結局、察する力の有る者が降りないとドラマ的にはダメらしい。こうするしか収められないのは想像できてはいたが…想像通り過ぎて、もっと意外な展開が見たかった。
私大好き一発逆転
新谷と樹木のクイズ番組に関する会話。
新谷:クイズ番組ってさ 最終問題だけ高得点とかになりがちじゃない?樹木:分かる 一気に500点とかね
新谷:今までの努力 水の泡 俺 ああいうの気になっちゃって楽しめないタイプなんだよね
樹木:ええ〜私 大好き一発逆転
新谷:俺ら 気い合うね
樹木:はあ?
一発逆転が好きな樹木には、この回のラストに一発逆転チャンスが巡ってくる。何だかなぁな展開。しかもこの会話で、新谷は、樹木と考えが違うのに「俺ら 気い合うね」と言っている。これ、強がりとは思えないのが怖い。いつもの何とも言えない表情をせず、素で気が合うと言ってそうなのが、新谷の病んでいるところかもしれない。デートで予約したレストランへ移動する途中で浅羽・里歩を見かけたら、樹木が望んだわけでもなく、立ち寄るとかの行動も変。
ロボット掃除機がぶつかって謝る浅羽
このとっさの出来事に謝るエピソードからは、浅羽が他者に対し迷惑をかけるなという教育をされていたということ。ビジネスでは冷酷に見えても、浅羽の生き方の根幹にはこれがある。
デートの内容
樹木と新谷は、家具見て予約したレストラン行ってだったり、急に呼び出してラーメン食べに行ったりという典型的な付き合い始めのデート。浅羽と里保は、移動販売車でのお仕事手伝いデート。一見、浅羽は仕事人間に見えるのだが、単に恋人をマニアックな趣味に付き合わせるタイプの人間なのかもしれない。
神子の記者発表
レジなしデジタル会計を記者会見する神子に、移動販売車のことを質問する記者。移動販売車は、会社としてではなく筆頭株主が勝手にやってることなのに気の毒だな、神子。筆頭株主がどうして業務執行にあれほど口を挟むのだろうか。口を挟めるのだろうか。
効率的な店舗オペレーション 対 移動販売車&スイーツ
神子の施策は、レジ自動化という効率的な店舗オペレーション。これは、利用者がより使いやすくなるための施策と考えられる。ただし、これが導入されたから今までコンビニを利用していなかった層が、利用するものではなく、既存の利用者に対し、便利なアプローチをするものだと思われる。
一方、浅羽の施策は、スイーツで若年層、女性層を新規開拓し、移動販売車で高齢者層その他のコンビニを普段利用できない層を開拓することを狙っている。
この対比は、非常に鮮やかで、よくできている。特に、従来、ココエブリィのユーザーは、30ー40代の男性層(と言っていたような…)なので、浅羽は、それとは全く違う層を狙っている。これはマーケティング的に正しいといえる。それに対し、神子は既存層の再取り込みといえる。どちらも共存する施策。
お試しを周りに話す樹木は危険な人
本当に危険人物。樹木は最終評価をいつでも下せるが、新谷は、周りの目がある中、かなり厳しい状況でクリスマスまで過ごさなければならない。樹木に限らず、このドラマ中では、プライバシーはない。そんな世界あるのかなと思う。少なくとも東京にはないのではないかな。
しかも、肝心の浅羽にだけはお試しだと伝わっていないという。
とことん何でも話す樹木
スイーツ開発から外されたとも上杉店長に話すし、スノードームを返した理由まで話す。ホントプライバシーない。まあ、女性2人暮らしのところに度々職場仲間ということで男2人が通っているところからしても、プライバシーはないと言えるが。こちらは浅羽がかわいそうだ。結局、男2人は樹木だけでなく、樹木を取り巻く周り全てと戦わなければならない。特に浅羽は、単なる樹木の片思いなので、知らぬ間に巻き込まれているという。
君がスイーツを作って俺が売る
浅羽は、このセリフの直後、面白いもの見せてやると、養護老人ホームに行く。これ、浅羽が新しい商品のコンセプトを暗に伝えているということ。浅羽は、それまで大人の男性をターゲットとしていたココエブリィの客層に対し、スイーツで若年層、女性を取り込み、今度は、移動販売車で高齢層をターゲットにしようとしている。つまり、客の年齢層を多面的に広げようとしている。そしてそれを樹木に伝えるセリフが「君がスイーツを作って俺が売る」なのだ。
コンビニが体験を売る場
もう今はコンビニが体験を売る場ではなくなって、あって当たり前の場になっている。そんな中、敢えてコンビニが体験を売る場と言う浅羽。そしてそれを養護老人ホームでの販売で実際に示してみせる浅羽。うまい流れ。これ、浅羽復権の鍵だろうから、丁寧に描いているはず。
「豊後の麦味噌」を売る浅羽
豊後の国は大分県であり、この「豊後の麦味噌」は、ここら辺では売ってないとおばあさんは言っている。恐らくココエブリィでも扱っていないと想像できるから。浅羽個人としての対応ということ。これ、停電時の販売で、樹木が、道の駅から差し入れのコーヒー豆を使って提供しようとしたものを、会社の仕入先からのものでないので…と否定しようとした行為と、恐らく対になる。ココエブリィが全国区のコンビニであれば、大分では扱っているかもしれないが、しかし特別に取り寄せることにはなろう。
察する力がある者が泣く世界
やはり予想通り里歩と新谷が泣くことになる。浅羽も樹木も察することなどしない。この4角関係は、察する者が退くかドロドロになるしか樹木と浅羽は結ばれない。で、このドラマのトーンからは、ドロドロに行けるわけもなく、つまり、察する者が退くしかない。ここで樹木の一発逆転チャンスが発動する。冒頭の新谷との一発逆転のくだりがこう生きてくる。想像通りの展開で悲しい。
君に会いにきた
ラストで、浅羽はココエブリィ本社に来て、受付してる。そこに別な急用っぽい理由でゲートを出てくる神子。目が合う2人。まあ、こうなったら、神子が何しに来たくらい言うのは当然。しかし浅羽の目当ては神子でない。そこに樹木が「社長!」と言って登場。もちろんここで言う社長は、浅羽のこと。そして浅羽は「君に会いに来た」と言う。神子馬鹿にされっぱなし。樹木に会うために、受付までする浅羽。そんなに急ぐことなのかね。なお、神子は浅羽に会いに出て来たのではなく、何か別な理由で本社から出て来ており、これが、ココエブリィの経営に影響を及ぼす何かなのだろう。そして、それが浅羽復権につながるものだろう。もう神子のターンは来ないのかなぁ。
あと2話ですべきこと
樹木が新谷と別れる
これ、樹木が新谷をクリスマス前に振れば良いのだが、最終回放送日が12/22とクリスマス直前であり、リアルタイム感出すために、最終回にお断りを持ってくる可能性はある。または、新谷が降りるならば、これは最終回直前回でも良いかも。里歩が既に浅羽から降りてしまっており、かつそれを新谷は知ったので、新谷から降りる可能性は高い。そうなると息のあった今回のイチャつきぶりは、痛々しく回想されることになる。
樹木と浅羽がくっつく
元々、樹木は浅羽が好きだった。そして、里歩に諭されて浅羽は樹木に向かうことにした。新谷が降りるなら、障害はないように思う。しかし、樹木が新谷の良さに気づいてしまっていた場合、一筋縄ではいかないのではないか。故にくっつくのは最終回だろう。それも、ラストシーンで初めて成立するのではないか。喧嘩別れではなく、降りる形での別れであるので、それくらい片付けなければならないことあると思う。
浅羽のココエブリィでの復権その他
これ、どうなるか分からない。単に社長に戻るだけでは面白くない。浅羽の同期だった澤木が第5話で「この世界は 出し抜き合うのが普通 油断をすれば足元をすくわれる たのしみだなあ どんな顔すんでしょう」と言っており、このお返しが待っているはず。また、エクサゾンの上司であった都築との決着?もつけて欲しいところ。筆頭株主の清水と組んで新事業とかも考えられなくもない。いずれにしても、ビジネス上の何らかの復権があろう。しかしこれは結構時間がかかる話になると思う。簡単に復権するのは、神子の失脚、それも浅羽が社長退任した際に何らかの悪事を働いた等であるが、個人的には神子をそのようには扱って欲しくない。