宝力さんが自滅する巻です。これは寓話的でなかなか良いです。読み返すとゾクゾクします。時限装置が働くように自滅していきます。ただし、ここではそれには触れません。主にお蝶夫人がひろみ好きすぎなことについて書きます。
宗方コーチの謎発言
現在の西校コーチである太田に対し48ページで宗方コーチは、
おれはあすはやすむ
そのときやらせたらいい
と言っている。なんの変哲も無い発言が、なんの説明もなく出てくるのは、おかしな発言であるということである。
なぜなら、明日もテニス部は練習があり、岡ひろみも参加する。ひろみが参加する練習に専属コーチが参加しないのは少しおかしい。これは、後々の展開への布石なのだと思われる。宗方コーチは、明日、休まざるを得ない理由があったのだ。竜崎氏に呼ばれているとかなんでも良い。しかし、休むことは文字になっているが理由は書かれていない。これは伏線と言えるかもしれない(ここまでネタバレしておきながら言うのもなんですが、未だ先を読んでいない人の為に、ここは曖昧に書いておきます)。
お蝶夫人の時限爆弾
第7巻16ページでお蝶夫人は、ひろみに、
もしふたりのあいだにはさまれてしまったら
ひとりでなやんできずつくまえに
あたくしのところへくるのよ
あたくしがいることをわすれないで…!
と言っている。ここで言う二人とは、もちろん宗方コーチと藤堂である。そして、第8巻156ページで、ひろみは、
わたしは 恋もテニスもすてることができない
コーチからも藤堂さんからもはなれられない
と言っている。お蝶夫人の予想は当たりそうである。あとはそれがいつ発動するのかだけの問題になっている。
精神的に辛そうなお蝶夫人
しかし、肝腎のお蝶夫人の方が大変なことになっています。もはやひろみは自分の手の届かないところへ行ってしまったことを悟ったお蝶夫人(173ページ)。
これほどまでに精神的に辛そうなお蝶夫人の顔はこれまで描かれたことはなかった。お蝶夫人は本当にひろみのこと好きすぎておかしくなっている。そしてこの後、お蝶夫人は自らがひろみの礎になることを決意する。
だからお蝶夫人、ひろみのことを好きすぎなんだよ。もっとリラックスしなよ。