年明け初回は、スズ子、りつ子、羽鳥の3人それぞれをいきなり同時に描く。制作凄い。
日本における空襲被災者、旅館のわずかな食事を贅沢と言う戦死した夫を持つ女中、特攻隊員…これを華やかな上海で好きなことができている羽鳥と同じ回で描くキツい描写。しかし、主要登場人物ではない、誰かの物語として描くことでそれほどの深刻さは出ていない。朝ドラということも考えるとかなり慎重にバランスを取った描写と言える。
夜来香
『ブギウギ』は、ステージの話なので、歌をちゃんと描くの良い。
羽鳥が何か思いついた!
アメリカのリズムさ、日本にいちゃできないリズム
と言い、それをもっと具体化した次のセリフを口にする。
中国人である君が作った曲を日本人の僕がアメリカのリズムにアレンジして、それを世界中の音楽家と演奏するんだよ
このセリフ凄い。まさに羽鳥を表しているセリフ。
富山県高岡市
空襲被災者を受け入れる旅館に宿泊。
かなりシビアな状況での公演となるが、視聴者的には1945年8月1日の出来事。終戦は2週間後。
鹿児島海軍基地
りつ子、軍に呼ばれるのか。スズ子は軍に呼ばれてないと思うけど。その差は何だろ。どちらも警察に度々連れて行かれているけれど。
横井少佐
軍人で横井と聞くとピンとくる人多そうだけれど…あちらは陸軍。
"本番はもっと華やかに行きますよ"
服装に対する少佐とりつ子の会話が成り立たない描写が上手い。
最初は私服の華やかさを見て本番は地味にするよなという感覚で少佐は問うのに、りつ子はもっと華やかに行くから期待してねみたいな口調で返してズレるし、次に少佐は軍歌を歌えと曲まで指定してくる。で、当然りつ子は反発。
軍歌は性に合いません
私でお役に立てないようなら帰ります
りつ子、相変わらず。昭和20年夏でこれか。
しかし特攻隊の話、昭和20年夏らしさが出てくる。結局少佐は、
隊員たちが望むものではどうでしょうか
ということで、落とし所を見つける。
軍歌を歌わせようとするなら帰ると言うりつ子と、軍歌を歌えと言う少佐が、いつ還らぬ人になるか分からない特攻隊のまだあどけない若者を間にして沈黙で会話しているのが分かる演出すごい。
"何です?あの子たちは"
このりつ子のセリフは、特攻隊が非常に若い隊員で構成されていることを示している。
"ぜいたくはぁ、敵です"
女中のセリフは確かにそうかもしれない。スズ子たちが、遊び感覚で幼児に日常食べられないものを与えてしまったら、これから他のお客様にも同じことをする可能性が出てくるので、結局、その子のためにならないという理屈。これは分かる。
一方、羽鳥の音楽会は成功!
今回、悲劇的なことが日常になってしまっている描写ばかりの中、羽鳥だけがいつもの、いや、いつも以上に思うようにやれている。
羽鳥…失敗しない男。この時代に好きなことして生きていくのは、その才能のみでなく大きな幸運がある。大袈裟でなく神に選ばれた男…もしくはこの上なく世渡りの上手い男。