Golden Time

時はお金で買えませんが、時間はお金で買えちゃいます。

【秒速5センチメートル】桜と雪と雨と傘とカッパ


「秒速5センチメートル」にて降るものは、桜、雪、雨。そしてもう1つあるが、これは後述。通常の場合、これら降るものに対しては、人は雨具を用いる。

では、あまり雨具は描かないようにしている節がある「秒速5センチメートル」であるが、降るものはたくさん色々降っているこの物語において、どのような雨具をどの場面でどのように使用しているのか、そしてその意味は何か考えてみる。

第一話で貴樹が鉄道に乗って明里に会いに行く際に障害になるのがこの雪。貴樹は学校を出る際にコートのフードを被るが直ぐに電車に乗ってしまい、結局、雨具は使わない。明里も使うシーンは描かれていない。話中、雪が長く降っているのであるが、傘はそれほど出てこない。乗り換えの大宮駅まで傘は出てこない。この大宮駅で、椅子に座るビニール傘を持つ人物や行き交う人の中に1人だけ傘を持つ人物が描かれるが、それ以外に傘は描かれていない。野木駅で2人降りるが、傘をさすのはそのうちの1人のみ。途中乗り換えの小山駅でも、傘を持つ者は1人のみ。結局、岩舟駅でまつ明里も傘を持たない。ここまで、傘は4本しか描かれていない。いずれも折りたたみ傘を持っている可能性はあるが。

第三話では貴樹がコンビニに入る時から雪が降り始める。貴樹はここでもコートのフードを被るが、傘はささないし、周りもさしていない。交差点を渡る場面で、歩行者の3分の1に当たる4本描かれるが、雪降るシーンの多いこの第三話において傘が描かれるのは、これのみである。

第一話で貴樹があかりに会いに行く際、最初は雨がザアザア降り。それが授業が終わる頃には雪混じりの雨になり、貴樹が校舎を出る頃には雪になっている。ザアザア降りであったのに、貴樹が明里に会いに向かう電車の中では、ほとんどの人が傘を持っていない。これは現実的には考えにくい。
第二話では、描かれるほとんどが夏の晴天であり、雨は、ロケットの運搬に遭遇し、見送った直後から降り出す。それまでは雲こそあるが、星が綺麗に見えていたにも関わらず。その際、貴樹も花苗も上だけカッパもしくは防水性の何かを羽織っている。第一話において雨が降るのはこのシーンのみである。
第三話の回想中に、中学もしくは高校時代の貴樹からの手紙を期待して郵便受けを開ける明里の場面では雨が降っており傘をさしている。色は少しくらいが、おそらくピンクである。

オープニングでいきなり降っているのが桜。雨具は、明里が「貴樹くん 来年も一緒に桜、見れるといいね!」と言った際に、本来の目的とは違う形で使用したピンクの子供用雨傘である。

晴天時の傘と相合傘

雨といえば傘なのであるが、上に述べたように、雨具が必要な雨のシーンは「第二話 コスモナウト」での帰宅シーンのみであり、ここではバイク通学なので傘ではなくカッパらしきものを羽織っている。他に傘が出てくるのは、これも上に述べた、第一話の桜の花びらの舞う踏切を挟んで貴樹と対峙する明里が開く雨傘。そしてもう1つ、第一話で、教室でからかわれた際に黒板に描かれている相合傘。桜の時といい、肝心の雨や雪の時に、傘はほとんどささないけれど、傘自体は結構描かれている。

傘の描かれない第二話

第一話と第三話では、雨も雪も桜の花びらも降るのに、第二話では雨のみ。しかも、第一話と第三話においては、雨は雪や桜の花びらほどストーリー上、重要な意味を持たない。この点でも第二話は「秒速5センチメートル」において他の2つと違う意味を持たされているのである。

桜、雪、雨以外にフルもの

それは、明里が結果的に貴樹をフっていること…これは、小学生時代の黒板の相合傘では防げなかったようだ。