Golden Time

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【エースをねらえ!】第4巻 例外メンバー 岡ひろみの巻


岡ひろみを中心に回り始めた巨大な歯車が遂に全て噛み合い、前進し始めた。そんな感じの第4巻。まあ、色々あるのだけれど。

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表紙

なかなか良いですね。ひろみと藤堂の顔がアップで、その横にバラの蕾。恋が始まることの象徴でしょう。しかもバラにはトゲがあるから茨の道であると。そして気になるのは2人の視線。同じ方向を見ていません。特に藤堂が前を向いているのに対し、ひろみは下を向いている。これは意味深です。

今度は男二人

第3巻で、お蝶夫人と蘭子が岡ひろみに対し愛憎相半ばの複雑な心境を見せた。今度は第4巻67ページで、藤堂と宗方コーチが両者の岡への愛に気づき複雑な気持ちになる。

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こういうのの描写がほんと上手くて引き込まれる。そして71ページで、あの名言が出る。

男なら 女の成長をさまたげるような愛し方はするな!

この宗方コーチから藤堂への言葉。"さすが宗方コーチ、岡のこと第1に考えている"と言いたいところだが、一見合理的に見えるこのセリフ、「女の成長をさまたげるような愛し方」がどういうものかサッパリ分からない。藤堂は分かるのだろうか。これ、意味不明なことを言ってケムに巻き、結局は藤堂に岡に手を出すなと言っているだけに等しい。「女の成長をさまたげるような愛し方」について、藤堂が少しでも考えてしまったら、それでもう勝負あり。宗方コーチの勝ちである。宗方コーチは、つきっきりで岡にトレーニングを施す。その間は確実に二人の時間だ。一方の藤堂は、朝の自主練や練習後に家に送るくらいであるが、それもたまに実行している程度。さらに宗方コーチの言葉が心理的制約となって藤堂の岡へのアプローチを妨げる。いやあ、宗方コーチ、一人の女性を巡る駆け引きにおいては、高校生相手に容赦ない。

宗方コーチの恋の某略

宗方コーチ、岡ひろみの心を強引に奪い取るために、藤堂に容赦ない牽制をするだけでなく、岡ひろみ本人にもクギを刺すのを忘れない。112ページで、

どうだ その技を使いこなすだけ心はのびたか
いつまでも恋のとりこではその技が泣くぞ

なんて言う。これは酷い。「技を使いこなすだけ心はのびたか」ってどういうこと?技が泣くって?何度でもいうけど、何言ってるのかさっぱり分からない。具体的に何かさっぱり分からないのに束縛する言葉を吐くのは卑怯というもの。

女子スポ根マンガとは

第4巻ラストの187ページが女子スポ根マンガの真髄なのかもしれない。

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これ、最後にボールを打っているのが、このマンガの主人公岡ひろみさんです。これは、気迫がこもっているというより、単純に怖い。ウォーキング・デッド状態。この上半身の角度に対し、この右手は全身を使ったテニスではなく、完全に手打ち。しかもラケットの面とボールの当たり方から見ると、これどこに飛ぶんだよ。左上の「ぶったおれるまでやってやる!」というセリフもただただ怖い。これが1970年代女子スポ根マンガというものか。