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【北斗の拳】第2巻 シンとの決着。その後描かれるシンは別人


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この巻でシンとの戦いに決着がつく。シンに勝つことで一応の物語の決着はつくので、人気が出なかったら、まずは連載はここまでと考えていたのだなと思わせる。

シンの拳法が南斗聖拳という点がそれを補強する。北斗「神」拳と南斗「聖」拳と、「神聖」という言葉を分けてそれぞれに組み込まれているし、南北も対になっているので、明らかに2つの拳しか想定していなかった感のある設定。それゆえ、その後に出てくるシンの設定は、意外にいいヤツだったりするのだけれど、そんなのはシンとは言えなくて、シンはユリアのことだけを思って、無茶苦茶なことをするヤツでこそシン。故にこの後に出てくるシンの逸話は全て別人の話がシンの話にくっついただけと考えるべし。このようなことは歴史物語にはよくあること。

第2巻 第1話 執念と怒りの巻

ここでついにシンと対決する訳であるが、技は百烈拳である(多分)。ジードなんていう雑魚を倒した時と同じ技。しかも技の名も言わない。シンに対して失礼であろう。
その点、シンはわかっていて、1年前ケンシロウを倒した時にはちゃんと「南斗獄屠拳」と叫んでいる。ただそのシーンは両者が同じポーズで飛んでクロスしているだけで、これでどうしてケンシロウの両手両足から血を吹きだすことができるのか不明。そもそもケンシロウが自分と対称の形で飛んでくれることをどうやって期待するのだろうか。
絵的には美しいけれど。
加えて、「南斗獄屠拳」は「拳」という名前を付けられながら、絵的にはどう見ても「蹴り」である。
まあ、拳法なのだから蹴りもあろうが、まさに蹴っている時に発生するのなら「南斗獄屠拳XX脚」とか言って欲しい。
しかしこれは確信犯と思われる。
サウザーの「極星十字拳」も結局は蹴りを出した後に発声しており、その後特に手技が出てないみたいだし。

それとも、この拳が、ケンシロウの両手両足を左右対称に攻撃していることから見て、攻撃姿勢は敵と対称となる姿勢をとるのがこの「南斗獄屠拳」の肝なのかもしれない。
であるならば、もしケンシロウが岩山両斬破のポーズならシンも岩山両斬破、残悔拳の手つきなら残悔拳の手まねをしていたということになる。ケンシロウが「ちょっとトイレ」と右手を出せばシンも同じ様なお茶目なポーズをして「南斗獄屠拳」を決めたという訳だ。

第2巻 第2話 巨星堕つ時の巻

ここでも後には大きな矛盾となる話が出てくる。ユリアが高い塔から飛び降りてしまうのだ。
これは痛い。

南斗最後の将ともあろう人間が、南斗北斗の将来も考えない行動をしてしまうなんて。
ここではユリアはケンシロウしか見えていない。
「ケ…ケン あなたとの約束を守れなかった…」なんて言ってしまっている。

南斗の行く末などこれっぽっちも考えてない。まあ、この場面はシンの回想シーンであるので、シンの思いこみであり事実とは異なると理解できなくも無い。

しかしシンの思い込みであるならば、逆にシンは南斗聖拳の使い手でありながらなぜかユリアを南斗最後の将と知らないことになりそれはそれで間抜けだ。

しかも、シンはケンシロウに敗れた後も、ユリアが生きていることをケンシロウに明かさない。
負けたのだから言えば良いだろう。


さて、いくつかその後のストーリーとこれまでの話の整合性が取れないと書いたが、恐らく「北斗の拳」連載開始時には信徒の対決までの話で一区切りとして、人気がでたら連載を伸ばそうとしていたのではないかと思われる。
だから、ここまでで色々な話が閉じている。

また、ほぼコミック1冊で終わらせることが可能な分量(実際は2巻の前半まで費やしているが)でシンを倒すところまで書ききっている。
だから人気が出なければコミック全1巻で終わりというように最初から決まっていたと推測する。

しかし人気が出た。
だから次のシナリオが必要になった。
そしてそれが吉と出た。ラオウ、トキという素晴らしいキャラを生んだのだ。
いや、一番の収穫は「ジャギ」「アミバ」というすばらしいキャラを産んだことだ。
りあるタイムで北斗の拳を読んだ世代の方々、もう一度読み返してほしい。
「ジャギ」「アミバ」の気持ち・・・わかるでしょう。


シンだけで終わっていたら、単に「女を取りあう兄弟?喧嘩」に「神拳」や「聖拳」を使うというあまり武道家にはふさわしくない二人の男の話で終わっていた。
とはいっても、ラオウやジャギと戦っても「兄弟喧嘩」なのだから、「神拳」使うのはどうかなあと思える。
よく考えて見ると、「北斗の拳」って次から次へと兄弟喧嘩を繰り返している。ラオウ以後もケンシロウの実の兄弟が出てきたり、挙げ句には、身内の無いはずのリンの姉妹まで出てくる。


北斗の拳は、兄弟がテーマなのかもしれない(?)。

あと、少しだけ不思議な点が・・・・。
シンを倒した後、ケンシロウはシンのために墓を作ってやる。この時代も墓を作る風習はあるようだ。
であれば、ケンシロウは、なぜシンからユリアの墓のありかを聞かなかったのだろうか。
ユリアを心から愛していたのならユリアが死んだと聞けば墓はどこか聞き出して墓参りするだろう、普通は。
でもケンシロウはそれをしない。

なぜだろう。
ケンシロウにとってユリアはやはり「自らの所有物」であって死んでしまっては価値が無いということなのだろうか。
冷たいなケンシロウ。

尚、この話で最初の大ボスであるシンを倒すが、未だ「強敵(とも)」というサイコーの表記は出てこない。

第2巻 第8話 野望を断つ涙!の巻

ケンシロウが「おれは生まれた時すでに暗殺者だった」と言うのだけれど・・・おかしい、おかしすぎる。
もしそうならば、ケンシロウはリュウケンの実子であるか生まれてすぐにリュウケンのところに託されたことになる。
しかし、そのような話はそれ以前も以後も一切無い。

百歩譲って実の親が拳法家だったかもしれないが、とはいえ、拳法にも色々あり、暗殺拳ばかりでは無いだろう。

しかももし生まれながらに暗殺者の血、北斗の拳の血が流れていると言うのであれば、伝承者争いは出来レースではないか。かわいそうなジャギ以下3名。

このセリフ一体どんな意味があるのだろう。
セリフとしてはカッコ良いけど…、ん?
本当にカッコ良いセリフか?
これは「おれは生まれた時から血も涙も無い人間なんだよ」という人でなしの告白ともとれるぞ。
ケンシロウは本当にどうしようもない人間だったんだなあと再確認されるセリフということか。

言わなきゃ良かったのではないか?