最後の最後に涼子様が全てを持っていくスタイル、推理物の要素感じられて良い。
『虎に翼』は、私には今のところバケモノ級の満足感が得られる朝ドラ。しかし観ていない人に勧められるかと言えば…少しではなく大いに躊躇う。これ、朝ドラの皮をかぶっているけれど、何かが大きく違う。
- "私とあんたらは違う。だからもう関わんな"
- "私にはお付きの子もいない"
- 突如、法廷劇の再検証を提案する寅子
- 沈黙の夕食…何があったか
- 法廷劇の再検証って毒饅頭作り?
- 涼子様、コナンくん並みの能力発揮
- 「お付きの者」「お月のもの」
- 他者のことを自分のこととして見るということ
"私とあんたらは違う。だからもう関わんな"
と山田よねが言って皆が沈黙したところから再スタート。寅子も沈黙してしまう。しかしここで何と声をかけるかのシミュレーションを描くのか…ちょっとチープ。そこで「さっさと帰りな」とよねが解散宣言。待ってとは言うものの寅子は後が続かない。その気まずい時間をオープニング曲を挟むことで表現するの良い。
しかしそもそも弁護士志望者が"私とあんたらは違う。だからもう関わんな"とは絶対に言ってはならないと思う。これを言ってしまうよねは…未熟だ。
"私にはお付きの子もいない"
日傘や荷物を持たせたりしない。
お握りを人に施す余裕も
働かなくても留学させてくれる家族もいない。
昼休みに泳いだり歌ったりもしない。
一日も大学も仕事も休まず必死に食らいついてる。
だから余裕があって恵まれたやつらに腹が立つんだよ。
よね、ガンガンくるね。
寅子、流石に「はて」とは言わないな。
しかし"お月のもの"の話を持ち出すのかぁ。
そしてよねに対し「いいなあ」とか言っちゃう。いや流石にそれは悪手だよ。
しかしここで櫻川涼子が出てくる。
涼子:帰る前に一つよろしくて?
よね:あんたまで何だよ
このセリフ、よねは涼子を他の面々より分かるヤツと思っていたのかな。それとも華族令嬢だから別格に扱う意識はよねにもあるということかな。ただ、「あんた」呼びしていることから、後者は考えづらいけれど。
今回、絶対に折ることができない仲良しさんフラグが山田よねと櫻川涼子の間で成立したことは間違いない。
涼子:私、今まであなたとなるべくご一緒したくないと思っておりましたの
その…お気立てに難がおありでしょ?
よね:はあ?
香淑:ケンカはダメですよ
いや、香淑さん、この冷静過ぎる学級委員みたいなセリフはこの場にはそぐわないでしょ。そぐわないからドラマ的には最高なんだけど。
いや、これ、学級委員云々ではなく、弁護士志望者に「ケンカはダメですよ」と言ってるのが良いのか。"裁判はやっていることはケンカのように見えるが、ケンカにしてはいけない"という感じの制作から視聴者へのメッセージになっている気がする…流石に考えすぎか。
涼子:ですけど、私、法廷劇の時、ほれぼれしましたの
涼子:私は動けなかった。理不尽なことが起きているのに、周りの目が気になって、集まった記者が怖くて、殿方に立ち向かうのが怖くて。そんな中、あなたは怒りを飲み込まず、まっすぐにに真っ先に殿方の…股間を蹴り上げた。私も、あなたのように周りを気にせず声を上げられるようになりたい。ちゅうちょなく股間を蹴り上げられる…。
よね:やめろ!思い出させるな。股間を蹴り上げて、けがして、あんたらの世話になったんだぞ。格好悪すぎるだろ。
よね、騒動で怪我をしてカフェーに運ばれたのか。
股間を蹴り上げるが何度もセリフに出てくるのは、ライトな下ネタを入れることで深刻かつ長いセリフを聞きやすくするためなのだろうなと思う。「股間を蹴り上げる」の代わりに「実力行使に訴える」とかだったら、シリアスさと長さで流し聞きしちゃいそうだがライトな下ネタのおかげで一発でちゃんと聞いて理解できそう。だから「股間を蹴り上げる」は計算されたライト下ネタだと思う。そうだったとしても、お嬢様に「股間を蹴り上げる」と言わせるのは趣味がよくないという気はするけれど。
突如、法廷劇の再検証を提案する寅子
もしくは「じゃあ今日の借り、今日私たちがあなたのお世話をした借りを返すってことで」
沈黙の夕食…何があったか
母はると義理の姉で親友の花江との関係が微妙なことから来てるの?
法廷劇の再検証って毒饅頭作り?
やっぱり、お饅頭で人を殺すのは無理がある…?
え?寅子?何言った?しかしこれ、今回のラストに向けたフラグだったのね。
よね:毒饅頭事件は、甲子が無知だった故の結果だ。無知だから乙蔵は殺せず、背負う罪は思い。惨めで愚かな行動に出てしまった。それだけだ。
よね、たくさん語るね。これ、最後まで観ないと分からないけれど、涼子様のために説明役と盛り上げ役を担っていたということだったのね。
よね:恵まれた、おめでたいあんたらも大概だが、戦いもせず現状に甘んじるやつらは、もっと愚かだ。
このセリフは詰まり、扱いにく〜い一派を少しは認めていると言うことになる。ニュアンスからは少しではなくかなり認めている気がする、
寅子:それは絶対に違う。いくらよねさんが戦ってきて立派でも、戦わない女性たち、戦えない女性たちを愚かなんて言葉で括って終わらしちゃ駄目。弁護士以前に人として大切なことだと思う。
寅子、「お月のもの」の話を出した時は何だこれと思ったが、強引によねを諭す方向に持ってきたな。もしくは素で聞き間違えたか。
涼子:ごめんなさい
香淑:涼子様?
梅子:何で涼子様が謝るの?
涼子:皆様に黙っていたことがございますの。実はこの日のために、もととなった実際の判例を調べ直してみましたの。そしたら…学長が法廷劇用に内容を改めていたことが分かりました。
あらら。しかし涼子はちゃんと判例に当たっていたのか。そのためには時間と…ひょっとしたらお金もかかるのかもしれないが、涼子もよねとはアプローチが違うが本気だということが分かる。
涼子様、コナンくん並みの能力発揮
脱帽するしかない。そして今回の15分だけで1本の映画並みの情報量を浴びた感じ。
涼子様で言えば、お嬢様でありながらありがちな高飛車要素や華やか過ぎる要素が外されていて、顔色ひとつ変えない感じでいながら心の中では炎が燃えていたりする感じが非常に好きなキャラ。もっとやってくれという感じ。
「お付きの者」「お月のもの」
同じ読み方の言葉を使って強引に話をしようとする寅子、一休さんか?
大喜利で滑った時の空気感みたいなの出てて良かった。というか、寅子、素で聞き間違えてたと言うことなのか?
他者のことを自分のこととして見るということ
「お月のもの」の話は寅子の聞き間違いから来ているのかもしれないが、寅子は生理が重く月に4日寝込むほどに辛いことと考えている。しかし一方でよねは軽いようで気にしてもいない。これは実は重要なことを示唆している可能性がある。よねは自分の生まれた環境が悪いことによる苦痛は世の中が不平等だからと捉え、それに抗おうとしている感じ。しかし生理が重いという寅子の生物的な生まれからくる不幸には結構無頓着。どちらも生まれながらの苦痛。
これを描くことで、弁護士となるにはよねはまだまだ克服すべきことがあると視聴者に観せていると思う。