Golden Time

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【大豆田とわ子と三人の元夫】第8話 カレー1杯の重み


遂に小鳥遊が本格始動というところですかね。サブタイトルに『ファミレスの密会』というのがもうなんというか。ファミレスなんてオープンすぎる場所で密会って…となるが、何回もファミレスで「密会」してる、この2人。健全な密会。

小鳥遊の生い立ち

向学心も能力もあるが、家庭環境がそれを許さず、しかし30過ぎて一般的にはチャンスが巡ってきたようだが、もはや自分が無い小鳥遊には社長が全てだったと。なんというか、コミュ力が潜在的にはあったかもしれないが、経験値が足りないためおかしな性格になってしまった感のある大人…この人が、最後の恋人になるであろう小鳥遊なのかぁ。

とわ子の結婚指南

恋愛指南というより結婚までの指南をさせられる経験豊富な大豆田とわ子…って感じ。同じことを2度褒めるな等をわざわざ言って教えるなど、有能であると言わざるを得ない。

自明、解明、証明、定義

このような言葉がすんなり出てくるとわ子。小鳥遊と交際しようとするお嬢様とは違い、数学に興味がある。いや、興味の有無は関係なく素養はある。前にも数学が好きとか何とか言っていたような。自明、解明、証明、定義という言葉の並びもリズミカルで教養の高さが窺われる。

仕事観

目標を与えられ、評価されることを仕事の目的とするか、やりたいことをやって生きていくことを仕事の目的とするかの違いが、小鳥遊ととわ子の対比で強く描かれている。これについて、とわ子が気づくきっかけになるのが、娘唄からの指摘であることがなかなか良い。家族に言われるのが、やはり一番沁みるだろうから。

プロポーズの仕方を教えてもらっていなかったからとわ子のせい

これは、冗談と小鳥遊は言うが、真顔。冗談と言いつつ、再度とわ子のせいと持っていった上で、社長に対するほんの少しの愚痴を口にする。その流れで、

僕には、なんていうか、人生がない期間があったんです

とつながるの巧み。そんな話を入れた後、小鳥遊が社長に拾ってもらった話を出してきて、それで、とわ子の家に行くことになるのアクロバティックなのに納得感ある。エピソードなしの会話だけでここまで持ってくのか。それで2週間経ったカレーを出すと。まあ、冷凍してあるのだろうが、一体どんだけ大量に作ったんだ。まあ、一人暮らしだとこんなもんか。

なお、「僕には、なんていうか、人生がない期間があったんです」というのを17歳から31歳のことのように本人は言っているが、客観的に見て、社長に言われるままの今の状態も人生がない時期に入ると思う。本人の自覚がないのがなお恐ろしい。

網戸を直す小鳥遊

逆に、何で鹿太郎と慎森は直さないのか、外れてるの気づいたのに…というと、直してもすぐ外れることを知っているからと。ここに小鳥遊の初々しさと元夫の、とわ子自宅に対する慣れが現れている。慣れと言う点では、とわ子は何で元夫が来たら必ず家にあげてしまうのだろうか。特に今回はピンチに陥ることが分かっているのにあげてしまうその感覚が分からない。今回は小鳥遊を初めて家にあげると言うスーパーレアイベント中なのに、元夫たちをあげるというノーマルイベントを重ねてしまうの明らかにおかしい。断れば良いモノなのに。ここにとわ子の性格における何かがあるかもしれない。

小鳥遊に必要なのは支配者

自分に指示を出してくれる人を小鳥遊は求めていたため、とわ子に寄ってきたのも、その流れであっただろう。最後に自分から軽くハグをしているが、これの評価は難しい。社長の娘と会うためにとわ子の指南があったかもしれない。社長からとわ子に移っただけで、小鳥遊は自主的に生きているわけでは無い可能性が残っており、次回を見ないと何とも言えない。

カレー1皿の恩をカレー1皿で上書きしたとわ子

とわ子の作戦は論理的である。路頭に迷っていた時に社長から1皿のカレーをご馳走になった恩に今も縛られている小鳥遊に、自分もご馳走することで恩の上書きを試みたということ。数学という論理的なものに惹かれる小鳥遊はその意味を理解して、あっさり今度はとわ子につくことにした模様。論理的ではあるが、何だそれな理屈。

言うなれば、カレー1皿で桃太郎に忠誠を尽くすキジみたいな感じか。ただしカレー1皿で忠誠を尽くすだけあって、他にカレーをくれる人があればそちらに行ってしまうという面白いキャラ。忠誠とは違う、アンバランスなギブアンドテイクか?

松林カレンの立ち位置のまずさ

マディソンパートナーズ側についた松林であるが、ビジネス姿勢の甘さを非難した相手であるとわ子が会社を辞めた場合、途端に社内の実践力を持った人たちを掌握する必要が出てくる。とわ子が社長の時でさえ、職人気質の設計士達と揉めていたのに、あくまで投資的見地での効率性合理性を語った場合、人材が逃げる可能性が高くなる。小鳥遊の方は、恩のある社長から離れたとしても、この買収話が小鳥遊が特に入れ込んだモノではなく社長からの指示であるので、松林には影響はないだろう。比較的直ぐに人心掌握スキルに優れたとわ子という存在の大きさを松林は知ることになるだろう。