Golden Time

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【ブギウギ】(66)対比的なスズ子とりつ子の慰問演出の切れ味が鋭いなんてものじゃない


前回の羽鳥のステージが華やかなものだったが、週末金曜日に持ってきたスズ子とりつ子のステージは力強さはあるが悲しみも含んだものだった。これはドラマ的メリハリついている。特にりつ子の慰問は、これまでのクールなりつ子さえ感情が昂らざるを得ないものとして描かれていて、演出としてはある意味パターンの範囲内だけれども、それでも訴えるもののあるシーンだった。『大空の弟』も『別れのブルース』も15分の放送時間内に2曲ともちゃんと歌っていてそれがまた良かった。

戦争未亡人のために歌うスズ子、特攻隊員のために歌うりつ子

民間の慰問と軍の慰問。ともに誰かのためにと意識して歌うことになる。

戦争未亡人は既に亡くなった兵士がいるということ。特攻隊員はこれから亡くなる兵士がいるということ。ともに"戦死"に関わる。そしてそれぞれのためにスズ子とりつ子が歌う構造。

"本番はもっと華やかに行きますよ"の通り前回の黒いドレスより華やかな服になってる

りつ子、言ったことは絶対やる人。そして少佐はそれを止めていない。隊員の望むものを優先にしているの分かる。

この後は福井と岐阜で公演。金沢公演は取りやめ

金沢はこの時点でまだ空襲を受けていない。というか終戦まで金沢には空襲は無かった。福井と岐阜は7月に空襲を受けた土地。いつ空襲が来るか分からないということで金沢の招聘側が避けたのかもしれない。確かに空襲に怯えている中では慰問を歓迎する余裕はないのは分かる。

女中の娘、幸ちゃん

楽団のアイドルみたいな感じになっているけれど、やはり客の食事中に部屋に来る癖がつくのは良くないと思うなぁ。他の客の時に出てきて怒らせることになるリスクあるから。

スズ子と軍、りつ子と軍

スズ子は結局、軍とは関わらなかったと言うことかな。一方のりつ子は鹿児島の慰問が最初ではない感じというか、りつ子が軍隊内の兵士の慰問をすること自体に少し違和感はあるが、呼ばれれば行くということか。

ブギの女王スズ子とブルースの女王りつ子では、ブギの方が曲が激しすぎ、明るすぎでダメなのかな。ブルースの方が曲としては落ち着いてはいるから。ただ、キャラ的には、りつ子の方が反戦とまではいかないが、戦時の世の中の風潮に積極的に賛意を表すタイプではないので、軍隊の慰問にりつ子が呼ばれてスズ子が呼ばれないのは変な気はする。

隊員たちがりつ子に望む曲は『別れのブルース』

少佐は聞かなかったことにするためか離席。そして涙する。隊員たちはこれで思い残すことはないと口々に言う。状況に耐えられずりつ子は控え室で泣く。このお約束ではあるが一連の流れにある演出の上手さ。

りつ子どうなるのだろう

特攻隊員の前での慰問はりつ子にどのような影響を与えたのだろう。もう終戦だから分からないが、今後も軍の慰問が続くと仮定したら、りつ子が、衣装や歌う歌をどうするのか気になる。

スズ子が女中に聞かせたい曲は『大空の弟』

りつ子は来てくれた隊員の希望を聞く形。スズ子は来てくれとスズ子から頼んだ女中に聴かせる形。見事な対比になっている。

広島原爆投下に触れた

終戦まで10日を切っている。そして来週は終戦ぽい。

次週予告での羽鳥

今週は、終戦間近にも関わらず羽鳥が絶頂を迎え、りつ子は悲しみに落とされていた。しかし終戦で一転、羽鳥が帰国できるか否かという問題にさらされる。天国から地獄へという感じ。

実質的に半年間の『ブギウギ』の折り返し地点で戦争が終わる

物語の消化割合はともかく、時代の区切りという点で、視聴者側のリアルな年明けと合わせるのは綺麗な物語作り。