Golden Time

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【鎌倉殿の13人】(1)お披露目というよりパンパンに詰め込まれた福袋という趣きの第1話


背景説明は十分で、おまけの話まで連発した第1話。華やかなラブコメとシリアスが混在し、豪華なのかチープな寄せ集めなのか一見しただけでは分からないカオスな福袋という感じ。滑り出しは上々!

疾走感あるオープニングの逃走

現代劇ならカーチェイスに拳銃・マシンガンでの描写に相当するのであろうが、馬と弓での逃走劇演出は、現実のスピード感は比較にならないほど遅いはずなのに、疾走感があり緊迫した雰囲気が伝わる。ただ、主演の小栗旬氏の表情だけからは緊迫感が伝わらない感じがするが、逆にそれがリアルかなとも思う。もともと小栗氏の顔はサラッとしているので、ここはなんとも言えない。

オープニング曲の際の動画

CGで動きはほぼ無し。これ、見た目のインパクトはあるが、コストがそれほどかかっていないように見える。大河ドラマのオープニングとしてどうなのだろうという気がする。

三浦義村を演じる山本耕史氏

やはりこの人は良い役を得る。もはや登場するだけで後光が差している感じ。

八重と義時のラブコメ要素

新垣結衣と小栗旬。現代劇であれば十分ラブコメができる組み合わせ。戦いばかりの時代劇の中でのラブコメがどこまで描かれるのか楽しみ。意図的にラブコメやってるみたいなので期待大。

政子と頼朝の出会い

これ、政子が頼朝に近寄って行った形。さらに逃走用に女物の着物を差し出すという頭の良さ。義時が政子を、「気性は至ってきつくさほど賢くもありません」とか言っているが、頼朝を咄嗟に逃がす頭の回転の速さは尋常ではない。『鎌倉殿の13人』では、政子が最上位だということを示して余りあるエピソード。

おしゃべりの連鎖

何というか、登場人物がおしゃべりすぎて異常なレベル。頼朝をかくまっている情報の漏れ方がいい感じにハンパない。

無知な義時

第1話で背景を説明する必要があるから仕方がないのだが、義時は度を越して無知な設定過ぎて、第1話だけで、情勢について何も知らない人物であることが露わになる。こんな人物が大物になるのかなと思わせるくらい何も知らない。義時は姉政子をディスるが、これから活躍していくのは、兄宗時の嗅覚と政子の才覚のおかげとしか言えない。

気性は至ってきつくさほど賢くもありません。

義時が政子をディスる言葉。美しさについて「化粧映えするのです。素顔は…あ〜…見られたものではありません」と言う。それを含め性格、頭脳、美貌と三拍子揃えてディスっている。今のテレビドラマでこれやれるのは、かろうじて時代劇だけだろう。

八重へのお使いを受ける義時

ラブコメ要素本格始動!義時=八重ラインだけでなく、姉政子=頼朝ラインに父時政と、複数のラブコメ要素が発動した。複数の恋が錯綜するのは正当なラブコメ。期待できる。

しかしラブコメだけでなく、シリアス要素も発動する。

でも私は野に咲く花が好きなのです。摘んだ花は死んだ花じゃ

などという古臭いセリフを八重が言う。このセリフは、そのまま理解すると、昔、摘んだ花を持ってきた義時のことを否定していることになる。しかし、現在は頼朝の妻である八重の身を例えたものにも読める。そもそも花を摘んだのは義時であり、今の八重の身とは関係ない。どちらかと言うと、八重を救う側。その義時の行動を責めるような八重のセリフは少し違和感…というのは読み間違いか。もしくは、既に自分は摘まれた女なので、構うなと義時に言っているのかもしれない。もしくは、八重と義時は摘んだ花を渡すだけの間柄以上になっていたのに結ばれなかったということを示唆しているのかもしれない。短いセリフだけでは正しいところは分からない。

頼朝の人たらし術

長居するつもりはない、恩は忘れないと、簡潔な言葉だけで相手の心を掴んでいく頼朝は、言語能力に長けている。義時の父、時政まで巻き込んだ。このスタイルは為政者らしい。そんな頼朝が、これからプライベートでは政子にやられまくっていくの期待値大。

千鶴丸は殺されました

怖いお人なのだ。爺様というお方は…。

そう宗時は言いながら、戦になると義時に言われたら即座に、

受けて立つまでだ!

と言い切る。何か矛盾というか言動に辻褄が合わない感じがするが…こういう人が先を見える人というのだろうか。権謀術数渦巻く時代のように言われるが、逆に勢いで突っ込んだり裏切ったりしていただけかもしれない。頼朝が八重に手紙を出したところから話は始まり、宗時も話を作っていくが、主人公の義時は、まだ周りに翻弄されているだけ。というかこの人、最後まで周りに翻弄されてアワアワして生涯を終えることになりそう。第1話でそういうの提示してくれるの分かり易くて良い。

謀略をこよなく愛し、日本一の大天狗と言われた後白河法皇

謀略をこよなく愛しってどんな形容。尋常ではないキャラを表現するにはぴったり…なのか?というか、尋常ではない人たち多すぎる。

ギター演奏 ポール・ギルバート氏

『鎌倉殿の13人紀行』のBGMを担うのは高速速弾きもこなすテクニカルなロックギタリストのポール・ギルバート氏。なんとも言えない。昔からポール・ギルバート氏はロックギタリストではあるが優等生ちゃんだから。抑えた演奏でポール・ギルバート氏でなくても良かったんじゃないかと思わせるのだけれど。

『スター・ウォーズ』?『大脱走』?

馬で逃走するシーン。これって…

名作映画とされる2作品へのオマージュか…?

林の中の逃走シーンは『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』のスピーダーバイクのシーン。

柵越えは『大脱走』でスティーブ・マックイーンがバイクでドイツ軍から逃走し、国境の鉄条網を超えるシーンに寄せているのだろう。しかし、第二次世界大戦時の国境なら分かるが、平安鎌倉時代にあんな柵はほんの一部区間しか構築できないであろうから、馬に二人乗せてジャンプして越えるより、回避して柵の切れ目を入った方が良いように思うが…というより、あの柵に人が張り付いていたが、いつ来るか本当に来るか分からないあの時代の国境に人を貼り付けるとは思えない。まあ、華やかさを出すための演出だろうから仕方ないけれど。

このラストシーンでは、BGMにドボルザークの『新世界より』が流れるのも、義時と頼朝で新世界を作るのだということだろう。

他にもオマージュみたいなの色々あるのだろうけど…。