Golden Time

時はお金で買えませんが、時間はお金で買えちゃいます。

【35歳の少女】第9話 2つの家庭の修復、3つ目は未完了


望美はyoutuber、多恵は入院とおかしくなったら、逆にこれまでおかしなことをし続けていた進次と愛美がまともに見えることを始めた。家族の中のバランスとでも言うのか。

すき焼き

時岡家は、25年前に食べられなかったすき焼きから、時の流れが歪んできた。それを修復するのがすき焼きだと、家族4人とも考えているのが、しつこいすき焼きを食べようとする描写から分かる。結局、4人で再び食べることはできなかったが、しかし家族は結びつきを強めたということか。

ただ、‪望美が目覚めた当初は、豆腐を買いに行って事故にあったことからか、豆腐にこだわっていたはずだが、すき焼きにこだわることに変わったのは、どう言う意味があるのだろう。まあ、豆腐だけよりすき焼きの方が食べて美味しいけれど。‬

「ママが倒れました」

だけで、どこの病院なのか分かるのが家族…なのか?時岡家はかかりつけ医が大病院なのかな?このあたり少しおかしいだろ。まあ、望美がずっと入院していた病院に、多恵も運ばれたということなのだろうが、やはり変な状況。

ただ、ママが倒れましただけしか言ってこないと愛美は言うが、どこの病院にいるのかを聞いた形跡もなく、お前も一緒だろと言いたい。ただし、「ママが倒れました」としか望美が連絡できなかったのは、まだ精神性のどこかに10歳の少女が残っていたのかもしれない。youtubeで立派なことを言っていても、いざとなると経験がないため、やれることが限られるのではないかと。

立場の逆転

今後、意識を取り戻すことが難しい状態になったのが、多恵。そのそばに、多恵に25年看病してもらった望美はいない。代わりに、愛情に飢えた愛美がいると。望美という名を持つ者が、望みのない態度を示し、愛に飢えた愛美が愛を持って看病する。多恵、望美、愛美の時岡家3人の立場が変わった。そして、この第9話の中で、望美が戻って来て、再度立場が変わる。しかし、3人の関係が良好になり、奇跡が起きた後、静に多恵が実在としては退場する。しかし多恵は望美と愛美の心の中にしっかりと存在するようで、多恵が死んでも2人の心は乱れない…のだが、葬儀の後、平常に戻り、母親の日記を読んで、望美と愛美は2人で泣く。喪失とはそういうことという描写。

今村進次の時岡家自宅リフォームと今村家家族関係リフォーム

時岡家の建物の室内の壁をリアルにリフォームする進次。これ、進次が今村家の家族関係をリフォームする決意につながっている。面白い比喩。進次は、時岡家の家族関係をリフォームする役割は担えないが、今村家の方はできる。自分のできることをする進次はある意味偉い。そして、一瞬目覚めた多恵も、進次に、いつも笑顔でいろとだけ言う。進次が、今村家での役割、時岡家での役割をちゃんと踏まえて行動し始めたことで、両家が正常運転に近づいた。

結果的な進次の役割

あくまで結果論であり、進次の行動全てが肯定できるものとも言えないが、進次は、時岡家、今村家両家の再構築に重要な役割を果たし、また、今後もキーパーソンとなる地位を得たといえる。この物語で示唆しているのは、本当の家族崩壊の危機には、信念に基づいて生きる者より、流されやすいが、今あるものを何とか壊さないでいようとする凡人の力がないと破綻に向かうのみということなのかもしれない。

やりたいことが分からない

小学校で人生終わったと言う達也の気持ちは分かる。世界が広がるとはそういうこと。引きずるのが長すぎたことが問題なのだ。挫折対応が下手くそだということ。それに達也自身が目を背けないと決めたから、今村家は正常化に近づいた。

乗っかってくる加奈

加奈は、進次に対して許さない感情を持ちながら、しかし、進次が達也に腹を割って突撃した際に、達也が部屋から出てくれることを祈って、進次に乗っかってくる。加奈にとっては、達也が第1。その達也が部屋を出てくること、これを成し遂げてくれるなら、進次に対する感情も変わる。加奈にとって、達也との関係は血縁、進次との関係は婚姻届、離婚届という契約上の縁。そういうことなのだろう。

今村家ダイニングテーブル

今村家はバラバラの状態から、家族3人で同じダイニングテーブルについて、ハンバーグを食べるところまで戻った。これ、何の力なのだろう。これ、風が吹けば桶屋が儲かるのように、望美が目覚めたから、今村家が3人で食卓を囲むことができるようになった。ハンバーグが時岡家におけるすき焼きに相当するのだろう。

多恵の死

あまり動揺せず受け入れる望美と愛美。これは怖いことなのか、優しさなのか。その後のすき焼きのくだりで感情を解き放つことから見て、母のために感情を抑えていたということなのか。母のため…?

多恵…その名前の通りにはいかない恵まれることの少ない人生だったのではないか。考えてみれば、望美もアナウンサーになる望みもないし、愛美も男運ないし、名前の通りにならない家系ともいえる。

結人の抱えるもの

望美の変化のみならず、担任児童の不登校に父親の死。強烈な悩みを3つも抱えているのに、望美に会って話そうとする。結人、強いけれど、もう、いつ糸が切れてもおかしくないのではないか。今村家の問題、時岡家の問題が解決しそうになっている今、結人が闇に堕ちるのが時間の問題となった。結人はだれがどう救うのか、望美しかいないだろ…と思ったが、次回予告で結人は、淡々と問題を解決していく風だった。かなり強い人だな、結人。

今回の達也のTシャツ

「生きる」…まあ、生きることは大切だけれど、この言葉は、生命という意味では、今村家ではなく、望美、多恵の2人が生死の境から生還した時岡家に対する言葉はではないだろうか。ただ、今村家では、達也も加奈も進次も、生命の意味ではなく、人として生きるという意味では、3人とも絶望していた。達也がそれを何とかしようという気持ちが「生きる」のTシャツなのだろう。

次回予告では、「HOME」と書いたTシャツを着ている。これ、引きこもっているならば、自宅が世界の全てである。しかし、外の世界、つまりアウェーの世界との対比でホームを言うならば、これは達也が自宅から外に出ることを意味する。まあ、既に実の父に会いに行ったり、競馬場に行ったり達也はちょくちょく外に出てはいるが、人間関係の構築を伴うものは未だなのだ、それを成し遂げるのだろう。その象徴が「HOME」だと。

時岡家、今村家の家庭は修復された。広瀬家はまだ

壊れかけた3家族のうち、まず、主人公に血縁関係のある者の属する家族、時岡家と今村家の修復は終わった。残すは、主人公の恋人の家族ということになった。この第9話で人が2人も死んでおり、なかなか酷い展開だなとは思う。人を殺さなくても感動を描けるだろうに安易に殺しすぎだと。

次回、最終回

時岡家、今村家の家族構成員は、家族再構築という前向きな課題に取り組んでいる。一方、結人は、自分の家族の崩壊を無視して進めていた結果、父の死を迎える。学校では不登校生徒の転校問題、望美とは互いに連絡を取らないままと、後ろ向きなものばかり。全て自分で解決しようとしているように見える結人に望美ができることはあるのだろうか。