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【北斗の拳】第10巻 サウザーとは誰なのか


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第10巻 第1話 水鳥は飛ばず! の巻

作画について。
意図せざる効果というかすばらしい出来なのだ。

それというのも・・・・
この巻ではどうも前半部分がカラーだったようで、単行本では白黒であるが絵的には全体的に塗りこまれたリアルな描写になっている。
この間、ユダの策略で、ダムを決壊させることでレイの足封じに成功する。
レイ絶体絶命のピンチ・・・
ケンシロウが決壊を食い止めようとダムに到着。決壊させた小物ボスを倒す・・・とここまでがカラー。
そして一転、カラー(であったであろうページ)から白黒ページへ切り替わる。
するとどうだ、既に述べたように単行本ではもともと白黒だが塗りこまれた印象から、白黒はっきりした絵に切り替わることで画面が明るくなった感じがする。
これは即ち「レイ・ケンシロウ逆襲」の「明るい兆し」を表している。
現に「白黒ページ」に切り替わったしょっぱなのコマはケンシロウがダム決壊を食い止めるシーンだ。
そして間髪いれずレイ逆襲に移る。
カラーのため今までが塗りこめられた感じなので非常に画面が「明るく」白っぽく感じる。
で、画面が明るく白っぽいのは「明るい兆し」からだけではなかった。
なんと、レイの繰り出す南斗水鳥拳奥義が「飛翔白麗」と「白」がつくのだ。
恐れ入りました。

でも、これ多分カラーページと白黒ページの枚数上たまたまこうなっただけなんだろうな・・・・きっと。

【一口メモ】

南斗水鳥拳(なんとすいちょうけん)のレイがピンチに立った時の題名は「水鳥(みずどり)は飛ばず! の巻」であった。
同じ「水鳥」でも格好良いときは「すいちょう」と読み、ぶざまなときは「みずどり」と使い分けるところに原作者の技がきいている。

 

第10巻 第3話 狂乱の南斗! の巻

サウザーが建造中の聖帝十字陵を前にラオウは登場と同時にいきなりサウザーの兵を黒王号で踏みつける。
この一事のみを以っても既にラオウの行為が全体で見れば必要悪であったということはいえない。
この小さな1事件は全く無意味な行為でありこの兵は倒すべきではなかった。

また、ラオウの口から「聖帝サウザー」と最初口をついて出てくるのは良いとしても、
その後「聖帝よ 今のうちに走るがいい!」というのはちょっと・・・・。
ラオウも「拳王」と自ら名乗るくらいであれば、サウザーが「聖帝」であることをラオウは認めてはいけない。
「サウザー」と呼び捨てにしてほしいところである。

第10巻 第4話 南斗白鷺拳! 乱舞!! の巻

ケンシロウが妙なことを言う。
「南斗人聖拳に脚が!!」
これは、南斗聖拳には通常足技は無いということなのか。
あれ?ということは、シンの南斗獄屠拳も後に出てくるサウザーの極星十字拳も足技ではないのか?南斗獄屠拳が足技でないのなら合点がいくこともある。明らかにキックの姿勢でありながらケンシロウの両腕両足にダメージを与えているのは手技であったということならわかる。我々凡人には蹴りにしか見えない手技ということか。
難しい・・・・か、確信犯的ギャグなのだろうか?

第10巻 第6話 南斗の帝王! の巻

シュウが言ってはいけないことを言ってしまっている。
「サウザーの星は 極星 南十字星 またの名を将星! 独裁の星!!」
「他の五星は将星の衛星に過ぎん!!」・・・・と断言。

つまり、ユリアもサウザーの衛星に過ぎないのだ。
ま、ユリアが表に出てくるのはサウザー亡き後だからかろうじて話の破綻は免れているが。

でも、待てよ。
ケンシロウとサウザーが闘っているとき、ユリアはサウザーを助けるべきであったのではないか。しかしユリアが積極的に何かをした形跡は無い。
ユリアのこの行為はサウザーに対する不作為の罪ではないだろうか。
五車星もユリアの私情で右往左往するのではなく、南斗としてどうすべきかの視点でアドバイスしろよな。

まあ、でも衛星に過ぎんはずのシュウはサウザーにたてつくし、シンもレイもサウザーを一顧だにせず独自の道を生きていたみたいだからいいか。

第10巻 第7話 帝王の微笑! の巻

弱気なラオウ

ラオウがサウザーの謎について「その謎こそわたしが聖帝との戦いを決しなかった理由なのだ!!」と言っている。
ラオウの口から「聖帝」という言葉がまた出たよ。
ここは「その謎こそわたしがサウザーとの戦いを決しなかった理由なのだ!!」と言うべきだった。
怪我の治療でラオウも弱気になったのか。
「わたし」というのも・・・・お茶目で良いけどやっぱり変。

弱いサウザーを強く魅せる原作者

さて、サウザー自身についてであるが、将星という割に拳法は弱い。

そのくせケンシロウと一戦を交える前に、大口をたたきまくる。
  「ほう…でかくなったな小僧……」
  「ふん でかい口をきくようになったな小僧」
上二つは表現が対になっているぞ。
しかしでかい口をきいてんのはサウザー、お前だぞ。

  「フフフ…おれは南斗聖拳最強の拳法南斗鳳凰拳をみにつけ……
   そして体に流れるのは帝王の血!!」
よくもまあ言ったものだ。

しかしその後しばらくしてケンシロウに「秘孔の中でもっとも破壊力をもつ必殺の秘孔」である「人中極」をあっさり突かれてしまう。
たしかにサウザーは倒されはしなかったが、それは「南斗聖拳最強の拳法南斗鳳凰拳をみにつけ」たからではなく
「体に流れるのは帝王の血」であるサウザーの生まれつきの体の特徴のおかげに過ぎない。

これを読んだ読者は絶対に「南斗鳳凰拳しょぼいなあ」と思うはず・・・と言いたいが、この時点ではサウザーの体のことなんか知らないから、逆に「南斗鳳凰拳ってすごい、北斗神拳の必殺の秘孔を突かれても倒されない」とミスリードされてしまう。
体の秘密を知った後であれば「南斗鳳凰拳&サウザー=弱い」となってしまうエピソードが、秘密を知らないと、逆に「南斗鳳凰拳&サウザー=恐ろしく強い」になってしまうのだ。
原作者の武論尊はわざとやってるんだろうなあ。
連載マンガならではの高尚な技だと思う。

「帝王の微笑!」の微笑は何をさすか?

さて、題名の「帝王の微笑!」とはどの場面のことだろうか。
この話の中でサウザーが「微笑」もしくはそれより広義で「笑っている」シーンは次の通り(結構ある)。

①「フ…確かに強くなった…どうやらラオウがほれた素質がめざめたようだな」
(南斗双斬拳を使う二人組みをケンシロウが倒した後)

②「フフフ…おれは南斗聖拳最強の拳法南斗鳳凰拳をみにつけ……」
(ケンシロウと今まさに闘おうとする場面で)

③「フフよくぞ極星十字拳をかわした!!」
(ケンシロウに一発目の極星十字拳を繰り出した後)

④「フ…フフフ みきっただと……」
(ケンシロウに「おまえの拳はすでにみきった!!」と言われた後)

⑤「よかろう フハハハハ ならばもう一度極星十字拳を受けてみるがいい」
(④の直後)

⑥ニタリ
(ケンシロウに秘孔「人中極」を突かれた後)

⑦「フ…… フハハハ!!」
(⑥の後、ケンシロウに三秒の命と言われ、自ら3つ数えた後)

⑧「フハハハハ この体には北斗神拳はきかぬ!!」
(⑦の直後、ケンシロウの胸を十字に切り裂いた後)

さあ、どれが「帝王の微笑!」なんだろう。
サッパリわからん。

しかしこの人笑いすぎだ。
しかも他人を見下し馬鹿にして笑っているのがほとんど。
生まれながらの帝王だけに性格が歪んでるのか?

わからん。
感情が豊かなだけなのかもしれない。

確かに「帝王の微笑!」という題名はキャッチーだけどそれがどの場面だかわからんというのはちょっと困りもの。
しかしまあ、北斗の拳の場合「キャッチーな題名」も魅力なんだけれど。

第10巻 第8話 鮮やかなるシバ! の巻

サウザーというか南斗鳳凰拳は弱い。
それは第7話での戦いのエピソードだけでなくこの第8話では、サウザー自身こんなことを言う。
「たしかに拳の勝負にはきさまが勝った!!」
…ってあんた、そりゃ無いでしょう。あっさり認めて良いのか?
確かに「帝王の血(=特別な体の特徴)」でケンシロウに戦いでは勝ったが…。

しかしまあ、こういう設定にしないと、生まれながらの特徴を持っていてかつ、南斗鳳凰拳が本当に最強で北斗神拳と互角の拳法であるならば、ケンシロウが勝てる隙が全く無いから仕方がないんだけど。
でもさすがに「たしかに拳の勝負にはきさまが勝った!!」と言ってはいけないよ、サウザー。