Golden Time

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【TOKYO MER】第1話 死者ゼロを競うスポーツドラマ


キャラといい背景といい既視感とは言わないが、ああ、そういうドラマねというのはすぐ分かる…というのが第1印象。この手の1人の天才が人々のピンチを救う系のドラマは需要はあるのも分かる。しかし、ストーリー展開は簡潔かつ十分で、

TBS系 日曜劇場「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」オリジナル・サウンドトラック


第1話でどういう物語なのか視聴者に理解させたのはスゴい。これで第2話からは、もう第5シリーズに入ったドラマのように安心感を持って1話完結のドラマ世界に入っていける。この力技の脚本、1話完結に入ってからが本領発揮となるだろうから、第2話が待ち遠しい。既視感は拭えないのだが、まあ、それはそれとして。

救急医療の政治利用

MERの使命は、駆けつけた現場で死者ゼロ…と赤塚都知事は宣言してしまう。うーん、大きく出たというより、こんなことを言うのは愚かな人間かな。死者ゼロの定義がないと達成したか否かの判定はできない。例えば到着したときに、患者が死んでいたならそれは死者ゼロなのか否か。それさえ曖昧。

最初から自信満々で、完璧にやり遂げる主人公 喜多見

もうこういうの見飽きた感じがする。けれど、まあ、昔の時代劇の全てを解決する主人公みたいなもんだと考えれば、テレビドラマにこの手のヒーローは何人いても良い。

無責任に大丈夫と言うこと

もう大丈夫、安心してと言うこと。これは都知事が死者ゼロと言う政治的発言とは異なり、医師が患者を安心させるための発言だから良いのだが、この辺りの似ているようでまるで違う感は、知事と喜多見との対立軸になっていくのか。

内部事情をベラベラ話してくれる音羽

なんだかんだ言ってMERメンバーに情報をもたらしてくれるのは、結果的に二重スパイになっている音羽。賀来賢人氏の体制寄りの発言とは裏腹な行動を反射的にしてしまうもどかしさが出てる顔の表情が良い。比較的早い段階で本人も気づかないうちに、こっち側に来るのだろうな。無理して悪者やってる雰囲気がホント良い。表情がグラグラしてる。この手の体制側から送られるスパイ役は、主人公より若いことが常で、中盤か終盤には主人公側に取り込まれてしまうのも分かっている。前クールで言えば『イチケイのカラス』の坂間千鶴。

音羽

音羽を演じる賀来賢人氏の表情が、喜多見の言動でグラグラしちゃうのホント良い。第1話くらい敵役っぽさ出しても良いのに、最初からこっち側に来る仕草ダダ漏れなのホント良い。先に挙げた『イチケイのカラス』のように、大きな組織の敵と対峙するクライマックスを中盤に持ってきて、後は、何シリーズも続いた連続ドラマのように、淡々と1話完結を続けて最終回みたいなの希望。

久我山を演じる鶴見辰吾氏の良さ

真面目な顔をして狂言回し的な役割をこなす久我山厚生労働省医政局長。いやあ、ガス爆発現場の動画が始まりそこに喜多見が映るまでの場つなぎ役として本当に盛り上げた。安全な会議室から自らの政治的ポジションを踏まえて口だけで語る台詞の面白さが、鶴見氏の口から出ることにより倍増されている。これにより、会議室で口だけ動かすのではなく、現場で行動で示す喜多見が対比的に光ることになる。鶴見氏の役割を全うする演技、良かった。この人、こういう私利私欲で生きる人間も、人情味厚い人間もできるから安定感ある。

第1話で全て語るスタイル

背景から人間関係から政治対立から何から、第1話で全て語った感ある。というか、1話で最終回だろ、これ?審査会もどう見てもMER賛成側に流れている風だし、もう後はオマケじゃん…というか、オマケだからこそ、シリーズ化が見込めるのだから、最初からそのつもりか。

死者ゼロを競うスポーツ

MER出動し事態を収拾した後、必ず危機管理対策室の女性担当者が死者数を声を上げて報告するようになっているようだが、なんとなく、死者ゼロということを競うスポーツになっているように見える。これがずっと続くのは、非現実的ということを抜きにして、結局、制作側に人命軽視の発想が透けて見える感じ。人命を救うことは大切であるが、MERの使命はそれだけではないはず。負傷者に対し、より望ましい治療をすることも大切である。スポーツの結果を報告するように、死者はゼロです!と叫ぶのは、喜多見というどんな現場にも果敢に飛び込む医師を主人公とするドラマにはそぐわないように思える。

これ、死者ゼロが達成できなくなった時、話が動くのだろうか。相手にする事故が今回クラスのものであったら、死者ゼロで通す方が違和感がある。死者が出たからといって話が動くことの方が不自然に思える。近いうちに死者が出るであろうから、その時の描き方でリアルさが分かる。

高輪千晶

高輪は、喜多見の話になると微妙な表情をして話題を避けようとしているところから見て、喜多見の元妻なのだろう。わざわざ2つの場面で高輪が喜多見と関係があることを仄めかすシーンがあったことから、なぜ離婚したかも含めて過去の二人の関係がちゃんと描かれるはず。これで実は、妻は別で、高輪とは不倫関係だったとかなったら微妙…

ガスの元栓を止める選択肢はなかったのかな?

観てて思ったのが、ポンポンとガス爆発させているが、元栓的なものを止める選択肢はなかったのかな?このような施設だからこそ、リスク管理的な観点から元栓があると思うのだが。みんな目先しか見てなさすぎる。ここは音羽が冷静に対処するのが"らしさ"ではないか?

日曜劇場と月9

並んでどちらも救命救急モノドラマ。2日連続してというのはちょっと飽きるかな。

厚労省とかそう言うの

個人的には要らない。このタイプの1話完結ドラマは、最終回に盛り上がるためとか、そう言うののために初期から変な小芝居挟む時間があったら、その回の話の充実に充てて欲しいと思う派なんで、なんとかならないかなと思う。別に大きな話があっても良いけど、役人のトップがどうのとか、大臣がどうのとかは、既にテンプレすぎて意外性もない。まあ、意外性がなくても、時代劇チャンネルのドラマみたいにテンプレの悪役が最後にやられるのを期待して観て喜ぶ感情というのは、現代人にもあるということかな。