Golden Time

時はお金で買えませんが、時間はお金で買えちゃいます。

【ちむどんどん 】第75回 後味の悪い沖縄週の結末


金曜日。今週は感動の沖縄週。しかし、『ちむどんどん 』は『ちむどんどん 』 だった。戦争中、逃げ惑う中、見知らぬ少女の手を離してしまった男の後悔の話と、暢子の手を握って離したくないと言う和彦のふざけた話を並べて描く感覚。もうわざとやってること確定。凄いなこのドラマ。

朝の祈り?から出発の賢秀

これ、賢三の朝の祈りを倣ったのかな。無性に働きたくなったらしいが…ビッグなお仕事するなら、それは迷惑なのだけれど、養豚場かな。

まあ、賢秀が真面目に働くみたいなフラグ立てたところで、『ちむどんどん 』なのだから、週明け早々に簡単に折ってくるだろうなと、想像つく。ただ、今回、母優子から父賢三との出会い、結婚、賢秀誕生を聞いた直後なので、これで全く更生せず、次週も結局いつもの賢秀に戻ってしまったら…もうこの人は最後までクズで終わるのだな、ってなる。

ビーチサンダルは、ちゃんと夜履いていたのと同じ青だったし、浜辺のシーンでは同じく暢子も青いビーサン履いていた。

木綿のハンカチーフ(1975年)

暢子の今回の帰省は1978年なので、大体同じ時期。『木綿のハンカチーフ』では都会に出た男は変わってしまったが、賢秀も暢子も沖縄時代と価値観は変わらぬままという感じ。この時代としては珍しいのかな。

謝る優子

優子は、何も知らない善一に自分から再婚話を言い出しておきながら、自分が振った形にする。何だこれは。善一にとっては、悪夢がすぎるぞ。

犯人の賢吉は、結局出てこないままなの怖すぎる。善一と優子の再婚話を作り出したのが、何故か取ってつけた様な賢吉という点で、シナリオ的に矛盾するので、善一と優子の再婚話においては、制作的に賢吉は引っ張り出せないのかもしれないが、賢吉の行動おかしすぎる。唯一考えられるのは、トラブルメーカーの優子を善一に押し付けることで、賢吉は優子と実質的に縁を切ろうとしたのかと。それなら賢吉が変な動きをした理由は立つ。

博夫は晴海とアパートで2人で過ごしたのか…

石川本家には行かなかったのか。マジか。博夫本当に良子に上手く使われてるな。博夫は比嘉家というか良子にお金を入れているのかな。怖すぎるわ。

良子怖い

大切な人なのだから諦めない、いつかまた必ず3人で暮らしたい、かけがえのない家族だからとか言ってる。いつかまたというのは、まあ、晴海がてがかからなくなる中学に上がったらとかそういうこと企んでいそう。子育てをちゃんとやった上で働くという、最初に言ってたことやる気ないじゃん。

ただ、来週の予告では優子は窮地に立たされる模様。まあ、良子側に結婚継続の意思がないと思える事実の積み重ねがあると、優子が真顔で守るとか好きにしなさいとか言っても何も対抗できないだろうな。

教室デビューの歌子

ぎこちない自己紹介は歌子らしかったけれど、歌子の持っている三線は、賢三所有だったものだから、素人が持つものではないはず。誰か気づかないのかな。で、歌子はここから成り上がるのか、それとも普通に生きがいとするのか…青森の和歌子次第だな。

嘉手苅さんエピソードからの大城が子供を引き取る話

幼少時の暢子を引き取る話について、お断りしますという手紙が優子から大城にあったと…ん?辻褄合わないぞ。出発準備してバスにまで一旦乗ってたから、受諾の手紙を出したはず。お断りしますという手紙があったと言うだけではニュアンスが事実と違ってくる。

仕事も結婚も両方つかめ

え?大城何というアドバイスを電話でするのだ。あー。

間違ってはいないけれど、なんというか、このタイミングの暢子には違う。

そして何故か暢子は海に行き、そんな時に都合よく現れる和彦。綱渡り的なシナリオ。

…結局

嘉手苅さんの悲話を隠れ蓑に、前の週までの極悪嘘つき男女が、美しい浜辺により、本人たちの心の邪悪さが浄化されたと言わんばかりに互いに好きと言い始めた。互いに好き好きオーラ出した上で、プロポーズとプロポーズ返しするこの展開、いくら何でも酷い。制作は、とことんまでやる気なのかと笑えるほどに破壊してきた。徹底してるなぁ。

青く美しい海で男と女が好きという感情を互いに語る→暢子からのプロポーズ

うちも幸せになりたい。とことん幸せになりたい

これが、和彦は好きだが忘れると言ってライバルを騙した女が、ライバルがいなくなって数日後の言葉か。なんかやはり凄いね。ドラマのプロトコル壊していると思うのだが。

なんだこれは、金曜日で全て破壊してきた。こいつら。つまり、幸せになるためには、何でもするということだな。そう決心したのは前日に優子の話を聞いてと言っていたが、そんなことはない。現に愛に対して無茶してたのだから。あーあ。

浜辺でのキス

ついこの前見たぞ、愛と和彦のやつだ。愛が徹夜明けの砂浜で不意打ちのキスをした後に和彦に言った「これでおあいこ」は、未来予想図だったんだ。

和彦は和彦だった

暢子に対しても、好きは自分から言わない。嘉手苅さんができなかったが自分はこの手を離さないとしか言わない。結局、暢子から「和彦くんのことが好き」と言うが和彦は言わない。「結婚してください」も暢子から言う。和彦は、信子に応える形、つまり受け身で「うん、結婚しよう」と言う。これは、言われたから同意しただけだよという逃げ道を残している。こいつ…徹底してるな。

結婚は易々認めるが、「好き」と言わない和彦は、結婚と恋愛を智以上に分けて考えているのかもしれない。

しかし、自分からわざわざ浜辺に会いに来るし、自分から手を繋ぐ。キスも自分からする。行動は自分から起こすが、言葉は自分から言うことはない。かなりなキャラ。これに愛は翻弄されたが、暢子はうまく付き合えるのだろうか。割り切りが必要なのだろうなぁ。

行動には出るが、自分から恋愛を進めるための言葉を言わない和彦のキャラって、ひょっとして、次週から登場する和彦の母の影響なのかもしれない。優子との対比的に色々ありそう。

優子の幸せ観

家族を短期間で全員失うという体験をしていることから、生きているだけで幸せという考えではなく、自分が死ななければ、誰かを殺さなければ自分の好きなようにすれば良いという考えになったように思える。

借金をしようがお金を持ち逃げしようが、それで命を取られるわけではないなら構わないと言う考え。現代の規範で考えると行き過ぎているように思えても、自分は殺されないし、相手も殺さないのであればよいという価値観からは正しいことになる。賢秀の法に触れそうな行為も、良子の自分勝手な論理も、殺されないし、誰も死なないから問題ないという思考なら受け入れられる。

優子が唯一自分の家族以外の他者に対し優しさを見せたのは、少年時代の智の家に、比嘉家でも滅多に食べられない海の幸のご馳走を持って行ったこと。これも、智の家がそこまで危機的になっていたからと考えれば理解できる。

ただ、歌子に対しては優子は他の兄妹とは接し方が違うように思える。これは、実は逆で歌子の方が他の兄妹と行動原理が違うとも言えるのだが。あまり積極的ではない歌子には肯定も否定もせず、結果的に無関心に見えてしまう形になっている。優子は、子供たちに、自分のやりたいことをやりたい様にやるのを妨げないのだが、自分から何かをやりたいと言わない歌子に対しては、何もやりたいと言わない歌子を尊重してきたと言うこともできるのかもしれない。

暢子は優子の思想を体現している

「和彦を好きだが諦めた」と愛に言いながら、愛のいる場所でも好きだという感情を隠さず、結局、愛を追い出し、ろくな時間をおかず、好きですだけでなく結婚したいと言い出す暢子。これ、愛の親が聞いたら和彦を訴えるどころか、殴っても罪にならない感じじゃないか?何で連続テレビ小説の主人公がそうなるのよ。ただ、今週の優子の話を聞いていれば、暢子は正しく優子イズムを継承していると言える。暢子は愛の命を奪ってはいないから。愛のキャラを分かっててやったっぽいな。

嘉手苅さんと少女、大城と少女時代の暢子、和彦と成人した暢子

この3組の守る人と守られる人の組合せを微妙に重ねるように描いているのは、成人の暢子が余りにダークなので、関係ない話を重ねて暢子を浄化しようとしたのではないかな。浄化できるわけがないのだけれど。なお、嘉手苅さんは少女の手を繋ぎ続けられなかった、大城と少女時代の暢子は、暢子が逃げた。では、和彦と成人した暢子はどうなるかというのが、今後の見どころだよと制作は視聴者に知らせているということね。

「僕はこの手を、絶対に離したくない」

こういうセリフ、愛と別れてさほど経っていない時に言うのも不謹慎だが、こういうセリフ、愛と付き合い始めた時に、愛に対して言っていたのだろうなと思うと、ゾッとする。愛と暢子は違うと言い切る要素は、別にない。

このセリフを、嘉手苅さんが沖縄戦の最中に出会った少女の話の後に持ってくるの、ミスリードが過ぎて困る。両親がいない少女との親子の縁を結ぼうと言う話は、少女にとって生きるか死ぬかの話だが、和彦と暢子の話は、単なる略奪結婚の話。縁を結ぶ意味では同じだが、背景があまりに違いすぎる。

綺麗に進行している様に見えるが…

放送タイミングだけでなく、ドラマの中でも極めて短期間に、愛との付き合いを解消し、暢子との婚約を成立させた和彦に、二股疑惑は起きないのだろうか。

『あまゆ』の下宿に居続けられるのか?

形式的には、若い男女が一つ屋根の下に何年も住んでいたら、間違いが起きた…でしかない。互いに惹かれ合う根拠が何も描かれていないから、原因は、あまりに近くにいたから以外に考えられない。動物的と言うか本能的と言うか、ドラマとしてのテーマになるのかな。

智と暢子は付き合っている様に見えたのだろうから、『あまゆ』の店主順次にしてみれば、和彦と愛、暢子と智の2組が、同時に破局を迎えた様にしか見えないはず。そして和彦と暢子が付き合い始めたと言うなら、順次は、和彦と暢子を同じ下宿に長年住まわせていたことに、多少の後ろめたさを感じても良い。三郎も、薄々気付いていた様だが、和彦と暢子の形式的には略奪愛となった2人と今後どう接するのか。鶴見に戻ったら、和彦と暢子に居場所はあるのかな。『あまゆ』にいられなくなるということはないかな。順次からも三郎からも祝福され、頑張れと言われたら、それはそれで怖すぎるし。どうなるのだろう。

このドラマの構成

ひょっとして、脚本家以外の誰か1人が先の展開をコントロールしていて、脚本家には小出しで伝えていると言うことはないかな。そうとでも考えないと、これほど不整合、アクロバティックなドラマはないと思う。すごく不思議なストーリー展開だから。

そう言えば、タイムはどうなった?

第70話ラストで、『あまゆ』の外で、和彦と暢子が今後の2人の関係について話していたが、急遽沖縄へ行くことになり、暢子の「タイム」宣言で中断していた。しかし、今週、その続きは無く、いきなり手を繋ぎ、プロポーズにまで至った。これ、ズルい。第70話段階では、愛と智とのゴタゴタが未だ視聴者の中に生々しくあるから、ここで2人が好き嫌いの話をしても、暢子は、逃げるしか無いだろうが、第75話までに話を積み上げ、愛と智のことは一切描かないことにより、視聴者の中の愛と智への思いが薄れてきたのを見計らって、「タイム」で中断した話さえ横に置いて、素直に互いを好きな2人の男女を描いてしまう。ズルすぎる。

沖縄での悲惨な過去とそれに続く現在の話を描くことにより、なぜか和彦と暢子の禊ぎが済んだことになる『ちむどんどん 』ということか。

ミッションクリア系の弊害

金曜日に唐突に和彦と暢子が再会したの唐突だが、『ちむどんどん 』は、基本週次のミッションクリアドラマだから仕方ない。

智のビジネスは制作の思惑次第

先週、弾き飛ばされた愛はパリ行きでもう出てこなくても違和感ないが、智は営業で『フォンターナ』に配達があるから、否が応でも顔を…あ、従業員雇ってたわ。それなら暢子は智に顔を合わせなくて良い。ストーリーのために従業員雇ったことにしたのかな。あと、智がニューヨークにビジネス展開すれば、鶴見でも顔を合わせる必要がなくなるな。それはともかく、智は早晩、東京・鶴見から消えるな。和彦と暢子の恋愛展開には邪魔なキャラだから。