おおっ!ひろみは藤堂と同じ方向を見て、笑っているぞ!
表紙の異変
これまで表紙ではひろみは一切笑ってこなかった。しかしこの第17巻。藤堂と一緒に爽やかな笑顔を見せている。これは、ひろみの精神的肉体的成長を象徴しているのではないか。
宗方コーチと藤堂
もちろん回想である。宗方コーチがひろみのことについて藤堂に話す。
岡をたのむ
打てる手は総て打った
あとはお前が常にそばにいてささえてやってくれ…!
完全に託したのね、岡を…え?
打てる手は総て打ったから…え?
桂コーチは?まあ、桂コーチに引き継いだことも打てる手はとは言えるが…。宗方コーチは、藤堂と桂コーチに別々のものを託したのだろう。
バレエのような
自らの美しいフォームについて、ひろみは、次のように語っている。
いいえまだまだです わたしなんか(略)
プレイ中 バレエのような美しいフォームをするなんてといいかけて
とてもしかられました
ほんとにあのころのわたしはいいかげんでした
で、これがそのしかられた場面。5巻37ページ。
関東二次メンバー選抜試合の2回戦で勝ったあとの出来事。ちょっと待て!関東二次メンバー選抜試合とか、普通の高校生なら出場するだけで大喜びの試合ではないか。しかも試合に勝ってさえいる。そんな実力があるにも関わらず、「ほんとにあのころのわたしはいいかげんでした」とか言ってる。しかし、当時の描写を見るに真剣にバレエのようにテニスをするのは無理じゃないかと言っている。これを称していいかげんでしたと言われてしまうとちょっとね。
神谷くんに難題ふっかける人たち
真剣にテニスで成長したいと願う神谷に、千葉は、バレエのフォーム、空手の気合いの2つから、テニスに活かす何かを学びとれと言う。いやいゆいや分からんし。しかもこのお題に対し、ひろみは、
すみません千葉さん 神谷君のために…
ありがとうございます!
なんて言っちゃってる。2人して難題ふっかけるのやめなよ。
岡造園事務所の娘
54ページ。庭の水やりをするひろみ。ここで丸い形の花壇が描かれるのだが、そこには、「ひろみの花だん」と書かれている。造園事務所の娘としてあるべき生活だ。
唐突なお嫁さん話
56ページ。突然ひろみは結婚願望?を表す。
おくさん…おくさん…か…
わたしもいつかお嫁に行くんだなぁ…
お嫁に行くならわたし…
といい感じで心の中で呟くのだが、そのシーン。藤堂に焼き芋買ってもらって食べながらという。まあ、こんな話はすぐ切り上げられてしまうが…これが直ぐに効いてくる。国際トーナメント第1日目。3-0でリードされて流れを変えるために、頭を切り替えようとしたときに浮かんだのは、藤堂と食べたあの焼き芋。
おいしかった あのやきいも
ただの焼き芋じゃない、「あのやきいも」なのだ。これで気持ちはしっかり切り替わるのだからテニスは分からない。
スパイの裏をかくひろみと桂コーチ
105ページ。ベル・ブラウンを倒したひろみについて、アンジーは兄のエディに国際電話を架けてこう言う。
ひろみのプレイがちがうわエディ!
これ、エディのダブルスパイ偵察活動の失敗を意味する。エディが持ち帰ったひろみの情報は既に陳腐化したものだったのだ。このため、エディの情報を元にひろみ対策を練ってきた対戦相手は、そのプレイの違いにより驚くとともに戸惑うことになる。第16巻でオーストラリアに戻ったエディは、アンジーとジョージィに対し、第16巻時点のひろみの実力や特徴に基づく対策を授ける。日本に出発する日まで徹底的にシゴクと言っている。しかし、ひろみは打点を変えることまではエディに見せていない。エディがシゴケばシゴクほど、ひろみの現在とは離れていく。これが、アンジーに「ひろみのプレイがちがうわ」と言わせた原因である。比較的あっさり言っているが、腹では「このクソ兄貴!何時間の無駄なことさせてくれたんだよ!勝ってるくらい思っているだろう。対戦相手にとって、ひろみがダークホース的立場から、プレイを研究され対策を取られる側になったというエピソードを逆手に取った上手い展開である。誰でもネットに繋ぐことができて、ビデオも撮って送ることができる今では考えられない。古き良き時代である。