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【エースをねらえ!】お蝶夫人は何故肉離れを起こしたのか


お蝶夫人が自分が持てる全ての力を以って、ひろみと対戦しようと、蘭子とともに、桂コーチの下、トレーニングしていた際、肉離れとなってしまいひろみとの対戦が不能となってしまった。なぜこのようなことになり、これはどのような意味を持つのであろうか。

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肉離れを起こした瞬間のお蝶夫人。この時、本人にだけ聞こえる「ブチッ」という大きな音がしたはずである。(経験者談)

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左ふくらはぎの筋断裂ですね。痛み少なく歩くには、痛い方の足を進行方向に対し90度開いて歩くのが良い。お蝶夫人が半ガニ股歩きになるなんて…ありえないので、即入院されます。

肉離れの原因

お蝶夫人のこれまでのトレーニング

第18巻24ページ、岡に踏み台にされるための試合で全力を出すために必死のトレーニングを桂コーチの助けを借りて開始するお蝶夫人と蘭子。その時のお蝶夫人のセリフが「きつい…!こんなきついトレーニングはしたことない…!!」というもの。桂コーチは宗方コーチの後を継ぐひろみのコーチである。つまり、ひろみがこれまで積み重ねてきたトレーニングは、お蝶夫人が行ってきたそれと比べて非常に負荷の高いものであったということを表している。そして、お蝶夫人にとっての今回の試合の目的が、勝つことではなく、お蝶夫人の今のベストの力でひろみと戦うことであり、さらには強度の強い練習が必要であるという判断から、桂コーチとお蝶夫人は合意の上で高負荷のトレーニングを行っていたのである。

桂コーチのトレーニング

桂コーチが考える「お蝶夫人がひろみに挑むために最大限の力を発揮するためのトレーニング」が、第18巻に描かれたようなお蝶夫人をして「きつい…!」と言わしめるようなものだったということである。このトレーニングが初めて描かれたのは第18巻20ページであるが、22ページで既に、「だめだ 毎朝1時間走ってから来い!」と桂コーチに言われる始末であった。それほどまでにひろみとお蝶夫人の実力に差があるというこたである。その差をトレーニングで埋めようというのだから、それはつまり、お蝶夫人の肉体にかなりの負荷がかかるということである。そして悲劇は起きた。

桂コーチの責任の有無

お蝶夫人が肉離れを起こした原因は、桂コーチがオーバーワークさせたからという理由が考えられる。この場合、桂コーチはコーチ失格である。怪我を招くようなトレーニングをさせるなどあり得ないから。しかし、そうではなさそうなことが、第18巻70ページで尾崎が、次のように言っていることから推測できる。

「肉ばなれだなんてどうしてそんな無理をされたんですお蝶さま!それもコーチの留守中に!」

尾崎は、肉離れは無理なトレーニングをした結果、つまりオーバーワークしたと最初の文で言っている。そして、第2文で、「それもコーチの留守中に!」と言っている。この第2文が大切で、このセリフは、桂コーチの責任を回避させる意味を持つ。肉離れを起こした時には、桂コーチはいなかった。つまり、桂コーチの管理下にない自主練時の無理なトレーニングで怪我をしたということである。ゆえに桂コーチに責任はないということを三段論法的にではあるが描いているのだと思われる。

肉離れの意味

お蝶夫人としての意味

肉離れとなってもお蝶夫人は過度に嘆くことはなかった。直ちに蘭子に想いを伝えている。第18巻50ページでこう言っている。

最後の調整段階にまできてこんなことになるなんて本当に残念です…!がこうなってはあなたにお願いするしかありません!

お蝶夫人にとって、自らの精神が願えども、肉体がトレーニングについていけなかったことは認めざるを得ず、もはやここまでとある意味清々しく諦めたということだろう。本気のひろみと本気で対戦できるチャンスは、これっきりで、その準備段階で脱落したのだから、ひろみに負けたと諦めると。治療が進み落ち着いた後も、お蝶夫人はひろみとの再戦について口にすることはないから、これは肯定できそうである。この辺り、安っぽく流れないところが「エースをねらえ!」の良さである。

物語としての意味

まあ、「エースをねらえ!」としては、お蝶夫人もひろみ同様神格化しておきたい、というより、当時連載を読んでいたファンはひろみがお蝶夫人を倒すというスポーツの世界のリアルな残酷さを望まないだろうと考え、肉離れという、現実的に考えれば、対戦さえできずに引き下がるというより恐ろしい方向を選んだということだろう。