるべきだ。
そうすれば城に早くつくぞ。
自分で運転できなければ乗せてもらえば良いじゃないか。
ヒューイが立派なバイク持っていたのだから。

確かにラオウが軍を率いて移動する場合は時間がかかるだろう。
歩兵とかもいるだろうし、乗り物は黒王号という馬と決めていたのだから。
しかしケンシロウは「単身」で向かっているのだ。
であれば機動力のある移動手段を使うべきだ。

イメージ的には、先のシーンは以下の状況を背景にしていると思われる。
フドウの軍の者は、馬か車、バイクの移動手段を持っている。
ケンシロウは歩いて城に向かっている。
=>だからフドウの軍の者はジュウザに報告してもケンシロウに追いつくことができる。


もうひとつ、おかしな点を挙げると、ジュウザの「案内するがいい」というセリフ。
これはどういう意味だろう。
「案内」がないとケンシロウは城に到着できないということか。
どこに城があるが実はよくわかっていないというのであれば、そんなヤツを単身で向かわせたらだめだろう。

変すぎる。
ケンシロウも考えがないけれど五車星も本当に思慮が足りない。
みんな、何が重要でどうしなければならないかを考えなさいよ。

かなり善意に考えれば「案内」を「乗り物で送ること」として次のように考えればよいかもしれない。

ケンシロウが城へ向けて出発したという連絡をのろしかなにかで受けたフドウの軍の者はジュウザに報告する。
このとき、フドウの軍の者及びジュウザはケンシロウより城に近いところにいるかもしくはケンシロウより高速の移動手段を持っている。フドウの軍の者は、ジュウザの指示を受けてケンシロウに合流し、より高速の移動手段で城に向かわせる。

こう考えれば、
  ジュウザの元にフドウの軍の者がやって来てケンシロウが単身ユリアの待つ城に向かっていることを報告する。
  それに答えてジュウザは「ならば行って ケンシロウを城まで案内するがいい おれについている必要はない!」と言う。
のつじつまがあうと思うが…。

現実は、読み進めればわかるがフドウの軍の者(ジュウザに会った者と同じかは不明)が、バイクでケンシロウの元にやってくるが…さらに先を読んでいくと、やっぱり一人で歩いているよ、この人。
フドウの軍の者はどうしたんだよ。

第2話 われ死を知らず! の巻

実子を流砂に投げ入れてフドウを亡きものにしようとするヒルカを倒した後のケンシロウのセリフ。
「子を捨て心を失ってまでこの世になにを望む!!」
この発言だけをとれば、それは正しい。
しかし、シュレンが言うようにラオウの軍の兵は「恐怖によって忠誠を誓わされた野党ども」であり、彼等にも実は守りべき家庭があり子供があるかも知れないということを考えてみたこともなくあっさり倒してしまう人間にそれを言われたくない。

要は、ケンシロウは、深く考えることはしないで、表面上正しいことだけを吐いてまわる人間であるわけで、そういう性格の人間がさらに力も持っているため、多くの悲劇がおきていると思われる。

ケンシロウ、やはり自分の周りの狭いところしか見えない。大局的にものを見る能力がない。
せっかくフドウが頑張って先を急がせてくれたのに、フドウのところに戻ってきてしまう。
そして「おれに死はない!将と会うのが宿命ならば必ず会えるだろう!!」なんて脳天気なことを言う。
確かにケンシロウは死なない。
しかしケンシロウが南斗最後の将に会うのが遅れれば遅れるほど周りの者の血が流れることになることに気づいて欲しい。
ケンシロウは道草などしてはいけないのだ。
さきほどのセリフの直前にケンシロウは「人の血と涙でおのれの未来をつかもうとは思わぬ!!」とかいっているが、今やケンシロウは自分だけの体ではないことをちゃんと意識する必要が有る。
こんなこと言ってる時にも現にケンシロウのために多くの血が流れているのだ。

ケンシロウがしっかりしていればジュウザも死ななくともよかったかも知れない。

第4話 流れ去る雲よ! の巻

ジュウザはラオウにより瀕死の状態にされても、南斗最後の将の正体を明かさない。
さすがジュウザだ、と言いたいところだが…、
「だ…だれがいうかーっ!!知れば疾風となって将の下へ走る 天を握ったきさまが最後に望むものがわが将」って言っちゃってる。
これではラオウでなくとも誰のことだかわかっちゃうよ。
ジュウザ本当にいわないつもりだったの?
それとも、言うつもりだったが他の五車星の手前、直接言えないためにこうやってクイズ形式にしたの?

そもそも、この発言では、たとえユリアであると気づかなくとも、ラオウにとってはあって損になることではないはずで、結局は最後0の将の下へ向かう動機になる。

一体、ジュウザは何考えているんだ…と思ったら、次のような解釈が可能だった。

ジュウザはラオウに「喰えぬ男よ」と言わせている。
ラオウは、過去少なくとも二度ラオウの裏をかいている。
これを踏まえれば、案に南斗最後の将がユリアだったと思わせておいて、実は違う人間だった…という裏読みをラオウにさせることで逆に最後の将から興味をそらせるという策であったのかもしれない。
そうであれば、南斗最後の将=ユリアであると気づきやすければ気づきやすいほど効果的なわけだ。
要はジュウザは裏の裏をかいたわけだ。

今まで散々裏をかいてきた男の発言を真に受けるなど、おろかな人間だからね…と思ったら、ラオウはあっさり南斗最後の将はユリアであると信じてしまったよ。

ジュウザ、いろんな策を使うのもいいけど、人を選ばないとね。

第5話 いざ将の下へ! の巻

ユリア救出

ついにユリア救出のエピソードが登場。
五車星やるな・・・・・気絶しているユリアを抱くシンを囲む形で5人の人物が跪く。
フドウ、リハク、トウ、シュレン、ヒューイ・・・・あれ、トウは五車星じゃないじゃん。
おいおい、雲のジュウザ、だめだよ。
よく考えろよ・・・・愛した妹のユリアだろ、気ままな自由意志でも助けるはずだろ?
・・・・と、ふと考えた。
これは、ジュウザが自分の意思で来なかったのではなく、他の五車星のうちの誰かが、呼ばないことにしたんじゃないだろうか。
つまり・・・・、
ここでユリアを救った場合、ジュウザの性格からして「では妹の身は俺が守る」と言い張ってその後は収集がつかなくなる・・・
そう考えてあえて呼ばなかった可能性が考えられる。
そしてこれを思いついたのは、リハクだろう。他の行動パターンからそういうことをしそうな人間だと思える。
ラオウに姑息なワナを仕掛けたりするやつだからな。

シンの復権

かっこよくユリア殺しの汚名をかぶり去っていくシンに対してフドウの言葉・・・
「最後までケンシロウと戦いそして恋ゆえに果てていく気か!!」

ちょっと、まて。
シンは立ち去り際「いずれ おれかケンシロウ……どちらかがふたたびユリアの前に…その時まで決して死なすでないぞ!!」と言っている。
また、現にシンは前回の戦いでケンシロウを圧倒的強さで破っている。

この二つの事実があるのに「恋ゆえに果てていく」はないでしょう。
普通はシン有利、厳しく見積もっても五分五分じゃないか?

フドウの独断的考えには本当についていけん。

お人好しのシン

シンよ、
ユリア殺しの悪名かぶるのも良いのだけれど、そもそもユリアは自殺だよ。
シンは殺してないよ。
だから「ユリア殺しの悪名かぶる」必要など最初からない。

それに、疑ってみれば、ユリアはちゃんと五車星が助けてくれることを知っていて、飛び降りたのかも知れないぞ。
再登場してからのユリアの行動を見ていると、その可能性は非常に高い。
シンよ、いいように騙されたな。

すでに書いたが、おまえは北斗神拳伝承者ケンシロウを余裕で倒した人間だぞ。
そして、ラオウはケンシロウに伝承者争いで敗れているのだ。

何を恐れる。
ラオウを倒せば良いだけじゃん。

このあたりはしかたのないことだ。
マンガの連載では後に出てくる敵ほど強くなければならないからね。
最初の強敵シンはそれで連載が終わるかもしれない時に出てきたからケンシロウを倒すほどに強いが、なまじ北斗の拳の人気が出たために、最強の敵では無くなったという矛盾が生じた。
しかし、これも長い物語を通じてみればほとんどの読者が気づかず、「確かにユリアを心底から愛するのであれば、死んだことにするのは良いアイディアだ。シンがかくまっても、シンはラオウには勝てないから結局ユリアを奪われるわけだからな」なんて納得してしまうという按配だ。

ラオウとの遭遇

さて、ケンシロウはついに最後の将(=ユリア)のいる塔の入り口に立った。
そこでラオウと遭遇・・・・・。
13巻第7話「躍べよ雲」で言った「おれはラオウを倒せばそれでいい!!」を達成する絶好のチャンス到来!!
ここで景気良くラオウを倒し、その後で堂々とユリアに会いに行けーーーーーー!!

・・・・っと思ったら、あっさりラオウに先をこされてしまうケンシロウ。
「ラオウの中にもこれほど強くユリアが…」って言っている場合か。

人生の修羅場をくぐってきた数は圧倒的にラオウの方が上ってことね。
ケンシロウって温室育ちの坊っちゃん?

ラオウの悲しい恋。

ユリアのいる城に到着したラオウが同じく到着したケンシロウに言い放った言葉、
「この拳王にふさわしい女!ユリアのほかにないわ!!」は、悲しい。

なぜなら、ラオウがユリアに恋心を感じたのは、少年時に修行で傷つき倒れたラオウの背中の傷をユリアがそっと布で拭った時に、傷の痛みが消えた時に始まっている。

これは、痛みからの開放による快感と恋愛感情との混同ではないだろうか。
どちらかというと、奇跡を起こす者に対する宗教的信仰に近いように思える。

いずれにせよ、ラオウがいう「ふさわしい女」は、「自分の傷を癒してくれる女」のことで、いわゆる情愛とは関係ないところで決せられるのだ。

修行、修行の中では、修行の苦しさを癒してくれることが彼女とする条件なのだろう。
これは仕方ないことで、それに特化した能力を有するユリアが北斗兄弟皆に求められることになったのだろう。

本当に北斗の拳の中の愛はわからんが、自由恋愛ではないことだけは言える。
選択の幅がないのだから。

第7話 その時は きた! の巻

ケンシロウは救世主ではない

足音が聞こえるまでにケンシロウとユリアは近づくが、ケンシロウがやはりおかしな行動に出る。
「ユリアとは会えぬ!!」「ラオウある限りユリアに生はない」なんて言う。
おそらく五車星も他の者達も、「ラオウに会う前にケンシロウにユリアを会わせたい」と思って頑張ってきたはずだ。ユリアに会うことでケンシロウの人間の巾を大きくできると考えて。
しかしこのケンシロウという男つくづくだめな男なんだ。
周りの者の命を賭けたサポートに対し、自分勝手な理屈でユリアに会わない。
頼むよ本当に。

ケンシロウがラオウに勝つためにはユリアに会わせないと、と思って皆が頑張ってるのに、ラオウに勝ってから会うなどというのは本末転倒もはなはだしい。
大体この巻の第5話で1メートル以内にラオウがいるという戦いの絶好のチャンスがあったではないか。
自分でそのチャンスをフイにしておいてよくもこんなセリフが吐けるものだ。

この自己中心的な発想は治らない。

しかしこれは仕方が無い。
物心ついた時からケンシロウは、一子相伝の北斗神拳の伝承者候補として育てられてきたのだ。
伝承者争いに敗れたら拳を封じなければならず自らのアイディンティティを喪失してしまうのだ。
自分のことのみ考えなくては伝承者にはなれない。
一子相伝とはそういうもの・・・・・伝承者は救世主などではない。

ラオウのフライング

ここでラオウはリハクが仕掛けたワナを破る。石造りの天井が頭上に落下するワナに対し、ラオウは右の拳を握り高々と突き上げて天井を砕く。
こ・・・このポーズは・・・・・、「わが生涯に一片の悔いなし!!」ポーズだ・・・。連載時や初めて読むときには絶対気づかないなこれは。
作画の原哲夫もこのシーンを描いていて、これをラストに使おうと思ったに違いない。

第8話 血の奔流! の巻

リハクの目に、ケンシロウの背後に「強敵(とも)」達の姿が見える。
そこのデッサンのうちでサウザーの足がちょっとおかしい。かなり無理のある姿勢だ。重心からみて3秒後には後ろに倒れそう。それともリンボーダンスの特訓中?
描画ば抜群にうまい原哲夫には珍しい。

次は良い点を書きます。
シンの右手が普通の状態でならかかれているであろう場所にかかれていない。
これは、主人公であるケンシロウの手と重なるため、全体の絵からみてケンシロウが目立たなくなってしまうことによると思われる。細かい計算がなされている。

ひょっとしたら、先のサウザーの足も計算?

あと、私の勉強不足なのですが、ケンシロウとシュウの背後にいる人物がだれだかわからん。
シバ?

第9話 運命の罠! の巻

北斗が4兄弟ではなく5兄弟だったという話。
第五の男キムはラオウ、トキよりは下で、ケンシロウよりは上だ。
ジャギとの関係は不明。

順番はともかく、要はジャギはキムよりは才能があっという事実、つまりジャギは弱くないという事実がわかる。
伝承者決定の最後の時までジャギは残っていたわけだから、読者が考えているほどジャギは弱くないぞ。
そこのところをちゃんと評価しなければならない。

みんな、ラオウ、トキ、ケンシロウは優劣つけがたい才能だと思っているのに、ジャギは明らかに劣っていると考えているからな。
そりゃあ、ジャギも性格曲がるよ。